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第6話

あの日から一週間

俺はテレポートゲートを見る度心がざわつく、身体の感覚が薄れていく中で聞こえたあの声はサンちゃんのとは別だったけど

今思えばあの声は良性アストラル体だったのかな

もう一度会話をしたい、なんて考えてしまっている

キューさんには止められている手前そんな事声に出して言えたりしないんだけどね

ただ俺は知りたくなってしまってる

半端な欲は身を滅ぼす事は理解しているつもりだけど、とめられそうにない

いつもの空き地で1人考えてると

「あっ、テンじゃん、なにしてんだよ!」

この声はハジメだ

「よーハジメ、少し感傷に浸ってたんだ」

少し格好つけて言ってみる。

「何言ってんだよ笑 花龍いくか!?」

時間は夕方を超え夜との境目が曖昧になってきている

「ちょうど腹減ってきたし今からいくか」

俺たちはいつものご飯を食べに花龍へ向かった

着いて早々、おっちゃんにいつものセットを頼みテレビを見ていると

「永遠反対寿命万歳 永遠反対寿命万歳」

寿命薬が出回り死が以前よりずっと身近になった事で

こうしたデモが起きているらしい

少し共感できた自分がいた

「チッなんだよあれ、あいつらバカじゃねーの?」

ハジメはそう言う、そうだよな、こいつにとって寿命なんかなくて良いものなんだ、失う痛みを知っているから

それでも惹かれる死への興味は俺の中で膨らみ続けていた。

もう一度サンちゃんと話したい、強く思う度頭にテレポートゲートが思い浮かぶ

「明日いくか」

小さく呟くとハジメは聞いていたようで

「どこか出かけんの?俺も一緒にいこーかな!」

「いや、本屋だよ、読んでる小説の新刊が明日発売なの思い出してさ」

嘘をついた、こんな事言えるはずがない

「なんだぁーまぁしゃーねーか!

何して時間つぶそーかなー」

そう言うハジメの顔はあの頃のように笑っていた。


「「ごちそーさまです!」」


花龍を食べ終え俺たちは帰路に着く

明日になれば何の話をしたか忘てるぐらいくだらない会話をしながら。

次の日、俺はテレポートゲートに向かっている

会える確証なんてないし、会えてもまた身体が動かなくなるかもしれないのに

小さな恐怖より大きな興味にのまれている

「テン君、おはようございます」

キューさんだ、今は何となく会いたくなかった、理由はわかっている

俺がサンちゃんを求めているからだ

「キューさん、おはようございます」

「今日はどちらにお出かけへ?」

「今日もハリウッドに行こうかな、と」

あの日声が聞こえた日と同じ条件で

試したかった

「お好きなんですね」

笑うキューさんに少し戸惑う

「はい、人並みに」

「テン君」

「はい?」

「.......いえ、何でもありません」

「では気をつけていってらっしゃい」

「いってきます」

ゲートを超える


ジワジワと身体の感覚がなくなる、周りの音や匂いも消えていく、それでいて暖かい

__この感覚だ


「テン」

名前を呼ばれた、声の正体を俺は知ってる

サンちゃんだ

「サンちゃん、おはよう、なんだか久しぶりだね」

「おはようテン、アレからモキミはワタクシ

忘れる事ナクイテクレた」

当たり前だ、あんな体験忘れるわけがない

「あんな経験しちゃったらね」

ふとテレポートの時間が長いことに気付く

「なんかテレポート長くない?」

「ソレハそうだよ、イマハ精神だけの状態

周りの時間はトマッテル、長くは続けれないケドネ」

原理はわからないが、そう言うものだと理解した

「そう言えばアストラル体の話色々聞いたよ、良性と悪性があるって」

「ソウダヨ、

  ワタクシ悪性アストラル体Ω369」

「知ってるよ」

笑みが溢れた

「悪性と良性考え方チガウ」

「そうなんだ、前に話を聞いた時は種類の違うアストラル体が存在してるって事しか聞けなかったんだ」

「ソレハダレがイッテタ?」

「中央機密保持AI TYPE9000番代のキューさんだよ」

「ソイツは良性ダネ」

「えっ?」

「良性って、アストラル体って事?」

「ダネ、TYPE100番代以降のAIは良性ダヨ」

思いがけずキューさんの、いやヒノモト中のAIの正体を知ってしまった、確かに今思えばあんなに詳しかったのもあんまり深くまで話さなかったのも良性だったからこそなのかも

「それでさ、サンちゃんたち悪性は何が目的なの?人はこのままじゃダメって言ってたけど」

「ワタシタチ求める自由、今のヒトゾク

停滞、停滞コソ悪ダヨ」

なるほど、一理ある

良性と悪性で相反しあってるんだ

「ソロソロ時間」

あ、いいとこなのに

「そういえばサンちゃん、言葉上手になったね」

「学んデイルからね、人族ヲ」

不気味に笑うサンちゃんを最初より怖いと思わなかったのは俺の中にいるからなのだろうか

「じゃあねテン、また会オウ」

「うん、バイバイサンちゃん」


身体の感覚が徐々に戻っていく、

あぁ、また戻ってきたよハリウッド


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