第三十三話
ずいぶんと時間が空いてしまった。
筆を取るのは久しぶりだ。
現在〈マルキド歴330年〉、北半球は夏の終わりだろうか。
私達は予定とは異なり、〈カント生態系エリア〉、〈サウザヨウ半島〉、その東に位置する島、〈ククリ島〉へと到達した。
やはり過度な歓迎を受け、〈原初の樹〉の麓に聳える大樹、〈トライ・ハウリア〉の周辺を使わせて頂く事となった。
〈トライ・ハウリア〉はアレロパシーを持ち、周囲には一部の草木しか生えない。そしてこの草木のほとんどが防虫作用を持っている。
その為この樹木の周囲は開けており、このような区画が繋がっていれば集落等が作りやすい。
〈原初の島〉の〈マァツ・ハウリア〉の場合は、更にこれが〈トライ・バーミリオン〉の森林で囲まれている為、居住という観点から言えばこの上ない環境となっていた。
現在地〈アルビオン・シリコニア〉は〈原初の樹シリコア〉の麓、その〈トライ・ハウリア〉の傍らにも、〈ヒュドル〉と同じ様に〈ハウルの館〉が存在し、そこを使わせて貰っている。
私達は今、〈グランマリア二世〉からの招待を受けて〈聖女の島〉へと旅立った〈グランマリア三世〉の帰りを待っている。
やっと時間が出来た為、これまでのメモを纏めよう。
〈エイグレア・イーキ〉は〈ヒュドル〉よりここまでの道程を記しておこうと思う。
〈マルキド歴329年〉今から一年と少し前だっただろうか。
私達は〈ヒュドル〉を旅立ち、〈ロディアの塒〉へと向かった。
〈ヒュドル〉の皆が、私達に懐いていた〈サラマンドラ〉達を譲ってくれた。
ありがたい。
程なく〈ロディアの塒〉に到着する。
ロディア「旅立たれるのですね。
目的地は〈セイキガーラ〉と聞いています。
〈マァツ・ニカ〉、〈ニカ城塞〉の〈オーミの家〉にはぜひ立ち寄られて下さい。
そちらにも多くの書物がございます。」
〈マァツ・ニカ〉はモカのミドルネームのニカだ。〈モカ・フェルミ・ニカ・エル〉。
[必ず立ち寄ろう。手紙等があれば預かるが。]
ロディア「大丈夫ですよ。ミユズが同行するのでしょう?」
ミユズ「会えたら伝えておきますよ。」
ロディア「お願いね。」
双方にこやかではあったが、寂しげだった。
ヨシミ「ロディアさん、私とタチアナはここにもう一泊してもよいかしら?飛べば速いので。
タチアナはもう一冊読んでおきたいんですって。」
ロディア「あぁ、よろしいわよ!嬉しいわ。」
ヨシミとロディアはずいぶんと仲良くなっている様子だった。
ヨシミとタチアナを残して私達は五頭の〈サラマンドラ〉を駆り出発した。
〈サラマンドラ〉の見た目は、鱗に覆われた馬だが、岩肌の崖の様な坂等も器用に走破する。
ノボル、シャル、ミユズの〈サラマンドラ〉にはそこそこの荷物が積まれている。
ニャフンはミユズが抱き、トリコは私に掴まっている。
私が先頭でリュウが殿だ。
〈サラマンドラ〉の背に乗り数時間森を西進して砂漠へ、更に数時間西進して堤防の道〈ヨウシィノウス〉へ、そこから一日半西進すると〈トライ・カミラ〉が見えてくる。
以前通った時に比べれば荷車がない分、ずいぶん早かった。
いや、それだけでは説明が付かない様な速度を出せていたな。そういえば。
堤防を離れ〈トライ・カミラ〉へと近付く。
辺りは暗くなり始めていた。
ヨシミとタチアナはすでに到着していた。
フラウとノウラ、ヨハンとアナ、フロスティアもそこに居た。
タチアナは目を閉じ、やや上に向かって手を広げる。
光の柱が立ち登る。
いや、違うな。やはり、天から垂れる糸が正しい。
その糸がタチアナと接触した後、より強くタチアナ側から輝くのか。
すると海側から〈ファントム〉達がタチアナの下へと帰ってくる。
改めて数えてみると、恐らく総数九十六頭。内一頭が著しく大きい。
多少の個体差はあれど、大体がヤマネコや中型犬程度のサイズなのだが、一頭だけ抜きん出て身体が大きいのだ。
ボルゾイ位あるだろアイツ。
彼等は多数の可食生物、貝の様な味の巨大ミミズの様な生物がほとんどだが他にも、魚、ヘビ、鳥の様な生物等を持ち帰ってきていた。
ヨハン「本当に驚きですよ。
単独で〈ワイバァン〉すら屠る〈ファントム〉がこの数ですし、どんな狩りをするかと思えば、海ですか。
〈ヒュドル〉でも漁業はやっていますが、岩場のみ。
砂地や泥地は〈クチバシガイ〉等が大変危険ですので。」
タチアナ「今日採ってきたのは、その〈クチバシガイ〉がほとんどみたい。
現地でも食べてきたみたいだけど、お料理も食べさせてあげたいかな。」
ヨハン「承知しました。」
ヨハンは跪いて応えた。
これ以上ない観察は出来たが、やはり何が起こっているかは分からなかった。
その夜は食事をとると共に別れを惜しんだ。
あのデカミミズが〈クチバシガイ〉の正体だってのはこの時知った。
引き摺り出した事が無かったからだ。
翌日早朝〈トライ・カミラ〉を出発。
割と自由に動けるフラウは我々と同行する事になった。
ヨハン「ここでお別れですね。大変お世話になりました。
皆様がこれから向かわれるのは、この〈エイグレア・イーキ〉の最西端となる地、〈サルファン〉。大陸との距離が最も近い場所です。
あの地を守るのはシルエリスさんっていう〈白天竜〉です。
ヨシミさんが成体になるとあんな感じなんですかね。」
すごい名前だな。
〈シル〉って確か〈悪意〉じゃなかったか?〈悪意の翼〉?
ヨハン「綽名は〈シルリル〉。
〈シルリル・シルエリス〉。
〈シルリル〉は〈悪意の神獣〉、もしくは〈邪神〉ですかね。
あぁ、〈原初の樹〉から産まれた訳じゃないです。〈孤独相〉になった訳でもないのに世界中を暴れ回った白竜です。
〈邪神シルエリス〉って伝説になってますね。〈北の大陸〉で。」
なにそれこわい。
[大丈夫なのか?]
ヨハン「〈ニゲン〉以外にはとても良い方ですよ。
あの方〈ニゲン〉大っ嫌いなんで。〈ニゲン〉相手に暴れたって事ですね。
ロディアさんやフラウさんよりも長く生きている竜です。」
翌日早朝。ヨハン達と別れ、私達は旅立った。
私達は互いが見えなくなるまで、互いに手を挙げ続けた。
〈ヨウシィノウス〉の堤防道を西進、十日程をかけて目的地である〈エイグレア・イーキ〉最西端の地、〈サルファン〉に到達した。
〈ヒュドル〉からここに至るまで、幾つもの廃村の様なものを経由した。
誰も住んでいなかった。
だが見た限りここ〈サルファン〉には、おそらく〈ヒュドル〉と同等かそれ以上の〈アルブ〉が住んでいる様だ。
建築技術は〈ヒュドル〉程では無いであろうが、充分以上の暮らしであろう事が伺える。
緩やかに海まで下る坂、そのそこかしこに家がある。
大体が木で囲まれている。防風林だろうか。
人々はフラウに敬意を払いつつ、ヨシミにも驚いている様に見える。
〈白天竜〉だからだろう。
この地を治める〈白天竜フェルン・ドラゴン〉の〈シルリル・シルエリス〉。その竜と同種であるからだ。
海岸から大陸が見える。
〈ヒュドル〉の北の沿岸から〈エイグレア・ナル〉の南岸との距離とほぼ同じ程度の距離だろうか。
始めて見る獣が町中に居る。
翼を持った白いウサギの様な外見の生物。
イエネコ程度と身体のサイズは小さいが、両翼合わせて六肢だ。
翼はヨシミのものと酷似している。
〈ファントム〉をやや警戒している様に見えるが、同時にヨシミには積極的に接触していた。
ヨシミ「・・・なんか・・・カワイイわね・・・。」
ヨシミのツボにはハマった様だ。こんなん好きだったか?
ミユズ「〈フェムト〉ですね。
白い竜、もしくは、白い翼を持った〈エルフィア〉や〈マグリア〉等と群れを作ります。
これはおそらく・・・。」
ミユズが何か言いかけたと同時に〈フェムト〉達が走り出す。
その先に広場。
大きな風の音と共に大きな白い竜が舞い降りる。
これが〈白天竜〉の成体か。テオ程かそれ以上の大きさだ。
幼毛は無く、全身が純白の鱗で覆われている。確かに神々しく見えた。
「〈ルリンクミューズ〉、ご無沙汰しております。
〈神獣〉の皆様、歓迎致します。
この地〈サルファン〉の守護を務めております。
シルエリスが固有名です。」
〈ルリンクミューズ〉。
〈ルリンクドーラ〉は〈聖者の祠〉だ。
〈ドーラ〉は特別な樹木〈トライ〉の樹洞を表す場合が多い。
という事は〈聖者ミューズ〉という事だろう。
ミユズ「エリスさんお久しぶりです!
早速なんですが、害獣って居ますか?」
エリス「はい〈ルリンクミューズ〉。
〈ファントム〉の食事ですね。ヘビ、魚、貝であれば充分量があるかと。」
ミユズ「エリスさん!色々と!〈原初の島〉には伝えてないんで!
ミユズでお願いします!」
エリス「・・・かしこまりました。ではミユズ様と。」
ミユズ「様も敬語も結構です!恐れ多いです!」
よくわからんしミユズが隠そうとしている以上、詮索も野暮かと思ったので詳しくは聞いていない。
ミユズは色々と結果を残しているのだろう。
私達は屋敷を一つ貸してもらえる事となり、エリスの案内を受けて歩き出した。
フラウがエリスに歩み寄る。
エリス「フラウ、荷物は纏めてありますので願いね。」
フラウ「ロディアは多分、あなたに会いたがっている。」
エリス「あなたと私、二人がかりでもあの子を止めてあげられなかった。
多分今もまだ無理でしょう。」
フラウ「結果、あの子は生き残った。」
エリス「それは結果でしかないわ。私は何も出来なかった。
次に会う時は、何があっても大丈夫だと言ってやりたい。安心しろと。
私はまだ弱い。」
・・・〈孤独相〉の話なのだろう。私の聴力では聞こえてしまっていた。
ここ〈サルファン〉の住人達は濃い味を好む様だ。
これに気付いたリュウがまたレシピを渡してラーメン屋を始めた。海鮮ラーメンとヘビラーメンだ。
ホントになにやってんだコイツ。
鍛冶職人達がノボル達の小太刀に目を付けた。
彼等を巻き込みノボルがまたなんかやっている。オーバーテクノロジー云々(うんぬん)は大丈夫なんだろうな。
もういいやほっとこう。
タチアナが〈フェムト〉を愛でている。
〈ファントム〉と〈フェムト〉は共に狩りをする等している様だ。
過剰な食料は私とリュウの手で調理されて振る舞われた。
ヨシミとミユズ、シャルとチビ二人はエリスと共にずっと何かやっていた。
時折破裂音がしたり、爆炎が上がったりしていたが。
何をやっていたのだろう。
フラウがここから〈ロディアの塒〉まで荷物を運び、また荷物を持って戻って来た。
私が乗ってきた気球だった。
完全に存在自体を忘れていた。
[ありがたい。完全に忘れていた。
貰ってくれても良かったのだが良いのか?]
フラウ「失敗すれば燃えて失われるのだろう?
私達ではもてあましてしまうよ。」
フラウには世話になりっぱなしだ。
結局この〈サルファン〉には三ヶ月程滞在した。
通り過ぎるだけの予定だったのだが、主にヨシミとタチアナの要望で長い滞在となった。
〈エイグレア・イーキ〉と大陸の間の海。
これをどうやって渡るのか。
ミユズ「本当は山からグライダーのつもりだったんですよ。〈ハウルの一団〉もそうした様ですし。
でも〈サラマンドラ〉連れていきたいという事でこうなりました。
四足獣に防具とか暴れて無理かと思ったんですけどね。」
水が綺麗な場所の〈クチバシガイ〉、〈嘴貝類〉は沼や海のもの程大きくない。
河川の上流付近を好んで生活の場とする〈サラマンドラ〉は本来、その程度の大きさの〈嘴貝〉であればものともせずに踏み潰して踏破し、河川も泳いで渡る。
彼等の鱗は、魚達の鋭い甲殻をものともしないのだ。
調査の結果〈サラマンドラ〉が海を渡る上で障害となるのは、踏んだ際、落とし穴に落ちる様にその足を飲み込み挟み込む、大型の〈嘴貝類〉。
そして、こちらも大型の〈フネクライ類〉と呼ばれるタコやイカの様な触手を持った海底固着性の生物、触手を持ったイソギンチャクの様な生物。
ノボル「巻き付いてくる触手に対して魚共はどうやって対抗しているか。
それは、巻き付かれたらアイツ等が持ってる刃物みてぇな甲殻で切り裂いて逃げてるって事で間違いねぇ。
って事で、刃物みてぇな防具作ってみたって訳な。
大当たりだったわ。
訓練には時間かかっちまったけどな。」
現在観察されている範囲内として、〈フネクライ〉は、流木や動物の死骸等を触手で絡め取って口元で固定し、それを時間をかけて食べている様だ。
本来、鋭い外殻を持った魚等は捕食対象外なのではないか、という仮説が示唆されている。
ノボル「実際やってみたんだが、鋭く切りつけると触手引っ込めるんだよコイツ等。
一応保険として、朽木とか引いて持って行って食わせてる間に通り抜けるとか。」
・・・色々と試行錯誤してくれていたのだが、私は私の力技を試した。心配をかけるかもしれないのでこっそりと、だ。
先ず〈嘴貝〉なのだが、鳥のクチバシの様な外殻を百八十度で開き、砂の中に身を隠し、踏まれると外殻を素早く閉じて捕獲する。
この挟む力はかなり強い様で、大型のものであればサイの様な大きさの四足動物でも抜け出せない。
だが、〈ファントム〉達が獲ってきていた〈嘴貝〉の胃の内容物には、四足動物の骨は四肢の物までしか発見されなかった。
察するに、〈嘴貝〉が捕獲した動物を仕留めるのは、鋭い外殻を持った魚達等であり、〈嘴貝〉では無いのだろう。
話が逸れた。
身を隠している〈嘴貝〉なのだが、皆には見えていない。
そう、私には見えているのだ。何処に居るのかがハッキリと分かる。
というのも私には、例え透明な水であっても流れている様子が見える。
いや、私には水が透明に見えていない、が正しい。
蒸留水であってもやや虹色に見える。
光の加減が明らかに違うのだ。
おそらくたが、〈ファントム〉の目にもそう見えているのではないだろうか。
大量に捕獲してきていた理由はこれだろう。
〈嘴貝〉は開いた外殻の中心から吸水と排水を繰り返している。
私にはこの水の流れが見える為、隠れている場所がハッキリと分かる。
砂が舞い上がったり等はほとんどしない為、皆には認識出来ないのだろう。
発見した〈嘴貝〉の外殻を棒で突く等して閉じさせた上で、引き摺り出して仕留めながら、海岸から大陸に向かって進める所まで進んでみた。
ほとんど砂地だ。時折岩礁になっている。
深い場所でも腰程度の深さしかない。これを十キロ程進めば大陸だ。
一番深い辺りで何かが巻き付いて来た。〈フネクライ〉だ。
面倒なのでコイツ等には私の尻尾でのデンゲキをくれてやった。
魚達も突進してくるのだが、私の外殻にはなんの影響も無かった。
・・・なんの問題も無く大陸まで渡れてしまった。
その後も私は大陸と〈サルファン〉を何度か往復してみた。
やはり、〈嘴貝〉も〈フネクライ〉も、他所から移動してくる気配は無い。
〈フネクライ〉は海底に固定されてはいるが、移動不可能では無い様だ。
仕留めて観察した結果、根を張るように生息しているのでは無く、岩礁に強力に張り付いているだけだ。
普段は触手を水面付近に漂わせ、触れたものを捉えて巻き込み捕食する、という事の様だ。
触手は、吸盤のある柔らかい側と、硬い外殻側とに分かれており、吸盤側に切り傷を負うと、花が花弁を閉じる様に、外殻側を外にして触手を閉じる。
こうなると岩と変わらない。
ノボル「・・・コイツ等の生態って謎だらけだったんだぞ。いきなり解き明かしやがって。
てかリケイさんの身体どーなってんだ?課金でもしたんか?」
ノボルがボヤいていたが私にだって分からん。
私のこの身体、鱗と体毛の防護能力は、おそらく生態系最上位の竜達より硬い。
私は一体どんな種類の生物なのだろう。
ヨシミ「・・・こっそりはやめなさい。
実験ならば安全対策とかあるでしょう?」
この時のヨシミは本気で怒っていたな。
[悪かった。]
そしてまた、旅立ちの日が訪れた。
私は〈サラマンドラ〉の手綱を引き一頭ずつ、それに乗せて、シャル、ノボル、リュウ、ミユズの順で大陸へと運んだ。
タチアナ、ニャフン、トリコ、そして荷物の多くは、ヨシミとフラウが運んでくれた。
そしていよいよ別れの時が訪れた。
フラウ「リケイ、私はここまでだ。
少し待っていて欲しい。
ーーーーーーー!!!」
フラウは咆哮を上げた。
すると、見覚えのある生物達が集結した。
以前私達が気球で空を流されていた時、集団で追ってきていた前肢の生えたカラスの様な生物達だった。
フラウ「彼女達は私の眷属。過去、ある〈神獣〉が〈コクヨク〉と名付けた。
普段は〈エイグレア・イーキ〉沿岸を警戒してくれている。
六頭をヨシミに預ける。ヨシミと共に訓練済みだ。
助けが要る時は〈コクヨク〉に手紙を持たせると良い。必ず私の元に届けてくれる。
但し一方通行だ。私の元に戻る事しか出来ない。
ヨシミが戻って来た時にはまた預けよう。」
・・・フラウには本当に、世話になってばかりだ。
[ありがとう。]
ヨシミ「本当に助かる。心強いわ。」
フラウ「では再会を願う。
〈エイグレア・イーキ〉にて待つ。いつまでもだ。」
そう言いながらフラウは飛び立つ。
フラウが見えなくなるまで、私達は手を挙げ続けた。
フラウは私に聞こえていたとは夢にも思っていないだろう。
それくらいの小さな囁やきだった。
「至上なる者よ。至上なる我らの友を救って欲しい。」
飛び立つ為に大きく羽ばたきながら、フラウは確かにこう言った。
追記しておいた方が良いだろう。
ノボルとシャルを初見したときから気にはなっていた。
あぁ、ミユズもだな。
ノボルの背骨の中央辺り、そしてシャルの背骨の肩甲骨付近。
そこが赤く光って見える事がある。
明らかに皮膚の内側、掌で強い光源を覆った時の状態に似ている。
ミユズとシャル、そしてファティマ。
彼等は胸元に白い光が見える事がある。
この色は、天から垂れる光の糸の色によく似ている。
これまで出会ってきた〈竜〉と我々〈神獣〉と呼ばれている者達、加えてミユズ、シャル、ファティマ。
暗い場所でうっすらと確認出来る程度に、白く発光している。
この色も、天から垂れる光の色の色によく似ている。
そして、ロディア。
ロディアの腹部にはとても小さく弱々しいが、青い光が見える事があった。
ロディア達は旅に同行する訳ではなく、女性という事もあり確認など出来なかったのだが。
あれはなんだったのだろうか。




