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そして、俺は〇〇になりました。  作者: Foolish Material
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そして、暗躍する者達。その3

 真ん中から割れたテーブルはリアとユリィへの一本道を作る。


「話を聞こうじゃないの、ユリィ!

 …うちの家族は…」

「無事ですよ~?

 めっちゃ元気に潤ってます~♪」


 笑顔のユリィは両手を合わせてリアに跪く。


「ワタシがお姉様の御家族に害をなす訳は無いのです~。

 使えた魔王は無様に散りましたし…

 ね?

 ゴミトカゲ。」


 怒りの空振りに戸惑うリアはカディスに目を移す。


「…事実であるよ。

 元々名工であるリアの親父殿の武具が際立ったお陰で、

 お前の実家は一旗あげておる。

 今では立派な貴族階級であるよ…。

 西では『スティルノア』の武具は一つのブランドとして広まっている。」


 カディスの皮肉はリアに届く事はなく、

 短絡的なリアは彼女本人の結論に至る。


「あらぁ!

 じゃあ問題ない…いや、

 じゃあアタシがしていた仕送りは何なのよぉ!」


 裕福ではなかった実家へ密かに報酬の殆どを送っていたリアは、

 横にいるカディスの襟元を掴んで揺さぶる。


「いやいや…!

 それらの資金のお陰でお前の弟妹は立派な…

 職人に…」


 壊れたテーブルを修復しながらユリィは言う。


「そぉですよ~♪

 スティルノアの技術は本当に素晴らしいものなのに…

 広めようとしないなんて愚の骨頂。

 それを知らしめるのには良い余興でした~♪」

 

 ふと我に返ったカディスは本題に戻る。


「違う違う!

 かつての幼馴染であった奴は此度の戦で魔王軍に属し、

 帝国に甚大な被害を与えたのだ!

 兄者ブレムが魔王を打倒した後に姿を消していたと思ったら…

 今度は何を企んでいる⁉︎」


 一刻の間を置いてユリィは首を傾げて答える。


「…さあ?

 ワタシはただリアお姉様との再会を求めて仕事をしているだけですわ~。

 それが叶った今は…

 あれ?お姉様⁉︎」


 気付くとリアとシュミカは颯爽と姿を消していた。


「も~!

 せっかく会えたのに~ー!」



 ---



 ダンジョン下層…もはや本人達は数えてはいないが、

 三桁に及ぶかいなかの階層であった。


「ねーアサヒー、

 お腹減った~!」


「これだけやって言うことがそれだけか⁉︎

 ピー子も呆れてるぞ!

 …それにそろそろ時間なんじゃないかな…?」


 二人の胸に掛かったネックレスがあからさまに点滅を始めている。


 アサヒとしては、

 残り数秒でも待たずに叩き割って地上に帰りたい気分である。


「んもー…まだまだなんだけどなー…。」


 そんなエイナをよそに、

 アサヒには一つ疑問があった。


「なぁエイナ、

 時間が来たとしてピー子はどうなるんだい?

 一緒に地上に戻れるのかな?」


 その疑問にはエイナではなく、

 ダンジョン管理精霊がすぐさまに答えてきた。


 『だーめだめ!

  幼生体とはいえ竜を外に連れ出したら騒ぎになるよ。

  また来たら会わせてあげるから、

  一度お別れをしてね~。』


 ピー子もその辺りは理解しているようで、

 二人の足元をクルクル回って名残惜しそうにしている。


「えー、

 そぉなのー?

 ピー子お別れなんだ…。」


 エイナも寂しそうだが…

 何を食べさせれば良いのかもわからないし、

 親と暮らしているなら引き離すのも可哀想である。


「まぁまた何処かの街から潜ればいいさ。

 精霊人形さんも会わせてくれるって言ってるんだし。」


 そうこうしているうちに、

 ペンダントの輝きが増してくる。


 『そろそろみたいだねー。

  アサヒ君は初めてのダンジョンは楽しめたかな?

  殆ど何もしてなかったけど…

  初めてで、

  こんな下層まで来れるなんてそうそう無いからね…。』


(…確かに荷物運びとピー子のお世話くらいしかしてないが…。)


 ピー子はアサヒとエイナの足にそれぞれ頬ずりをすると、

 少し離れた場所でお行儀良く座ってその時を待つ。


「ピー子またねー♪」


「ピー♪」


「わー!

 切ない!元気でなー!」


 やがてペンダントの光は二人を包み込んで消える。

 その場を照らしていた照明は順にゆっくりと消えてゆき、

 ダンジョン内は暗闇に閉ざされた。

 その中で淡く光りながら…


「ピー…。」


 寂しそうなピー子の鳴き声が響く…。



---



 ゴムールでは小さく聞こえるリハーサルの音をバックに三人がグラスを合わせる。


「ピーニ…

 いやピッピ、

 あの店主は知り合いだったのかい?」


 ムッとした表情を浮かべ、

 ビーニゲレ=ピイラギィネは言い返す。


「ピッピと呼ぶんじゃねえ!」

  

「ははは、いいじゃないか。

 前にも言った様に絆が深まる感じがして。

 『リリササピッピ』。

 パーティ名もそうしようか、ははは!」


 ササは手のひらでリリを制して言う。


「それはやめてちょうだい…。

 ところでピッピ…」

    

 もう言っても無駄だと諦めたピッピはその呼び名をゆるした。


「あの人かなり特殊な雰囲気だけど…?」


「ああ…

 昔魔王協会絡みで、

 一時的に組まれた騎士団に居た事があってな。

 その時の部隊の隊長だったんだ。

 戦場では恐ろしい人だったんだがな…。

 」


 ちらっとパナルマに目をやると、

 カウンターで店員の女の子達と楽しそうに喋っている。


「まぁ…

 平和って事かな?ふふ…」


 ちょうどいいタイミングだと思ったササは、

 ピッピの事をもっと深く知ろうと前のめりになる。


「そ、そういえばこのパーティに入る前はどうしてたのかしら?

 特に話題も無いし…

 聞いてあげてもいいわよ!」


 なんだそれ?という顔で見るピッピ。

 やれやれ…と笑いながら肩を上げるリリは、

 そっと仲間の背中を押してやろうと指を鳴らす。


「良いね。

 あまりしてこなかったが…

 今日はみんなの思い出話で盛り上がってみようじゃないか!

 ははは!」


 カウンターからふとその様子を見るパナルマは微笑みながら呟く。


「良い仲間に会えたじゃないの…。

 中年になってからも青春って出来るのね~♪」


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