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第1話

「ハジメ、大丈夫か?」

虚な目をしたハジメをみて俺はこんな言葉しかかけられない

「急すぎるんだよ、何でなんだよ!」

あれからハジメのとーちゃんの死は国内外を駆け巡る大ニュースになった、何せ300歳まで死ねないのに1人の男が48歳と言う若さで死んだからだ

「あれから家には記者AIや面白おかしく騒ぎ立てる連中が、俺や周りに話を聞いて回ってるんだ、意味わかんねーよ、とーちゃんの死はエンタメじゃねーんだよ」

ハジメの怒りは尤もだ、そんな人間おかしいし、それに疑問も持たない周りもおかしい

エンタメにしてる奴らなんかもってのほかだ

「俺に出来る事あれば何でも言えよ、ハジメや美緒ママも今は絶対辛いだろうからさ」

美緒ママとはハジメのかーちゃんで昔から家に遊びにいった時や街でふと会った時なんか良くしてもらってる、ハジメ以上の辛さは感じれてないんだろうけど

世間のおかしい空気感には俺も怒りがおさまらない

「ありがとなテン、ただ今は1人にしてくれねーか」

いつもの空き地でそう言うハジメ

ただ俺はなぜか1人にしちゃいけない気がした

俺のエゴだろうか

「黙ってるからさ、おれも横にいていいかな」

ハジメは否定も肯定もせずただ泣いている

少し時間が経って落ち着いたのかハジメが

「とーちゃんの死因、寿命薬だったらしい」

「俺もニュースでは見たけど、本当だったんだな」

「許せねぇ、こんなクスリ作ったやつもとーちゃんに使ったやつもとーちゃんをエンタメにした奴も全部許せねぇ」

尤もだ、返す言葉が何も出て来ない

「そーだよな」

こんなありきたりな言葉も今じゃ普段と違う重みを増す

「腹減ってない?花龍いこうよ」

ハジメに問いかける

お決まりの店だからかスッと言葉にできた

「泣くのは終わりだ、飯食べに行こう」

ハジメが今日一番の笑顔で返してくれた

こいつのこーゆー所がたまに薬になってたんだろう

「ハジメは強いな」

「なにがだよ!悲しいけど考えるの辞めただけだ」

俺はそれ以上何も言えず花龍までのいつもの道を黙って歩き出す。

花龍に着いて早々

「俺は豚骨ラーメン餃子とライスのセットで!」

ハジメのお決まりだ

「じゃあ俺は豚骨ラーメンの炒飯セットで」

俺もお決まりメニューをおっちゃんに言った

おっちゃんもニュースは見たんだろう、ラーメンを出されると餃子2人前を出してくれた、店主なりの優しさなんだろう

「いっぱい食えよ」

ハジメが涙目になる

「「いただきます」」

俺たちは黙ってご飯を平らげた。


それから数日後ハジメのとーちゃんのニュースを皮切りに、世間では寿命薬が徐々に広まりつつあるらしい

日本有数の大企業の社長やアメリカのビッグタレント、はたまた、ロシアの中学生も寿命薬を使って自殺したとニュースで見た時、この世界の何かが崩れていく音が聞こえた。

寿命薬を調べていた俺はどこで買えるのか、どこまで広まってるのか、誰が作っているのか

一学生の身なら精々買える場所や広まりつつある場所が分かったぐらいだが、それでも収穫だ

何でこんなに躍起になって探してるかと言うと、それが親友にできる恩返しだと思ったから

いや、何も出来ない自分が嫌だと思うエゴからなんだろう、ただ何もせずにはいられなかった

次の日俺は難波アメ村の路地裏に居た

目的は寿命薬を捌いてるプッシャーがいるらしい

買う段取りをつけてプッシャーを待っていた

「お疲れ様で〜す」

明らかに怪しい格好をしたプッシャーが

声をかけてきた

「お疲れ様です」

「買いに来た客っすよね?」

「はい」

こんなドキドキは久しぶりだ、初めての経験で手が震える

「ちょっと緊張してるんすか?笑

大丈夫っすよ、まだ合法なんで犯罪ちゃうんすよ」

合法といっても脱法だ、

ただこいつらからしたらそんな事どーでもいいんだろう

「じゃこれっすね、先金もらっていいっすか?」

「はい、これで」

「1、2、3、〜24、25、丁度すね、ほなこれどーぞ」

一錠25万、月に支給される満額だが

それでも安いと思った 

死ねない世界で25万で死ねるなら破格だ

「寿命薬作ってるのって誰なんですかね?」

「知らんすよ〜笑俺らはただこっちに回って来たやつ捌いていくだけなんで!

もし良かったら葉っぱとかもあるっすけどどーすか?」

今の時代大麻も合法化している

800年前のヒノモトが日本だった時代じゃ違法だったらしいが

いつからか法改正がすすんで合法になったらしい

「大麻はいらないです、寿命薬だけで」

「そーすか、ま、ありがとうございました〜」

「ありがとうございます」

そして呆気なく取引は終わり自宅に戻った

俺は1時間ほど飲むつもりもない寿命薬をただ見つめていた

「買ったはいいけどどうしよう」

興味と自制心でぐちゃぐちゃだ

一度落ち着かせるため夜風にあたろうとしたその時、家のチャイムが鳴った


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