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彼女の想いが重すぎる……  作者:


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第53話

朝、寝ていた俺はふとお腹の辺りに心地良い重みを感じた。


そして、いつものように鼻を擽る甘い香りとともに、愛おしい声が耳元で囁かれた。


「朝ですよ。起きてください。壮真さん」


「……もう少しだけ寝かせて」


「ダメですよ。朝食もできてますから。起きてください」


瞼を開けると、恋歌が俺のお腹にちょこんと馬乗りになっていた。


天使のような微笑みを浮かべたまま、甘い香りを振りまきながら顔を近づけてくる。


「すきあり、です。えへへ」


チュッと彼女の唇が俺の唇に触れ、くすぐったい幸福感が全身を駆け抜けた。


「きゃっ」


俺はキスしてきた恋歌を捕まえると、そのまま体勢を入れ替えて優しく押し倒した。


「油断大敵だぞ」


「びっくりしました。ふふ」


恋歌は少しびっくりした顔をしたが、すぐに嬉しそうに微笑んだ。


俺は恋歌の唇に軽くキスをすると、彼女の頭をそっと撫でた。


「今日も恋歌は可愛いな」


「……嬉しいです」


俺は恋歌を抱き起こすと、ベッドの上に座り、彼女を優しく抱きしめた。


「少しこのままでいたい」


「いいですよ。壮真さんは今日も甘えん坊さんですね。ふふ」


「こうしてると落ち着くんだ」


「……私もですよ」


恋歌は俺の腰にぎゅっと手を回し、抱きついている。


少しの間、恋歌の温もりを堪能した後、彼女をお姫様抱っこして持ち上げた。


「壮真さんは力持ちですね。うふふ」


朝から上機嫌の恋歌をそのままリビングへと連れていき、洗面所で身支度を整えると、二人並んで彼女が作ってくれた美味しい朝食を食べ始めた。


「壮真さん。母が明後日、別荘に行くからあなたたちも一緒に行きましょうと言ってるのですが」


「別荘か……いいね」


「今回は海じゃなくて、避暑地の山の方の別荘に行くみたいです」


「涼しそうでいいね」


「前回行ったところと同じで温泉も付いてますから、また一緒に温泉に入るのが楽しみです。ふふ」


「それは楽しみだな」


恋歌と一緒に温泉に入るのを想像し、ほっこりした気持ちになりながら、俺は朝食を平らげた。


それから、今日の目的でもある受験勉強をするため、図書館へ行く準備を始めた。


先に準備を終えた俺は、家の外で恋歌が来るのを待っていた。


「お待たせしました」


声のした方を向くと、恋歌が駆け寄ってきた。


胸にリボンが付いたピンクの半袖のブラウスに、ふわふわしたフリルロングスカート。


背中にはお気に入りのうさみみが付いたリュックを背負い、今日も泣き腫らしたような赤いアイシャドウが恋歌の白い肌によく映えている。


今日も恋歌は天使のようにとても可愛く、破壊力抜群だ。


俺たちは再び軽く唇を重ねると、図書館へと足を運んだ。


今日も夏の強い日差しが襲ってくる。


俺の腕に抱きついている恋歌を紫外線から守るため、日傘をさして歩いていた。


図書館に着くと、俺たちは隣り合わせで、椅子に腰掛けた。


冷房の利いた静かな館内は、勉強に集中するにはうってつけの場所だ。


参考書を机の上に置き、勉強を始める。


「どこかわからないところがあったら言ってくださいね」


「うん、ありがとう。頼りにしているよ」


実は恋歌は、俺なんか比べ物にならないほどの成績優秀者だ。


そもそも彼女が通っている女子校は、目を見張るほど偏差値が高いのだ。


「恋歌。ここわからないんだけど」


「えっと……、ここはですね」


恋歌にわからないところを丁寧に教えてもらっていると、俺の腹が少し鳴った。


気がつけば、時計の針がお昼近くへと進んでいる。


「壮真さん。そろそろお昼ですね」


「たまにはどっかお店で食べようか」


「そうですね。えへへ」


「何か食べたいものある?」


「うーん、そうですね?回転寿司とかいかがでしょうか」


小首をかしげながら少し考えると、微笑みを浮かべながらそう答えた。


「いいね。最近は寿司とか食べてないもんな」


俺たちは図書館を出ると、駅前近くの回転寿司店へと向かう。


◇◇◇


回転寿司に入ると、カップルや家族連れなどで沢山の客で混雑していた。


前もって予約しとけば良かったと、後悔しながらも順番を待ち続けた。


ようやく俺たちの順番が来て、席へと向かい隣同士並んで腰掛けた。


恋歌は常に俺の隣にいないと、機嫌が悪くなる。


「壮真さん。何食べますか?」


「とりあえずサーモンにしようかな」


「なら、私もサーモンにします。うふふ」


俺はタッチパネルで注文を終え、再びメニューに目をやった。


「中トロも頼もうか?」


「はい!お願いします」


再び注文終え、少しするとサーモンと中トロがやってきた。


俺は皿を取り、恋歌の前にそっと置いた。


「壮真さん。あーん」


恋歌は箸で器用にサーモンを掴むと、俺の口元へと運んでくる。


周りの視線が熱かったが、俺は目の前のサーモンを美味しく頂いた。


俺が食べ終わると、恋歌は俺の前にあるサーモンをじっと見つめている。


(……あれは食べさせろってことだろうな)


俺は腹をくくり、サーモンを箸でシャリが崩れないように掴むと、恋歌の口へと運んだ。


恋歌が小さな口を開けて、サーモンを頬張る。


すると、周囲から『見て見て、あの可愛らしいカップル』や『バカップルもあそこまでいくと清々しいな』というヒソヒソとした囁きが聞こえてきた。


(めちゃくちゃ恥ずかしいんだが)


恋歌はそんな周囲の目など気にも留めないで、再びサーモンを俺の目の前に差し出してきた。


『ねえ、あれ甲子園で投げてた桜翠嵐高の山口くんじゃない』や『彼女いたんだ。凄いショックなんだけど』という囁きがまたもや聞こえてきた。


俺は囁きを無視して、サーモンを頬張る。


結局、俺たちは二人で食べさせ合いをしながら、昼食を終えた。


再び、図書館に向かい、日が暮れるまで受験勉強をして帰路についた。


家に帰る途中、秀樹からお前らの寿司をあーんって食べさせ合ってる写真がSNSでバズってるぞとメッセージが届いていた……。


(……これが恋歌の狙いだったのか)


◇◇◇


家に帰ると、恋歌がいつものピンクのエプロンをつけると晩御飯の支度を始めた。


俺は彼女の邪魔にならないように、ソファからじっとその様子を眺めていた。


「そんなに見つめられると、ちょっと照れますね……うふふ」


「俺が見てるのは料理じゃなくて、可愛い恋歌の顔だけどね」


「もう、そう言うことを真顔で言うのやめてください!」


恋歌は耳まで真っ赤にして俯いてしまった。


(すぐ照れるところも可愛いな)


晩御飯を二人で食べ終え、風呂に入ると湯船で二人で寛いでいた。


俺は相変わらず恋歌を後ろから、優しく抱きしめていた。


「傷の痛みとかはどうだ?」


「もう、一ヶ月以上経ってますし、すっかり平気ですよ」


「それなら良かった」


「私たち一ヶ月以上エッチしてませんね……ふふ」


「手術したんだから、ちゃんと治さないとだろ」


「壮真さんは真面目というか過保護ですよね。うふふ」


恋歌を抱きしめる腕に、少しだけ力がこもる。


「……恋歌にもしものことがあったら大変だからな」


「……やっぱり過保護です」


恋歌はふふっと愛らしく微笑んでから、俺の方を振り向いた。


そして、首に腕を回して、甘い口づけを落としてくる。


「愛してるよ。恋歌」


愛おしくなり恋歌を抱きしめると、彼女も『私も愛してますよ。壮真さん』と耳元で囁き返してくれた。


風呂で火照った恋歌の柔らかい温もりを感じながら、彼女が傍にいてくれる幸せを噛みしめている。


「……壮真さん。もう大丈夫ですよ。うふふ」


俺たちは風呂場から出ると、お互いの体を拭き合うとそのまま寝室へと手を繋ぎながら向かった。


ベッドに押し倒すように重なり合い、深い長い口づけを交わす。


そして、恋歌の体中に軽いキスをしてから、彼女の豊かなふくらみを両手で優しく丁寧に揉み解す。


甘い吐息と愛の言葉が、一晩中部屋を満たしていた。


窓から月の明かりが漏れる中で、乱れたシーツに濡れた愛の香りが鼻を擽る。


俺の胸の中で天使のような寝顔で眠る恋歌を、ずっと寝るまで見つめていた。


(……幸せだな)

読んでくださりありがとうございました

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