表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の部屋  作者: なつきまる。
黒の部屋
71/93

67

 スマホの光を頼りに、優太は部屋の隅までじっくり見渡した。そして、見つける。



「――あった」



 腕だ。あの力強い腕は、見間違えるはずがない。優太の身体を掴み、投げ飛ばした腕。


 まさか、推測が当たるなんて。本当に、ここにあるなんて。そしたら、この腕以外は一体どこに……?



「りっくんさんの、腕……」



 階段方面にある窓の下から、それは見つかった。しかし、不気味で近付けない。


 これが、タンパク質の塊……。切断された場所は、四方八方、引き裂かれたかのように色んな方角を向いている。


 ハッと優太は思った。《引き裂かれた》で思い出したが、顔が引き裂かれた人形は今、一体どこにある? 分からないことだらけだ。


 この部屋に、二体の霊がいる。それは司令官から聞いた。優太たちは、いつからか母子の霊だと錯覚していたが、それは父と母の霊だという。子供は現在生きていて、今も行方不明。その子供の生霊が、人形に乗り移っているのだとしたら、全てが一本で通る。ただ人形の生霊が何をしたいのか、それが分からない。


 主犯格の霊は、二体のうち、どっちになるのだろう。もしくは生霊が全てを手の平で転がしているのだろうか。まずは、そこからだ。



「なぁ、もういいから、出てこいよ」



 声が震えている事くらい、自分自身で分かっている。だけど、こうしないとここから先に進む事が出来ない。


 優太は、目を血走らせながらビデオを回し続けた。絶対に何かが映る。というか、映ってくれないと困る。パソコンで見ていたビデオにはものすごい量のオーブが漂っていたのだが、あれが嘘のようだ。何も映らない。



「出てこいっつってんだろうが!」



 晶たち日霊保の隊員は、もしこういった事態に陥った時、一体どうするのだろうか。霊が出てきてほしい時に出ない時。


 そういえば……晶が、この部屋を見た時の事を思い出した。壁の中とクローゼットの二か所から、お札の気配がすると。クローゼットはいいとして……壁って、一体どこの壁なんだ?


 クローゼットの中を撮影しながら、唸る。何も撮れない。



「くっそ! 全然分かんねぇ」



 今さら晶に聞きに戻るのも、何とも滑稽だ。これだけお札が多いと、その隠されたお札を探すのだけでも一苦労。



「あっ、そうだ」



 どうせ浄化は失敗したんだ。このお札、全部捨ててしまっても差支えはないはず。クローゼットにレンズを向けながら、ゴソッと両手いっぱいにお札を剥がした時だった。今まで薄暗かった部屋に、電気の光が戻ってきた。なるほど。どうやらこれがスイッチになっていたらしい。


 不思議な事に、剥がすごとに鳥肌が立っていく。ゴミ袋いっぱいにお札を詰め込み、終わった時には、激しい息切れを起こしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ