第14話
野球部の練習を終え、帰宅した俺はあることを思い出した。
……そう、昨日、秀樹から貰った誕生日プレゼントだ。
昨夜は恋歌と盛り上がりすぎて、すっかり記憶の彼方へ追いやられていた。
俺は机の引き出しに雑に突っ込んでいた紙袋を取り出し、包みを剥がす。
中から現れたのは、なんとエロ動画のブルーレイの群れ。
しかも封が切られており、明らかに新品ではない。
(見飽きたエロブルーレイをプレゼントにしやがったな、あの野郎……!)
「何をしているんですか?壮真さん」
恋歌が部屋に入ってきた。
(ま、マズいぞ。これを隠さないと)
「何を持ってるんですか……?」
恋歌が覗き込んできた。
エロブルーレイのパッケージの淫靡な絵面を見た瞬間。恋歌の瞳からハイライトがすうっと消えていく。
「ち、違うんだ。これは秀樹が」
「何が違うんですか……何ですかその卑猥なモノは……?」
恋歌の瞳から完全にハイライトが消え、部屋の中の温度が一気に下がったように感じた。
(今は春だよね……なんか寒いんだけど)
「……こ、これは秀樹からの誕生日プレゼントで貰ったやつで」
俺の声は、言い訳も虚しく裏返った。
「何枚もあるじゃないですか……他の女の裸を見ただけでも浮気なのに……性行為を見るなんて……完全な浮気ですよ!!壮真さん!!」
(そ、そうなの?この国では彼女がいるとエロブルーレイも見ちゃダメなのか?)
「今夜の晩御飯のメニューは変更しましょう……壮真さんの大好きなゴーヤチャンプルーです……ブツブツ」
恋歌は闇ルートのまま何か呪文を唱えながら部屋を出ていった……。
(またか……苦いの嫌いなのに……)
◇◇◇
あれから恋歌の機嫌が直ることはなく、俺はリビングのソファに腰を下ろしていた。
俺の膝の上にはご機嫌斜めの恋歌がちょこんと座っている。
「あの、恋歌」
「何ですか……?」
「いい加減、機嫌直してよ」
「壮真さんが浮気するのが悪いんです。あんな、不埒なモノを見ようとするから」
(見ようとはしてなかったんだけど)
「あ、そうだ。今度の休日、デートしよう」
そういえば、俺たちは付き合ってからまだまともなデートをしたことがなかった。
「えっ……デートですか」
恋歌は勢いよく振り向くと顔をおもいっきり近づけてきた。至近距離の瞳が潤んでいる。
「うん、どこか行きたいとことかある?」
「……私は壮真さんと一緒ならどこでもいいです。えへへ」
「そうだな、遊園地とかどう?」
「いいですね!」
満面の笑みを浮かべた恋歌が抱きついてきて、そのまま唇を重ねてきた。どうやら機嫌は直ったようだ。
安堵して、そろそろ寝ようかと言おうとしたが、恋歌が舌を滑り込ませ塞ぐ。
「……ん……んっ……?」
「……壮真さん、続きはベッドでしましょう」
(今夜も寝かせてもらえないのか……)
◇◇◇
休日、俺は朝食を終え、玄関に向かうと、そこにはピンクのカチューシャと胸元の大きな白のリボンが映えるピンクのワンピース、気合いの入った地雷メイクをほどこした恋歌が待ち構えていた。
お気に入りのピンクのリュックを背負い、俺の視線に気づいてふわっと微笑む。
「……気合い入ってるね」
思わず心の声が漏れてしまった。
「当たり前です。初デートですから。うふふ」
恋歌は少し頬を染めて胸を張った。
「行こうか」
「はい」
ガラリと引き戸を開けて外に出ると、恋歌がいつものように豊かな胸を俺の腕に押し付けるように抱きついてきた。
駅に向かい、電車に揺られること1時間。俺たちは朝から賑わう遊園地の正門前に着いた。
平和な休日を楽しむ家族連れやカップルたち。
通りすぎる人たちが、ピンクの塊のような、恋歌を見て思わず振り返る。──周囲の男たちの視線が、恋歌に釘付けになっているのが分かって、何だか落ち着かない。
「むぅ、デート中に他の女性を見たらダメですよ!」
「み、見てないから」
(どちらかと言えば、周りから見られてるのは恋歌だし……)
誰にも渡さないとばかりに豊かな胸を俺に押し付けてきた。
「あ、壮真さん、あれに乗りましょう!」
恋歌は満面の笑みを浮かべメリーゴーラウンドを指差す。
俺たちは二人で並んで座れるゴンドラに乗り、ゆったりと回る景色を眺めた。
「壮真さん、これ楽しいですね。うふふ」
恋歌は今にもキスしそうな距離で俺を見つめてくる。
「そうだね」
俺は恋歌の肩に手を回し、そっと抱きよせた。
ゴンドラから下車すると、俺たちはコーヒーカップに二人で乗った。
「いっぱい回しましょう!」
テンションが上がりすぎて、若干おかしくなっている恋歌が、中央のハンドルをおもいっきり回す。
「止めろっ、恋歌、回しすぎだ!」
勢いよく、コーヒーカップが回るたび、風を切る音と、恋歌の楽しそうな悲鳴、そして俺の引きつった叫びが混ざりあう。
俺は今朝食べた朝食をリバースなりそうなの胃を必死になだめる。
まさかコーヒーカップが絶叫マシーンになるとは思ってもみなかった。
コーヒーカップから降りた後、ベンチで休んでいると、恋歌が飲みものを買ってきてくれた。
「壮真さん、はい、お水です」
恋歌がミネラルウォーターをそっと差し出してくれた。俺はそれを受け取った。
「ありがとう」
「いえ、こちらこそはしゃぎすぎてすみませんでした」
恋歌はペコリと頭を下げた。
「いや、別に少し休めば大丈夫だから」
そう言うと、俺はペットボトルの水を一気に飲み干した。
「……本当に大丈夫ですか?あの、次はもう少し大人し目のアトラクションにしますから」
恋歌は凄い心配そうな顔で、目を潤ましている。
(君がただのコーヒーカップを絶叫マシーンにしたんだけどね……)
「いや、次は何乗る?恋歌の乗りたいものでいいから」
その後、色々とアトラクションを楽しんだ俺たちは最後に観覧車に乗った。
辺りは、すっかり日が暮れて、観覧車の窓から見える夜景が綺麗だった。
「わあ、綺麗ですね。壮真さん」
俺の膝にちょこんと座っている恋歌が目を輝かせている。
「そうだね」
俺は後ろから恋歌を優しく抱きしめていた。
「壮真さん、私、また来たいです」
「うん、また一緒に来ようね」
「嬉しいです。うふふ」
「恋歌、こっち向いて」
「何ですか?」
恋歌が俺の膝にまたがるように座り、向きをなおした瞬間。俺は恋歌をそっと抱きしめて、柔らかい唇にそっと自分の唇を重ねた。
そのままゴンドラが地上に着くまで、俺は恋歌をずっと抱きしめていた。
その後、ファミレスで晩御飯を楽しんで、俺たちは家へと帰宅した。
◇◇◇
家に帰った俺たちは一緒に風呂に入った後、寝室のベッドに横たわった。
「楽しかったけど、何か疲れたな……」
「そうですか?私、まだ全然元気ですけど」
小柄で可愛らしい見た目と違い、恋歌はタフだった。
そして、恋歌はお気に入りのピンクのパジャマを脱ぎ捨てて露になった、透き通るような白い素肌。その眩しさに目を細めていると、恋歌は俺の胸にまたがってきた。
「な、何してるの?」
「壮真さんと愛し合う準備ですよ。うふふ」
(本当にタフだね。君は……)
恋歌は俺の唇を塞ぐように唇を重ねると、遠慮なく舌を滑り込ませてきた。
絡めあう舌の粘りに、恋歌から漂う甘い香りに意識が溶けそうになる。
濃厚なキスを終え、俺は恋歌の豊かなふくらみを掌で包み込んだ。吸い付くような柔らかな感触。じっくり時間をかけて優しく揉み解し、指先が、小さな先端へと絡みつく。
「……ん……そ、そこっ……ふぁ……っ」
恋歌の唇から、可愛らしい吐息が漏れた。
「……私も」
恋歌の手が、俺のパンツの中へと滑り込んでくる。硬く、熱を帯びて、すっかり成長してしまっている俺のそれを優しく握ってくると、恋歌は慣れた手つきでそれを愛で始めた。
「そ、壮真さん、どうですか?」
上目遣いで俺の顔を覗き込む恋歌。
「う、うん、すごく……気持ちいいよ」
俺たちはお互いの体にじっくり愛を刻むように愛撫を続けてから、ひとつに重なり合った。
夜通し、何度も何度もお互いの愛を確認をするように、濃厚な時間が続いた……。
(野球部の練習より疲れたんですが……)
読んでくださりありがとうございました。
第1話で文章の一部がごっそり抜けてましたので修正しときました。
すみませんでした。




