↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フーガック生物図鑑  作者: 遠藤迄太郎
巨獣の島とロディアと盟約

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/32

第二十八話

 この〈トライ・カミラ〉はかなり以前から確認されていたらしい。

 ただ十数年前から状態が変化しており、調査対象となっていたそうだ。


 ヨハン「以前はここまで葉はしげっておりませんでした。今は多数実もつけていますね。

 この状態であるという事は、地下に水があるという事です。

 〈レィムゥ〉もいますねぇ。期待出来そうです。」


 なるほどな。樹木の状態から地下の状態を読める訳か。


 〈レィムゥ〉は空を舞う生物の総称?翼を持つ者?。〈レィ〉は〈空〉とか〈空中〉とか?〈ムゥ〉は〈這う〉、だったか?

 確か〈ディ〉も〈晴れ渡る空〉地域によっては〈太陽〉だったか?あと温和って意味もあったかな?


 タチアナのミドルネームには〈レィディ〉とあった。〈タチアナ・ラズ・レィディ・カスガ〉。


 ・・・皆無事だろうか。


 ・・・通訳居る分言葉の理解がおろそかになってんな。

 まぁ、しゃべれねえ聞き取れねぇだと詰むけど。助かってますありがとう。



 ヨハン「ではファティマさん、お願い出来ますか?」


 ファティマ「はい。まずは水を確認します。」



 ファティマは〈トライ・カミラ〉に登って行く。



 ヨハン「飛行生物ばかり生息しており、ここは主に繁殖地はんしょくちですね。食事には遠く見える山の方まで行っている様です。

 この樹はこの砂漠で孤立して五十年程が経っているはずです。」



 この〈トライ・カミラ〉、上に行くほど多く、下に行くほど少なく、隙間すきまが通っている。

 いや、隙間が通るというよりは樹洞じゅどうが洞窟の様に走っており、多数の生物が住み着いている。


 そしてファティマはこの島の外で〈トライ・カミラ〉の樹洞、〈カミラドーラ〉の探索経験があるそうだ。


 そしてこの樹洞がもし人が通れる程の大きさで、地下に進む事が出来た場合、上手くすれば水面の位置が分かる為、井戸をどのくらいれば良いかが分かると。


 ファティマ「ありました!でもおかしいです!」


 ファティマが降りてきた。そして指を差す。

 「水面は、この辺りです。魚がいたので水たまりではないです。」


 ヨハン「地面より上、ですか?」


 ファティマが指を差したのは地上、大人の足長そくちょう前後程の高さ。

 二、三十センチ程か?


 これが起こるという事は、この水面と同じ高さの水源と直接繋がっており、水の逃げ場所も無い?地下河川か?


 ファティマ「ちがうことがもうひとつ。水の中が光っています。」


 洞窟どうくつの中で発光はっこう

 [どんな色だ?]


 ファティマ「夜光る〈プディラ〉のよう。」


 〈プディラ〉はキノコ。ツキヨタケの様な青白い光。

 [私も確認したい。少し覚えがある。]


 ヨハン「・・・〈迷宮節殻貝めいきゅうせっかくがい〉ですか?」


 ロディア「〈迷宮節殻貝〉?!」


 知っているのか。ロディアがすごく驚いているな。どうしたんだ?

 [そうだ。〈原初の島〉で実際に見た事がある。]


 ロディア「〈きゅう〉、部屋はご存知ですか?」


 あぁ、あれか。

 [〈死宮しきゅう〉〈心宮しんきゅう〉〈卵宮らんきゅう〉そして〈迷宮めいきゅうクローン〉だろう?全て見た事がある。確認してくる。]


 ロディア「気を付けて下さい。危険かもしれません。」


 危険?まぁ強い生物の〈迷宮クローン〉だったら危険といえば危険か?

 [わかった、行ってくる。]



 ファティマの案内を受けて樹を登り〈カミラドーラ〉内部を下り、水場の入り口へと辿り着く。

 確かに光源がある。


 私の目には瞬膜しゅんまくがある為そのまま水中も確認出来る。百メートル程あるロープを身体に結び、ロープのはしをファティマに持たせる。


 もぐって確認する。


 間違い無く〈迷宮節殻貝〉だ。


 水の流れは強くない。真水まみずだ。海抜的にそりゃそうか。

 確認の為もう少し泳ぐ。五十メートル程泳いだ先に白い光。

 水面から顔を出すとそこは〈心宮〉だった。壁に穴が開いており外に繋がっている。


 ロープを外して外へ。直径五メートル程の穴が地上に口を空けていた。

 巨大樹とロディア達が見える。急ぎファティマと合流し、再度ロディア達と地上から〈心宮〉に入り確認する。


 ロディア「確かに〈迷宮節殻貝〉ですね。これは〈心宮〉ですか。」


 ヨハン「この島にも〈原初の樹〉があるという事でしょうか?」


 ロディア「いえ、無いわ。あればわかる。」


 なんか深刻しんこくそうだな。そんなにマズいのか?



 ロディアの巨体では探索は不可能、ヨハンは体力が心許無こころもとないという事で、洞窟内部の探索たんさくは私とファティマが、ロディアとヨハンは野営やえいの準備をする事となった。




 数時間探索した範囲では、山側に向かって一本道であり、もう一つの〈心宮〉を発見、〈死宮〉も一つ発見した。

 水没地点すいぼつちてんが多く、足元にはずっと小川程度に真水が流れていた。


 海側も調べたが全て水没しているかもしれない。息が続かなかった。


 〈迷宮クローン〉は一体たりとも発見出来なかった。



 ヨハン「〈心宮〉と〈死宮〉のみですか。

 拠点きょてんを造るには都合が良すぎるくらいに良いですね。

 決して楽観視は出来ませんので隅々(すみずみ)まで調査しましょう。」


 ロディア「私が一度戻りましょうか。人手が必要でしょう?」


 ヨハン「あ、お願いできます?

 〈タタンシマイ〉から十人位引っ張って食料も運べるだけ運んでもらって。」


 〈タタンシマイ〉?〈姉妹〉か?十人?まぁ長命ならあり得るのか?


 ロディア「使い方荒いわねぇ。

 リケイ様、私は離れます。無理はされません様お願い致しますね。」



 私は頷く。ロディアは夕暮れの中出発した。



 私とファティマは座らされ、ヨハンが調理をしている。手慣れている。ヨハン考案の具材入り揚げパン〈アナクラシュ〉はとても美味しい。〈ヒュドル〉でもよく食べられている。


 ヨハン「〈タタンシマイ〉は〈リワァド〉で〈漁師団体〉。

 数少ない泳げる者達なのでこの探索にはうってつけですよ。」


 漁師?

 あぁ確か建網の代わりに岩礁がんしょうを使うんだったか。〈原初の島〉でもやっていたな。


 ヨハン「しかし〈迷宮節殻貝ダンジオン〉に〈死宮〉ですよ。大変都合が良いですねえ。」


 ヨハンが楽しそうだ。どうしたんだ?

 [無知ですまない。都合が良いとは?]


 ヨハン「あぁ、そうですね。

 〈死宮〉はあらゆるものを消化吸収しょうかきゅうしゅうします。動物、植物、動物性植物性の廃棄物はいきぶつ、油、鉱物。

 過去の実験記録に依れば、その辺の土で埋めてみたら、それすらも全て吸収したそうですよ。

 おそらく、時間をかければなんでも消化出来る。

 つまり、〈死宮〉があれば廃棄物処理はいきぶつしょり下水処理げすいしょりを考える必要が無いのです。」


 うっわ出たよ便利動物。


 そういう事か。

 〈テオマシオ〉の油田で〈死宮〉に繋げられた配管は、〈迷宮節殻貝〉に下水処理をさせていた訳だ。


 〈原初の島〉で集落が線上に並んでいた理由もこれか。

 〈死宮〉の近くに集落を作っていたのだろう。


 ヨハン「しかも、過剰かじょうに何かしら与え続けていればその〈死宮〉は、勝手に大きくなったり、増えたりするのです。

 まぁ捕食器官ほしょくきかんですからね。何かしらが豊富ほうふえさがあると判断するとそうなるのでしょう。」



 いろいろとに落ちた。

 [勉強になったよ。ありがとう。本など書いていたりはしないのか?]


 ヨハン「結構書いてるのですけどねぇ。

 ロディアさんとかしか読んでくれないんですよねぇ。」


 ヨハンは笑いながら言う。


 少々難解な書籍になってしまっているのだろう。

 [ぜひ読ませてくれ。興味深い。]


 ヨハン「え?ホントですか?ホントいろいろ書いてるんですよ。

 交配出来る生物と出来ない生物いるじゃないですか。種類が近いと交配出来るっていうやつですよね。そんで、遥か西に〈オーガ〉っていうリィンがいるんですけど、彼等って〈ハイエルフ〉とも〈アルブ〉とも混血出来るんですよ。この混血個体〈クマリィン〉って呼ばれてるんですけどーーーーーーーー」





 ・・・この後コイツ三時間位喋り続けやがったマジヤバイ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。