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そして、俺は〇〇になりました。  作者: Foolish Material
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そして、暗躍する者達。その6

 ようやく揃ったアサヒ達は、

 シュミカに促されて改めて受付の方へと戻るが…

 今回はあの担当さんの結界に招かれる事はなかった。


 流れ的にアサヒは、

 シュミカとリアの付き添いという扱いとして認識されたのか…

 もしくはやっと帰った厄介者がまた戻ってきて面倒臭くなったのか?


 『またすぐ戻ってきて…

  今度は何ですか⁉︎』などとのやり取りを、

 少しだけ期待する程度にはアサヒはあの職員の遠慮無さを気に入っていた事に気づく。

 (…ちょっと寂しいな…。)

 などと思ってしまう。


 先程は結界内だったので気づかなかったが、

 受付は少し慌ただしくしている様だ…。


 シュミカは適当な受付で厩舎にいた馬の事について尋ねると、


「ああ、

 ちょうどその馬が運んで来た情報でてんやわんやなんですよ…。」


「ん…

 精霊さん達もそわそわしてる…ね。

 それについて少し協力できるかも?

 …あの馬の主人を知ってる…。

 ていうか、

 さっきまでいたはずだけど…

 変な竜人の男、

 どうした…かな?」


 キョロキョロ辺りを見渡すシュミカにお姉さんは…


「あ、カディスさんでしたら少し前にお連れの方を担いで帰りましたよ。

 …まさか…、

 レイヴン軍の…?」


 頷くシュミカを見て頭を抱えた。


「ちょっとコチラでは対応しかねますので…

 少々お時間をいただいても?」


 それを聞いたリアは嫌そうな顔をするが、

 肩をすくめるアサヒはそっと下を指差す。


 疲れたのだろう、

 まだ何とか自立はしているが…

 アサヒにもたれ掛かってうつらうつらしているエイナは、

 時々カクンっとなりながら退屈そうである。


「ん…。

 食堂で待機しててもいい?」


 その可愛らしい姿に頬を緩ませるお姉さんは、

 『もちろん♪』と頷いて食堂の方へ手を指す。


「そうそう…

 晩御飯の予定だったものねぇ~。

 ほらぁ、

 お腹空いたでしょう?

 お姫ちゃん~。」


 リアは膝を折ってエイナに目線を合わせながら、

 目に掛かる髪をかき上げながら頭を撫でる。


「うん…お腹減った~。

 お姉ちゃん抱っこ~…。」


 胸を鷲掴みにされたリアはアサヒを突き飛ばしてエイナを抱き締める。


「改めてなんて可愛い生き物なのかしらぁ!

 ね、シュミカ!

 この子アタシ達の子供にしちゃいましょう!」

「ん、

 了解。

 良い家庭にしよう…。

 出来の悪いペットは捨てよう…。」

「了解すんじゃねぇよ!

 誰が出来の悪いペットだよ⁉︎

  …違うよね?

 捨てないよね…?」

「アサヒも一緒がいいよー…

 アリシエファミリーだよ…。」


 などとゴチャゴチャやっていると、

 全ての受け付けカウンター内から一斉に怒鳴られた。


 『うるさいので早く食堂に行ってください!

  ランク穴掘り屋ども!』



 ---



 レイヴンの軍で貸し切った宿へ、

 ルキリを担いで向かっていたカディスの足元へ一人の男が投げ出された。

 それを見て溜息をつくカディスは、

 したり顔で男を投げ出したガトスとダトスに複雑な表情で答える。 


「…我も荷物を抱えておるのでな。

 他にもいる様であれば宿まで引き連れてから纏めて捉えようと思っておったのだが…?」


 この二人…カディスにとっては、

 いつまでも幼少の頃からの印象が抜けない二人であったが…

 今では立派な帝国軍人であり、

 しかも皇族の御付きなのである。


「問題ありません。

 周囲の警戒は万全。」

「どちらかというとソーシャイハの方に接触するのが本命だったみたいです。

 撒かれた様ですけどね。」


 事あるごとに自分を頼り、

 泣きついて来ていた昔の事を懐かしみながら…

 カディスはこの頼れる友人達を寂しさと共に誇らしく感じた。


「…ご苦労。

 引き続き他の者達を警戒にあたらせろ。」


 ガトスとダトスが左右に合図を送ると、

 離れた場所で散開する影が軽く木々を揺らす。


「まさかあの女と鉢合わせるなど…

 我も気を抜いていたな。


 詫びに我の秘蔵の酒でもどうだ?

 お前達の部下に任せておけば安心だし…

 色々と馬鹿どもの面倒を見ていたおかげで飲み足りんのだ。

 

 久々に付き合わんか?」


 ガトスとダトスは顔を見合わせて笑うと敬礼のポーズをとる。


『は!

 ご命令とあればご一緒させていただきます!』


 肩を落とし、

 ルキリも落としそうになったカディスは慌ててルキリを抱き止める。


「…わかったわかった。

 命令だ。

 我と酒席を共にせよ。

 …お願いだ。」


 有事の時の責任の所在をハッキリとさせた二人は、

 一切の警戒を解く事は無く… 

 昔の様に、

 慕い尊敬する友人と共に笑いながら宿への帰路についた。



 ---



 ゴムールではリャイラナ達のステージの幕間で騒ついていた。


 演奏の途中に到着したノイは、

 仕事着に着替えて後任を任せる彼女達のステージを見てウズウズしていた。


「はいはいノイ~、

 幕間は忙しくなるっしょ!

 たくさん注文取ってきて…

 コレも早く運ぶっしょ!」


 ウズウズしているノイを見ながらカニャミは、

 これ幸いと今まで自分達を支えてくれて来たスタッフ達の努力をノイに知らしめ、

 様々な環境や気持ちを叩き込み…

 『更なる創作の糧となれ!』と、

 華やかな世界から引き離す。


「あ、ごめんニャミ…

 これはどこのテーブル?」

「メモに書いてあるっしょ!

 次のステージまでにお客さんのテーブルを埋めるっしょ!

 早くするっしょ!」


 …普段のステージではノイが喉を休めている時間。

 その間にステージと厨房をやりくりしていたカニャミの、

 ちょっとした憂さ晴らしの気持ちが無かったとは言えない。


「…大人げないなぁ…。」


 怒鳴られて右往左往するノイを見ながら、

 ニリシュは厨房へ戻って来てカニャミに苦言する。


「愛の鞭っしょ♪

 …今回の件で本来の目的から目が離れてるっしょ。

 ウチの顔が目線ブレまくりじゃ…

 みんなの生活を守れないっしょ!」


 フライパンを激しく振りながら次々と並べていくカニャミを見てニリは決して口にはしない。


(アンタが飲食店やりゃ…

 みんなの生活は安泰やろ…?)


 才能とやりたい事。

 この二つが一人の人格に宿る事がいかに貴重な事か…。

 

(ま…次の旅でも美味いもん食えるんやったらええか♪)


「ニ~リ~!

 あがってる物早く運ぶっしょ!

 冷めるっしょ!」


 差し出された料理の出来栄えを見ながらニリは、

 材料さえ用意すればどんな旅路だってこれが食べれる!

 と、

 この店この街から離れる決意をした自分達が、

 後悔しない様にメンタルコントロールに必死であった。


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