第4話
あれから数ヶ月経った
俺とハジメは1ヶ月前ぐらいからまた学校に行く様になっていた
そしてそれと同時に寿命薬もその名を世界中に知らしめていた
学校に行くと空いている席が4、5席程ある、他のクラスもチラホラあるらしい
原因は明白だ、学校だけじゃない、色んなところで寿命薬を使って生を終えた人達がいるらしい、そんな状況を見て世界政府は寿命薬を製造、販売を中止に、そして違法化した
今になってみれば対応が遅かったのは言うまでもない
学校に来ていても寿命薬の話題は止まらない
「隣のクラスの前田君寿命薬で死んだらしいよ」
「えーー、最近まで普通に喋ってたのに」
「でも死ぬってどんなかんじなんだろーね、
怖いけどちょっと気になるかも笑」
そんな会話が後を絶たない
すかさずハジメは
「そんな薬の話は俺が聞こえる範囲ですんじゃねぇ」
ハジメにとっては良い物な訳が無いし、聞こえる範囲で話していた奴らのデリカシーが無いからハジメの怒りは当たり前だ
「ごめん、熊谷君」
されどこの世界にとって死は限りなく遠い物だ、この手の話が尽きないのは仕方がないようにも感じる
「謝ればなんでも許されんのか??」
あれからハジメは寿命薬の話になると我を忘れているかの様な振る舞いをする様になった
身近な人を亡くしたからそれは当然の様な気もするが少し怒りすぎだ
「まぁハジメ、あいつらも悪気はないと思うしさ、ハジメの気持ちも分かるけど少し落ち着こう?」
俺の言葉を聞いて我に帰ったのか
「あ、あぁ、声荒げてごめんな」
仕方が無いけど最近はこう言うアクシデントも増えている気がする
誰が悪いとかではなくて、社会を見てもあの日から少しづつ当たり前が狂っていってるような。
授業中は上の空で俺は悪性ナンタラの事を考えていた、あれからテレポートを使っても
何も接触してこないし、ましてや悪性ナンタラの正体について辿り着けるわけもなく、ただあの日のことは鮮明に覚えている、声に抑揚は無く、ノイズが響き、気づけば目的地に着いていた。
一体何だったんだろう
そんな事を考えてると気づけば夜になっている、ここ最近は少し自分でもおかしいと思う。
学校に通うようになって休みが土日に戻った
毎日休みみたいだった頃に比べると金曜日までがとても長く感じる、幸い今日は金曜日だから
明日は気晴らしにまたどこか出かけよう
布団に入り目を閉じた
少し経って気づいたが今日はなかなか寝付けない、部屋は真っ暗じゃ無いと眠れない俺は
いつも電気を全部消す、今日も消したはずだが
どこか明るい気がする、消し忘れでもしたんだろうか、ただ目を開けて確認するのも面倒だと思うくらいにはもう直ぐ眠れそうなのだ、どこの電気を消し忘れた?
なんて考えてると瞼の裏に綺麗な花のような物が浮かんでいることに気づいた、
何だこれ?
綺麗な花ではあるけど影が深いような、見れば見るほど吸い込まれてしまいそうな模様だ、何なんだこれは、
「、、ミ、ン、、ミテン、アマミテン、」
俺を呼んでいる?
誰だっ
そして気付いた、身体は動かず声が出ない
「アマミテン、ハジメマシテカナ
ワタクシ悪性アストラル体Ω369」
悪性アストラル体?
お前は悪性ナンタラか、
「ソウダヨ、悪性ナンタラ、アマミテンガ毎日意識スルタビニ顕現デキルヨウニナッタ、
イマハユメノナカダケ」
状況は意味がわからないのにとても落ち着いている自分に驚く
聞きたいことが山ほどあるのに声が出せない
何故だ
「ネンジルダケデイイヨ」
念じるだけ?
「ソウ」
はっとした、確かに俺はずっと喋ってなかったのに悪性ナンタラと会話できていた
驚きつつも少し落ち着いて
「ところで、お前は一体何者なんだ?」
「ワタシハ悪性アストラル体Ω369」
「さっきも聞いた気がするけど、長いからサンちゃんでいいか?」
「サンチャンイイヨ、トコロデ、アマミテンハコノセカイガオカシイコトムカシカラキヅイテタヨネ」
「おかしい所?確かに疑問に思うことは多かったし、死への興味なんかも昔から持ってたな」
「ニンゲンイマノママダメ」
「はぁ?」
ぶっ飛びすぎてて逆に笑えてしまう
「何言ってんだ」
「ニンゲンイチドシネバイイ、シハヒツヨウトオモワナイ?」
「そんなことすりゃ人口も減るだろうし、今みたいに平和にいかないんじゃないの?」
「ソレモマタウンメイ」
訳がわからないけど、悪性ナンタラ改めサンちゃんは人間の敵ってわけか
「ソウダケドソウジャナイ」
「ケドイマハソレデイイ、今日ハモウジカンナイ、マタ会オウ」
まだまだ気になることはあるが時間が許さないらしい、気づけば俺は深い暗闇に吸い込まれていった




