ウェアラビットの誘拐
「なっ⁉ そ、そんな事件が起きてたのか⁉ なんで知らせてくれなかったんだよ!」
「ハクトがどこにいるのかわからなかったのじゃ。一応冒険者ギルドに手紙は送ったのじゃが」
「受け取ってねえぜ……」
「仕方ありませんの。冒険者に連絡をとるのは難しいですの」
「ハクトさんはこの村に帰ってくるのは久しぶりなの?」
「はい、収穫の時期ですし、冬には冒険者を休業するので、約半年ぶりですかね。俺が村を離れていた間にこんなことになってるなんて」
「だから村長さん以外のウェアラビットを見かけなかったんだね。皆隠れているのかな」
村に入ってから、ハクトさんのように人間に近い兎人族はよく見かけたが、ウェアラビットはいなかった。
畑の周りで遊んでいたのも普通の兎人族の子供たちだけだったのだ。
「ハクトの責任ではないから落ち込むな。ハクトが帰って来てくれたから、これ以上ウェアラビットが攫われることもないのじゃ」
「今までに攫われた奴らは……」
「もうとっくにどこかに売られているじゃろうの……」
村長さんの悲しげな声に、部屋の中に沈黙が落ちる。
「ウェアラビットは、愛玩用として好まれる。せめて、可愛がられているとよいのじゃが」
「魔王が退治されたからって、旅に出るんじゃなかった。俺が守っていれば……」
「ハクト……」
「ハクトさんは村の防衛のかなめだったんだね」
「せっかく魔王を倒したっていうのに、今度は……やるせないですの」
プリュドの言葉に、心がずきりときしむ。
魔王を倒して平和になったと思ったのに。
魔王を倒さなければ、ウェアラビットは誘拐されなかったの?
「勘違いしてなければいいんだけど、魔王を倒したからだなんて思わないでね」
冷たくなった指を、アイシャがぎゅっと握った。
「アイシャ」
「ウェアラビットを助けましょう。私たちならできるわ」
アイシャがにっと笑う。
いつの間にか反対側の手を握っていたプリュドが、はんっと鼻で笑った。
「アイシャなんか戦力になりませんの。レティとプリュドがいれば敵はないですの」
「我もいるのだ!」
「プリュド、シュバルツ」
目を丸くしている私の前では、ハクトさんと村長さんも大口をぽかんと開けていた。
そんな二人がおかしくて、くすりと笑うと私は口を開いた。
「誰が犯人かわからないけれど、私たち攫われたウェアラビットを助けるよ」
「じゃ、じゃが、どこにさらわれたかもわからんのに……」
「そうだ、無理ですよ」
「全員は無理かもしれないけど、出来る限りやる。やらせてください」
「「レティさん……」」
ぎゅっと握りこまれた両手の温かさが、すごく心強かった。
ゆっくりペースですみません。無理なく書いていきます^^;




