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そして、俺は〇〇になりました。  作者: Foolish Material
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そして、暗躍する者達。その4

 薄暗い灯り。

 異様な臭いの立ち込める部屋でアサヒはゆっくりと感覚を取り戻す。


「ふぶぅっ!

 だんだこの臭い…!」


 酷い臭気が漂う中、

 顔を上げようとしたアサヒの頭を小さな手が押さえつける。


「ひひっ♪

 アサヒは見ない方がいいと思うよ?

 さ、手を出して…顔を上げちゃダメだからね!」


 エイナに手を引かれながら進むアサヒは流石に理解した。

 まだ命の灯火が残っている者の呻き声もどこからか聞こえる。

 この地獄そのものの様な状況が突然地上に現れてはたまらない。


 システム的に健康な者とせめて負傷者以下で分けられないものだったのだろうか?


(…世界全てと繋がってるとなったらコレが限界な処置なのかな?)


 顔を上げずにエイナに引かれて進む中でも、

 時々ドチャッと何かが地に落ちる音がする。


 もちろん無事に生還したパーティなどはもう慣れっこなのだろう…

 小さなエイナに声を掛けたりはするが、

 長居はしたく無いようでサッサと先に進んで行く。



「なあエイナ、

 助けられる人とか手を貸しちゃダメなのかい?」


 エイナがアサヒの手を握る力を強めていう。


「だぁーめ!

 あんな風になってる人達って殆ど悪霊だから!

 外に連れ出したらピー子が外に出て騒ぎになるどころじゃないよ。

 アイツら、

 タイマー持った死体に引っ付いて外に出ようとするんだよー。」


 改めてアサヒは思う。

 強い人達に囲まれてて良かったと。


「じゃあ次の部屋で精霊さんが出ていいって許してくれたら終わりだよ♪」


 そう言いながらエイナが開いた扉の先には光さす温かい空間が広がっていた。



 ---



 ゴムールでは客席の楽しい一時とは別に、

 一見華やかに見えはするが実は裏方であるステージのリハーサルが捗らずにいた。


「何なんですのこれは…?

 ちゃんと音は出てますの?」


 慣れない会場での見慣れない最新鋭の機材に戸惑うのは、

 リャイラナ=バキャッソ。

 

 一方的にノーイラ=タスツをライバル視しているが…

 実は憧れていて追いかけている。

 そんなテンプレでお嬢様な唄歌い。


 何度もイベントなどで共演はしていたが…

 ノイの代役としてカニャミからオファーを貰って初めての舞台で舞い上がっていた。


(すごい!すごいですわ!

 ノイ様は毎日こんな場所で歌ってらっしゃるのね⁉︎

 ワタクシもやっと同じ舞台に…。

 それにしても…

 機械種の技術なんて初めてですわ。)


 戸惑いながら数曲演奏してみたが、

 全く実感が湧かずにいた。


 そこへカニャミがそっと優しい先輩風で宥めにくる。


「最初は不安なのはわかるっしょ。

 いつも通りにやれば勝手に良い感じにしてくれるから任せるっしょ♪

 本来のスタイルは本来で、

 他で演るっしょ。

 ここでは仕事と割り切って求められる事をやるっしょ~…。

 慣れてきたら新しい世界が広がるかもっしょ~~?」


 カニャミはこの日の朝一番にパナルマに旅立ちの決意を告げていた。

 元々長居する予定でも無かったこの街は、

 南の大陸でのコンテストに向けての旅路の通過点。

 声を掛けてくれたパナルマの好意で専属で演奏をさせてもらっていた訳だが、

 居心地が良すぎて長居をし過ぎていた。


 リャイラナ…

 リャイ率いる彼女達にこの店を任せて数日後には旅立つ事は、

 メンバー、スタッフには決定事項であった。


(さてさて…

 後はしっかりしてる他のメンバーさんにお願いするっしょ…。)


 カニャミ達は彼女らの実力は十分に認めている。

 

(さぁ、

 新しい風を吹かすっしょ。

 ニャミ達の背中を押す追い風として…ふふふ♪)


 やがて店内の遮音結界は消え、

 リャイの歌声が今宵のゴムールを染める。



 ---


 

 興は覚めた。

 ギルド食堂のいざこざは…

 精霊の管理下では何も出来ない為、

 お互いに『チッ!!』と舌打ちする形で事をえた。


 カディスは変に寝過ぎているルキリと、

 いつの間にか居なくなっていたクーロに気を寄せ、


 ユリィはリアの情報を求めるためにギルドの受付…

 先日に籠絡した二人の職員を引き連れて夜の街へ消える。


 その二人の背を、

 それぞれ別の影が追っていた。



 ---



「なぁ、

 ナイトソードの魅了ってどれくらいなのかな?」

「わかんねぇけど、

 竜人まで従えたらしいど…。

 オラ達も変な術にかからねぇ様に用心しねぇといけねぇど…。」

「オデ知ってる…。

 奴ら人の血ぃー吸って下僕にするらしいど。

 レイヤ先生の本で読んだど。」


 ユリィの後をつけているお手本の様な…

 小柄、大柄、細長い三人組の男達は、

 雑談をしながらとっくにバレているとも知らずに隠れている。


「その下僕に噛まれたら生きる屍になって彷徨うとかってヤツだっただか?」

「空を飛んだり人の脳を喰ったりするらしいな…。」

「おっかねぇなぁ…!」


 もはや吸血鬼やゾンビ等の話がゴチャ混ぜになっているようだが、

 この世界ではあながちフィクションとも言い切れない…。

 

 そんな世界に立神零也は至る所で変な影響を及ぼして去っていったようである。


「…そう言えば、

 最近はレイヤ先生の新しい本が出てねぇだなぁ…。」

「そうそう!

 オラ、あの続きが気になって…」

 

 などと呑気に話しながら、

 ふと尾行対象から目を離して頷く三人が再び影から顔を出して覗くと…

 まさにお手本の様な失態で、

 ユリィ達を見失った後であった、。

  

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