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彼女の想いが重すぎる……  作者:


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15/27

第15話

朝、いつものように恋歌の作った美味しい朝食を食べている。恋歌と付き合ってから、もう少しで二ヶ月。彼女にはすっかり胃袋を掴まれていた。


「壮真さん、今日は精一杯応援しますね!」


豊満な胸がふわりと揺れ、彼女は小さくガッツポーズをした。


「ああ、よろしくね。……頑張るよ」


夏の予選大会初日。俺は一年生ながら背番号10を貰い、一無事にベンチに入りを果たした。親友の秀樹も背番号13を背負っている。まずは、初戦は絶対に勝ちたい。


「ごちそうさま。行ってくるね」


「あっ、待ってください。……はい、行ってらっしゃい。チュッ」


恋歌は俺の唇に自分の唇をそっと重ねた。毎朝のルーティンを終え、俺は試合会場へと向かった。


──初戦、俺は1番ショートでスタメン出場した。


俺は5打数3安打1盗塁とチームに貢献でき、試合は6対2と勝利した。


帰宅すると、恋歌が自分のことのように喜び、飛びついてきた。


「お帰りなさい、壮真さん!勝てて良かったですね!エヘヘ」


「ただいま、恋歌。……あはは、ありがとう」


俺はただただ愛おしくて、恋歌を抱きしめた。


「今日の晩御飯は壮真さんの大好きな煮込みハンバーグです!」


「本当に!楽しみだな」


俺は恋歌をもう一度ぎゅっと抱きしめると、彼女の唇にそっと唇を重ねた。


流石に試合で疲れたので恋歌と一緒に風呂に入った後、そのまま、ベッドになだれ込んだ。てっきりすぐ寝るもんだと思ったのだが……。


「壮真さん、今日は素敵でした。チュッ」


ベッドに入ると、恋歌が唇を重ねてきた。


「恋歌……今日は疲れてるから……ちょっと待て」


恋歌は俺の言うことなど構わず下半身の『それ』を慣れた手つきで弄くってくる。


「……恋歌、聞いてる?」


──結局、寝かせてもらえなかった……。


(試合より……疲れた……)


◇◇◇


夏の予選大会二回戦目。


俺は初戦と同じく一番ショートでスタメン出場した。


8回裏2対3と1点差で負けていた。


こちらの攻撃、二死一塁。


バッターボックスには代打の秀樹。


俺はウェイティングサークルから、その背中を見つめていた。


カウント2-1から、秀樹が放った打球がレフト線に弾ける。


ツーベース、ランナー二塁・三塁。


一打逆転のチャンス。


俺は滑り止めスプレーをグリップに振り掛け左のバッターボックスに向かった。


変化球は無視だ。ストレート一本に的を絞る。


カウントは2-2。


一度、バッターボックスを外し、深く息を吐く。


「壮真さーん!」


客席の喧騒の中、恋歌の声が聞こえた気がした。


再び左のバッターボックスに入り、投手のリリースに全神経を集中させる。


……来た。


渾身のフルスイング。


インコースのストレートを捉えた手応えは、完璧だった。


白球は青空を切り裂き、そのまま綺麗な放物線を描いてライトスタンドへと消えていった。


逆転の、スリーランホームラン。


最終回。監督から『次から行くぞ』と言われ俺はマウンドに向かった。

 

キャッチャーも秀樹に代わり、俺たちバッテリーのデビュー戦となった。


縦スラを決め球にして二者連続三振。


次の打者もポンポンとストライクで追い込み、カウント0-2。


俺たちは一球外すという選択せず、三球勝負でいった。


大きくグラブを振りかぶると俺はおもいっきり左腕を振り抜いた。


ボールはバッターの足元のインローへとズバッと決まった。


クロスファイアー。審判の右手が上がり、三球三振でゲームセットとなった。


帰宅して、晩御飯を美味しく頂いた後、恋歌と一緒に風呂に入って、そのままベッドになだれ込んだ。流石に今日は本当に疲れたので、もう寝ようと思っていたのだが……。


「壮真さん、今日も素敵でしたよ。チュッ」


恋歌が俺の唇に自分の唇を重ねると、舌をねじ込んできた。


「……れ、恋歌、今日は投げたし、流石に疲れているんだけど」


恋歌は構わず、下半身へ『それ』へと手を伸ばして弄ってくる。


「れ、恋歌、俺の話を聞いて……っ」


俺の懇願なんて、今の恋歌には届かない。まるで面白いおもちゃを見つけた子供のような瞳で、俺の下半身を執拗に弄ぶ。


結局、今夜も寝かせてもらえなかった……。


(……なに、このデジャヴ)


◇◇◇


三回戦は3対2と辛勝していた7回の表、俺は一死満塁というピンチを背負ってマウンドに上がった。


ロングリリーフだったが、何とか1点差を守り抜き勝つことができた。


次を勝つと、うちの野球部が創立以来初めてのベスト16入りする。


次の相手は甲子園に出場したこともある聖ライオンズ学園。


俺はリビングのソファーに座りながら、士門先輩から受け取った聖ライオンズ学園の試合の動画をテレビ画面で見つめていた。


動画の中の打者陣が厄介そうだった。特に三番と四番コンビは押さえるのに骨が折れそうだ。


「壮真さん、晩御飯が出来上がりましたよ。……あ、何を見てるのですか?」


晩御飯の支度を終えた恋歌が、俺の隣にちょこんと座った。


「……次の相手の分析をしてたんだよ」


「勝てそうですか?」


「三番四番コンビを封じれば、ワンチャンスあるかな……」


(まあ、そこを押さえても、地力では完全に負けてるんだけど……)


「三番四番コンビが怪我とかしちゃったら勝てますかね。うふふ」


「……あ、怖いことはしないでね。何とかするから」


(……本当に止めてよね)


◇◇◇


四回戦。夏の強い日差しの中、ついに試合が始まった。

 

俺はいつものように1番ショートでスタメン出場。


試合は先発の増田先輩の奮闘もあり、5回を終わって1対1の同点で緊迫する展開が続いていた。


先頭バッターの俺は3打席ノーヒット、出塁もゼロ。


何とか塁に出ようと、初球、セフティーバントを試み、無事成功。


塁上でホッと胸を撫で下ろした。


カウントは1-1俺は相手のフォームの癖を盗み盗塁。見事成功し、無死ランナー2塁。次のバッターがしっかり送りバントを決める。


次のバッターが犠牲フライを放ち、そつなく1点を捥ぎ取った、


6回からは俺がマウンドに行くことになった。


キャッチャーも秀樹に代わり、ここからが正念場だ。


6回7回を三者凡退に撃ち取ったまでは良かったが、8回に連打を浴びて、一死二塁・三塁。長打が出れば逆転されてしまう。


秀樹がタイムをかけ、ニヤニヤしながらマウンドに駆け寄ってくる。


「なあ、聖ライオンズ学園のマネージャーって、士門先輩に負けないくらい綺麗だよな?」


「こんな時に何言ってんだ」


「いいから、見てみろよ」


俺は聖ライオンズ学園のベンチに目をやる。


「まあ、確かに綺麗だが……」


「だろ、まあ、小鳥遊さんほどじゃないか、お前、小鳥遊さんにカッコいいところ見せようとして力みすぎてるぞ」


「そんなことは考えてない!」


「まあ、とにかく肩の力を抜け」


秀樹は俺の左肩をポンと軽く触ると戻っていった。


俺は恋歌がいる観客席にふと目をやると恋歌の声が届いた。


「頑張れ!!壮真さーん!!!」


(頑張るよ。恋歌)


急に肩が軽くなり、140km超えのストレートが唸りを上げる。


二者連続三振でピンチを乗り越えた。


そして、ついに最終回の9回裏。二死ランナー無し。


カウント2-2。俺は大きく振りかぶると左腕をおもいっきり振り抜いた。


バッターの足元に突き刺さる渾身のクロスファイアー。


審判の右手が上がり三振でゲームセット。


俺たちは初のベスト16入りを果たした……。


帰宅すると、凄い勢いで恋歌が抱きついてきた。


「お帰りなさい!壮真さん!」


「ただいま、恋歌」


俺は疲れが溜まっていたのか、帰るなりソファーで寝てしまったらしい。


目を開けたら、恋歌が膝枕をしていてくれた。


「目が覚めましたか?うふふ」


「あっ、悪い。寝ちゃってたか」


「いえいえ、勝てて良かったですね」


「ちょっとやばかったけどね。まあ、秀樹が相手のチームのマネージャーが綺麗とかアホな話したから気が抜けたのかな?まあ、確かに綺麗だったけど……あっ」


「綺麗……?」


恋歌のハイライトが一瞬にして消えた。


「スリーアウトですね……壮真さん……」


「ち、違うんだ!恋歌!」


「ゲームセットですよ……」


「お、俺が愛しているのは恋歌だけだ!!」


「本当ですか……?」


「本当だ!!」


「証明してください……」


俺はそのままベッドへ連れていかれ朝方まで寝させてもらえなかった……。


(許してもらえたから良かったけど……)

第1章はここで終わりです


読んでくださりありがとうございました


次からは第2章になります

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