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もう、物を持つように晶の親父さんの頭とりっくんの腕をクローゼットの下段に仕舞って、閉める。こうしないと自分が変になりそうだった。もちろん臭いが凄まじいので、袋に入れて。
りっくんの腕も変色し始めていた。これだから、日本の夏は。
一仕事終えて、手を洗い布団に横になる。だが、この部屋で寝たくない。この臭いは、さすがに吐き気を催す。だからといって、窓を開けたらそれこそ周囲の人にバレそうな勢いだ。
身体が重い。変な臭いが充満しているが、身体が重い。起きてから窓を開けよう。
――時計を見ると、深夜の二時過ぎだった。スッキリした頭だが、鼻が曲がりそうな強烈な臭いで、起きたその時に便器にてリバース。胃に何も入ってない状態だったので、ものすごく苦しかった。あの腐乱死体を見たら食う気になれない。
ユニットバスの正面にある流し台で、口の横に残った胃液などを流した。その時視界に入ったのが……丸い物体。
「……!?」
人間の頭部だった。正確にいえば、見覚えのある生首。それが、玄関の定位置に落ちているのだ。
何で、いつの間に……? さっき袋に入れて、クローゼットの中に入れたはずなのに、どうして。
これには、さすがに恐怖で頭が混乱し始めた。落ち着け、とりあえず呼吸を整えよう。雨戸が閉められた奥の窓に向って、足を進める。外の空気をいっぱい吸おう。
その時、気づいてしまった。電気で鏡状になったガラス窓。優太の後ろに、真っ黒なモヤがある事に。
「――!」
彼は思わず震え上がった。
振り向けない。いや、振り向かない。迫りくる影に対し、絶対に振り向いてはいけないという制約があったはずだ。
どうする。あの時、晶は……どう対処していた? 色んな事があって思い出せない。
いや待て。そもそも、影と黒いモヤって、似ているようで全く違うものじゃないのか?
黒いモヤが生霊なんだから、影がの方が悪霊なんだよな?
様々な憶測が彼の頭の中で浮かんでは散っていく。
とりあえず、窓は開けよう。モヤも見えなくなるし、空気の入れ替えも大事だ。この時間だったら普通の人なら寝てる。たぶん大丈夫。
雨戸を開けた途端、第三の恐怖で思わず絶叫している優太がいた。そこには、見知らぬ人物が佇んでいたからだ。
「るっせーな。よく眠れたかよ」
「だ、だ、誰? だれ!?」
声からしたら女のようだ。こんな真夏に、真っ白な息を吐いている。いや、違う。これは、たばこ?




