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フーガック生物図鑑  作者: 遠藤迄太郎
転生と原初の島と旅立ち

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第十八話

 ノボルはミユズに気球の原理げんり構造こうぞうを伝えた。

 ミユズは直ちに理解した様だ。


 ミユズ「気球、飛行船ですか。

 建造自体はおそらく可能ですが、運用が難しいですね。

 補給基地ほきゅうきちに出来そうな場所が無いのですよ。」


 ノボル「やっぱ使い捨てになっちまうんすよね〜、海とか山とか超えるだけの。

 基地か〜。」


 ミユズ「飛行生物も危険です。

 〈リワァド〉でバードストライク?でしたか?

 群れである場合、飛行を得意としない竜相手ならば墜落ついらくさせてしまう場合がありますので、布製の風船など簡単に破られてしまうでしょう。

 縄張なわばりを侵されたとして、ワイバァン等は積極的に襲ってくるでしょうし。」


 リュウ「・・・縄張りか。」


 ミユズ「使い捨てで飛べる所まで飛ぶだけ、なのであれば、バードストライクに気をつけて限界まで燃料積んでって事になりますね。」


 ミユズまでもがソワソワしてやがる。


 ・・・実験が始まるな。

 好奇心満たしたいが為だけの欲にまみれた実験が。






 先ず数週間をかけて、十機の気球を建造。


 「・・・数年・・・色々やりながらだったとはいえ、五年か六年かかったんだけどな・・・。」


 ノボルがぼやいていた。



 無風であった為、その日の内に実験は開始された。


 目的は、バードストライクを受けにくい高度を調べる為のものとなる。


 もちろん無人飛行だ。



 かなりの期間をかけてかなりの回数を繰り返し、実験の結果が出た。・・・迷走しまくってやがる。


 最高到達高度〈目算〉五キロ以上。

 何故〈目算〉なのかというと、一メートル自体が目算である。

 現状、正確な長さを測る方法が現状無い、もしくは私達が知らないからだ。


 長さの目算は大きくズレている可能性がある。


 例えば、私達の身長等の長さ自体が、大幅に短い可能性があるのだ。


 というのも、明らかに頑丈がんじょうな〈真竜〉達は自由に大空を舞っている。


 地球でそんな事が可能だろうか?


 軽量になればもろくなる。頑強になれば重くなるのだ。


 十分な水銀でもあれば七十六センチを測れるのだろうが、〈死の谷〉からも発見出来ていないらしい。

 少量ならば銅や鉛、石灰辺りに混ざっていそうだが。いや、これも我々が正確な分離方法を知らないからだろう。

 安全対策をかんがみて、実行されていないだけなのかもしれないが。


 そしてこの七十六センチも、万有引力、気圧が地球と同じであればなのだ。


 違えば水から測る温度すら正確にはならないのだろう。


 現状の私達の知識ではどうしようもない。


 なんと言ってもググれねぇからな。



 話を戻そう。


 何故最高到達高度が目算〈五キロ以上〉なのか。

 目算五千メートル以上の高度は必要無く・・・というよりも、気球は用意したロープを使い切り、空の彼方へと消えて行った。

 人力で引けると思っていたらしい。


 ちなみにこの五キロのロープ、作るのに百人程で三日程かかったそうだ。


 バードストライクの調査としては、目算千メートル程でほぼ襲われる事は無かった。



 「タチアナの〈ファントム〉、護衛してくんねぇかな。」というノボルのボヤキを真に受けたミユズが暴走。


 ミユズが中心となり、高所恐怖症気味のタチアナを重要な情報が見つかった等と強引に招待、高所恐怖症気味のタチアナを強引に泣き落とし、高所恐怖症気味のタチアナを気球に案内というよりも連行し実験を強行。


 高所恐怖症気味のタチアナを少しでも慣れさせたいというヨシミまでもが同調し、高所恐怖症気味のタチアナの〈ファントム〉とヨシミによる護衛飛行実験が開始された。


 大成功だった。高所恐怖症気味のタチアナの情緒以外は。


 高所恐怖症気味のタチアナは、「味方がいない」とガチ泣きだった。



 タチアナの〈ファントム〉達は低高度を飛行し、有害生物を撃墜。


 ヨシミはより強いものを撃墜。


 ヨシミ「全く問題無いわね。

 タチアナが不安になってると〈ファントム〉達もより過敏になるみたいだから。

 軍隊よ。最早。」


 との事だった。

 ・・・全く問題無いのか・・・タチアナ・・・。



 その後、風に乗って補給基地を作りつつ、〈原初の島〉の南端〈マァツ・ヒィラゥド〉、〈良き自然の地〉?であってるか?までの体感約千キロ程の航行を成功させた。


 〈マァツ・ヒィラゥド〉は最古の城塞とされるもので囲まれており、ある程度の防御機能が備わっている。


 壁に囲まれており、外周は総距離約三キロ程の楕円形。

 元はただの城壁の様なものだったらしいのだが、現在、壁の外は湿地帯である。

 百年程をかけて川の流れがこの場所に向いたのであろうとの事。

 この要塞は岩盤の上に建造されていた様であり、水による地盤沈下等の心配もなさそうだ。

 建造した者達はこれを知っていたのだろう。


 そして、湿地帯になった事でまた防御機能が上がったと言っていいだろう。


 誰がなんの為にこんなものを建造したのだろうか。



 湿地帯の外には、巨大な熊の様な生物や、恐竜の様なトカゲが生息しており、良い〈遊び相手〉になってくれる。


 そう、私もテオと共に向かったのだ。


 その後〈テオマシオ〉の面々が、〈面白がって〉、ガスボンベを〈ヒィラゥド〉とその中継地点に大量に運び込み、簡易的な飛行基地とした。


 いくつものテントや住居が建てられていく。


 基本的に風任せの一方通行である為、十数の気球がこの地に集っていた。


 〈テオマシオ〉では気球を作りまくっているらしい何考えてんだ。


 千メートル以上の高度での飛行を心掛けたせいか、航行時の被害は無かったわかってんのかコイツ等逆から安定した風吹くの半年後とかだぞマジでわかってんのか説明受けてたよなどうせ先走ってんだろバカじゃねえのか。


 地上壁外での野生生物からの襲撃しゅうげき苛烈かれつを極め、テオと私が居なければかなりの犠牲ぎせいが出ていただろう何やってんだコイツら護衛も付けずに湿地帯の外に出やがって目がっちまってんだよ防衛戦まみれで探索なんざ出来てねぇだろ好奇心だけで動きすぎなんだよ。


 彼等は〈テオマシオ〉から〈ヒィラゥド〉に至るまでの間にいくつかの〈トライ・バーミリオン〉の群生地を発見。

 補給基地としての利用と共に、開発を開始していた。


 更に相当量の地図も製作している様だ。


 まぁ役には立つか。









 全くの偶然だった。


 私はいつもの様に美味いトカゲ、〈ヒィルゥサァバァント〉?〈良い光善意トカゲ〉?意味わかんねえな、を数頭狩り、というか返り討ちにし、〈ヒィラゥド〉へと血抜きをしながら戻り、解体を終え、テントで横になる。


 不意打ちを喰らったせいもあり、デンゲキを十発程使ってしまった。

 かなり身体の動きが鈍い。

 あまり気にしていなかったが、デンゲキは使う度に一定時間動きが鈍る。

 長期戦ならば肉弾戦にしぼった方が良いかもしれない。


 倒れ込む様に横になると、突然テントの下の地面に穴が開き、落ちた。


 落ちたといっても、百センチ未満だろうか。

 そこには空間があり、床には大小様々な立方体が砂利の様に敷かれていた。

 自然物だろうか?黒に近いが金属光沢がある。

 自然下で立方体と言えば確か、黄鉄鉱おうてっこう等が立方体の形をとるのだったか?


 この落とし穴、またノボルのイタズラか?等と思ったが、アイツが大人になってからはやられていない。そもそもここに来ていないはずだ。


 穴の中には、その立方体にもれる様に横たわる石碑せきひ


 文字が刻まれていた。


 日本語だった。



【これに辿り着いた者へ


  あなたの旅の重荷にはしたくない


  だから詳細は伝えない


  もしも余裕が出来たならば


  ある者を救って欲しい


  その者は守り続けた


  だが失った


  三つの大国を滅ぼした


  あえてこちらの言葉で伝える


  インヌトゥアロを救って欲しい


  彼への救いは我らの願い


  我らでは力が足りなかった


  強い人へ


  どうか我らの友


  インヌトゥアロを救って欲しい



  ハクロ号の一員より未来へ】



 ・・・〈ハクロ号〉。

 彼等と〈ハウルの一団〉が残した文書は数多く存在する。


 だが、余りにも自己主張が少なく、彼等自身か記したであろう文書には名前すら残されていない。

 書いたであろうあとを見つけても、ことごとく切り取られていたり、りつぶされていたりだ。


 そんな彼等が残した数少ない自己主張。


 ねがい。


 インヌトゥアロなる者への救い。




 何も分からないが覚えておくとしよう。


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