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第三十七話 怖いヨシュウ先生

 ニュートの装備をライオンハート鍛冶店に依頼してから一週間後。


 ライオンハート一家はクロとシロの時以上に情熱と全技術を惜しみなく使ってニュートの装備を用意してくれた。


 前と変わらずレンは日曜日に教会でヨシュウから「出来たぞ。早く来い」と言われた。ただ、もうレン一家の幸せオーラは感じたくないのか、だいぶ落ち着いて催促していた。


 ニュートのために用意された装備は金属性装備が、基本はレンと同じ、分厚さはクロ、シロと同じ様に作られている。


 アンダーウェアはレンと同じ。コート、シャツ、ズボン、手袋、靴などだ。素材も同じ。


 しかし幸せオーラを浴びても情熱は消えないのか、一家全員全技術を結集して作ったため、全体のクオリティがものすごいことになっている。


 今回は四人それぞれの素材が充分にあることから、レンの血も少量で充分、四人の魔力を直接注ぎ込む必要もない。シロがマリーの代わりになれるので、レベッカと一緒に融合のイメージの魔力を放つ。ウィリアムもしっかり見守っている。


「重さは大丈夫かニュート?」


「はい、これぐらいなら大丈夫です。戦うのも飛ぶのも問題ありません」


 この一週間落ち着いたヨシュウを見てきて、ニュートもヨシュウに怯えなくなった。


「レン、お前の用意したバスターソードを見せてくれ」


「はいはい、これだよ。アビシアの一番いい鍛冶店で特注したものだ」


「ふむ、悪くない仕事だ。これなら問題ないだろう。よし、準備をして始めるぞ!!四人は血液を少し集めて混ぜてくれ。レベッカさん、シロ、融合のイメージの魔力を頼みます」


 今回はヨシュウがリーダーとなり、ライオンハート一家に指示を出す。すべての装備を並べ、その上から均等に素材をふりかけ、レベッカとシロが融合の魔力を放ち、四人の血液をたらすと、全属性の六色に加えて蒼、紅、淡い緑の9色が今まで以上にまぶしく輝きだした。


「じいちゃん、親父、お袋、行くぞ!!」


 ヨシュウの掛け声で一斉に槌をふるう四人。


 あふれんばかりの光が次々と装備に吸い込まれていき、光は治まった。


「ぐおっ!!ものすごい力が流れ込んでくる!!」


「こ、これがニュートの力なの!?」


「うっ、確かにものすごい力……」


「なんでしょうこの感覚は……?暖かい感じと力が満ち溢れて体も軽いです……」


 ニュート以外全員パスから流れ込んでくる力に少し苦しんだりびっくりしている。


「「「「こんな美しい光景見たことがない(わ)(のう)…………」」」」

 

 ライオンハート一家が見つめる装備はおおむねレン、クロ、シロのものと同じ。ただ異なるのは金属装備に鱗のような模様が浮かび上がっている。


 ちょうどおそろいの装備を身につけていたレン、クロ、シロの装備にも同じ模様が武器と防具に浮かび上がっている。


「俺達の装備もちょっと変わったな?ヨシュウ、ついでに確かめてくれるか?」


「…………」


「おい?ヨシュウ?」


「あ、ああ、了解だ。『チェック』すごいな……金属装備はもはやオリハルコン並みの強度があるぞ。しかも全員の装備が……ドラゴンの素材とはここまですごいのか。しかも全属性耐性が付加されている……」


「本当か?重さは変わってない気がするんだが?クロ、シロ、変わってないよな?」


「うん、前のままよ。でもこの模様かっこいいね」


「ふむ、軽さは変わっていない。模様も素敵。ニュートを身に纏っているよう」


「わぁー、きれいな装備ですね。コートとかシャツやズボンもパパと同じで嬉しいです」


「ニュート、ちょっと待て『チェック』すごいな、強度が布や皮とは思えん。レン、クロ、シロ、ちょっと失礼するぞ『チェック』お前達の装備も同じだな……これはもはや世界最強の防具だ」


 ヨシュウは世界最強の装備を作ってしまった反動か座り込んでしまった。いや、説明を聞いていたライオンハート一家全員へたり込んでいる。ゴードンはなんか危険な感じでぶるぶる震えている。ちょっと口から泡が出て呼吸音もひゅーひゅーと音を立てており、顔が真っ青だ。


「ちょ、ちょっとゴードンさん大丈夫ですか?『リバイブ』『チェック』くそ、足りない!!『リバイブ』……ふう、呼吸も安定したし、顔色も戻った。震えも止まったみたいだな。今は寝ているだけのようだ」


 リバイブ一回では足りないぐらいのショックだったらしい。まあ銀製の装備がオリハルコン並みの強度になってしかも全属性耐性と全属性増幅効果がある世界最強装備になったとかいわれたらゴードンでなくとも危篤状態になってしまうかもしれない。


「前回のクロちゃんとシロちゃんの時が最高で最後の大仕事と思っていたんだが……レンくんは本当に信じられない仕事を持ってくるな……」


「えっと……なんか迷惑かけたみたいですいませんライオンハート一家の皆さん」


 レンは謝罪を告げるのだが。


「「「「謝る(な)(らないで)(必要など微塵もないのじゃ)!!」」」」


 ゴードンが吸血鬼のように突然復活し四人全員で謝罪を否定された。


「あ、ありがとうございます……?」


「「「「礼も(いらん)(いらないわ)(言う必要など微塵もないのじゃ)!!」」」」


 再びライオンハート一家がシンクロして感謝も否定された。


「前も言ったがこんなニエフ中の鍛冶師が経験できない仕事を持ってきてくれたんだ。こっちが感謝しないと本当にイエス様に怒られちまう。レン、本当に感謝する。さすがにもうこんな機会はないだろう。ニュート、更衣室で装備を整えてさっさと性能試して来い。」


「は、はひ、ヨシュウさん!!」


 ニュートは再び怯えて装備を抱えダッシュで更衣室へ向かっていった。


「こういうときなんていえばいいんだ?謝罪も感謝も否定されてしまった……」


「そんなこと考えるよりお前達もさっさと魔物皆殺しにして性能確かめろ。その装備とお前達の実力があればSランク魔物も余裕でぶっ飛ばせるはずだ。お前達が装備を使いこなすのが俺達の一番の報酬だ」


「そ、そうか、がんばって使いこなしてヨシュウたちのがんばりに答えるよ。」


「パパ、クロママ、シロママ、おじいちゃん、おばあちゃん、どうですか?似合いますか?」


「うん、よく似合ってるぞニュート」


「装備の形もアンダーウェアもパパそっくりだから本当に二人になったみたいね」


「ん、ニュートパパそっくり。よく似合ってる」


「本当にレンそっくりねぇ。ニュート、またうちに遊びにいらっしゃい」


「…………」


 ウィリアムは呆然としている。何もしてなかったのもあるのだろうが、美しい鍛冶の光景とか、世界最強装備とか聞かされて精神が麻痺してしまったらしい。


「ちょっとあなた、孫の晴れ舞台よ?なにか言ってあげてくださいな」


「あ、ああ……ニュート、よく似合ってるぞ、本当にレンの実の息子のようだな」


「おら!!ウィリアムさんとレベッカさんからもお褒めの言葉をいただいたんだ!!全員イクス周辺の魔物を殲滅して来い!!」


「「「「はい!!ヨシュウ先生!!」」」」


 敬礼しながらそういって四人はダッシュでライオンハート鍛冶店を出て行った。ヨシュウが鬼軍曹のようになっている。あんな大仕事と装備を見せられれば仕方のないことだが。


 かくして無事にかどうかは分からないが、ニュートもレン、クロ、シロとおそろいのリビングアウトフィットを手に入れたどころかレンたちの装備まで強化されてしまった。


 これで残すところはニュートのクリスチャンとしての成長の物語である。優しく賢いニュートならしっかりとウィリアムから学びを受け、必ずクリスチャンになれるだろう。


 その後にはいよいよカレンの本当の目的に向かわされるだろう。願わくば四人に明るい未来が待っていればいいのだが。

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