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第二十六話 幸せの始まりと、Sランクの影

 レンクロシロの結婚式から2日目の朝。


「だいぶがんばっちゃったなぁ」


 全裸で眠るクロとシロを愛おしく見つめるレン。


 新婚初夜がまったりしていた分、次の日の夜反動が来たようだ。


 性生活でもクロとシロは正反対だった。


 クロは従順にレンがしてほしいことをまったく嫌がらず心からの奉仕をしてくれた。


 シロはどこでそんなことを学んだのかレンさえ知らないような奉仕を情熱的にしてくれた。


 二人はレンに奉仕し終わった後、限界まで甘やかされ、そのまま眠りに落ちた。


 二人よりも早く目を覚ましたレン。マリーとキョウヤの結婚で膨れ上がっていた負の感情もすべて吹っ飛んでしまったようだ。


「クロ、シロ、ありがとうな……」


 感謝を告げつつ二人を愛おしくなでるレン。


「んぅ……ふぁー、レン、おはよ……ってうわ!!なんで私裸なの!!レンもシロも!!」


「ん……おはようレン。昨日は楽しかった?ふふふ。でもまだまだ。もっといろいろしてほしい」


 どうやら悦ばされて気絶してしまったことからクロは昨晩何があったのか覚えていないらしい。シロは気絶してもしっかりと覚えており、むしろレンの欲望を促してくる。


「クロ、落ち着け、俺たち三人夫婦になったんだ。それで、その……初めての三人の夜をだな。シロ、すごく気持ちよかったんだが、どこであんなこと覚えたんだ?」


「はっ、そ、そうね……結婚したんだったわね……」


「そういうことを覚えたのは医学書とかから男性の構造を勉強して自分なりにアレンジしてみた」


「ありがとうクロ、ダメダメな俺をコントロールしてくれ。シロは勉強熱心だな。しかし、こんな気持ちいい朝は風呂に入りたいなー。カレンシュタインには風呂無いもんなぁ……」


「「お風呂って何?」」


「お風呂ってのは俺とかカレンの出身世界、地球って世界の日本ていう国のシャワーの代わりみたいなもんで、人が入れるぐらいの大きい入れ物にお湯を入れてその中につかるんだ。その、作ったらいっしょにはいってくれるか……?」


「あ、暖かい池みたいなものかしら?気、気持ちよさそうね……い、一緒に……レンとシロとならいいわ……」


「ほほう。いろいろ活用できそう……楽しみ。ふふふ」


「全力で作らせていただきます。ちょっと木材ギルド行ってきます。」


「だめよレン、クロお姉さんが止めるわ。レン今裸よ?少し頭冷やしなさい。」


「クロ、止めてくれてありがとう。なんにしても着替えないとな。いまだに全員全裸だし」


「はっ、そうだった!!」


「迅速に着替える」


「ほんじゃ着替えてカレンのところへ報告に行くか」


 夫婦となったことで三人の固有結界がよりラブラブとなり、カレンが見たら口から砂糖を吐き出しそうな朝チュントークを繰り広げる三人。


 しっかりとクロとシロの着替えシーンも堪能したレンは二人と共に足取り軽く対談所へとむかっていた途中。


「あら、レン、クロ、シロ、おはよう。なんか血色いいわね?」


「おはよう、レン、クロ、シロ、三人とも元気いいな、なんかいいことでもあったのかい?」


 ばったりとマリーとキョウヤに遭遇してしまった。クロもシロも昨夜のことと朝チュントークで油断しており、二人はだらだらと汗をかいている。


「姉さん、キョウヤ、おはよう。別にいつもどおりだよ。なあクロ、シロ?」


「へっ!?はい、そうです、別に何もありませんです!!」


「な、なんでもない……」


 クロとシロは自分達とレンが関係を持ったことからレンが完全にマリーのことを振り切っていると知らなかったためちょっと焦りつつも何とか問いかけに答えた。


「俺たちこれから対談所に行ってカレン様に教えてもらいたいことがあるんだ。姉さん達はこれからどこか行くの?」


「キョウヤの学びまで時間があるからちょっとぶらぶらしているだけよ。にしてもやっぱりイクスは田舎よねぇ。散歩してても見るもの何にも無いんだもの。ちょっとファルバに戻りたくなるわ」


「ははっ、イクスにはおいしい料理だす店とか女性が喜びそうなおしゃれ関係のお店少ないもんね。キョウヤ、姉さんが退屈のあまりファルバに戻ったりしないようにちゃんと姉さんを楽しませてくれよ」


「あ、ああ、なんかお前随分雰囲気かわったな……?ここ二ヶ月は最初以外俺達とろくに会話もしなかったのに……いや、マリーさんは楽しませるし、幸せにももちろんするんだが」


「おー、そういってもらえると嬉しいね。ちょっと事情があってね。心境の変化ってやつかな」


「へぇー、随分と元気になったじゃない。うじうじした感じも無くなったし。いいことだわ」


「姉さんからほめられるなんてはじめてかもね、はははは」


「そんなこと……なくはないわね、初めてかもしれないわ。何にしても姉離れできた様で何よりね。それじゃまたね」

 

「うん、姉さんもキョウヤも行ってらっしゃい。またね」


 去っていくマリーとキョウヤを見送る三人。


「レ、レン?大丈夫?無理してない?」


「レン……マリーを見ても平気?」


「あー、そのだな、二人に助けてもらって力と元気を昨晩ものすごくもらったから……それが心地よかったし、二人も同じように感じてくれていたようだから……とにかく二人のおかげだよ」


「そう!!元の優しいレンに戻ってくれて嬉しいわ!!私達がそれを出来たならなおさらだわ!!」


「クロと一緒にがんばった甲斐があった。レンが元に戻って嬉しい」


「元に戻るどころかずっと元気になってるよ、ありがとうな、クロ、シロ。愛してるぞ」


「ちょ、ちょっとレン、町中でそういう台詞は……ばれちゃうよ?」


「レン、嬉しいけどあまり人のいるところでは避けたほうがいいかと」


「大丈夫だって。トライ先生みたいな良いビーストテイマーとまではいかないかもしれないけど、それぐらいにしか思われないよ」


「そうね、いい信頼関係を持つマスターとパートナーなら愛し合うものだしね。問題ないかも」


「しっかりと感じてはいた。マスターとパートナーが愛し合うのは当然。問題ない」


「ごめんな、さっき家を出る前にマリー姉さんのこと大丈夫になってるって二人に伝えておけばよかったな」


「いいわよ、レンが元気になってくれればそれで。私はそれが一番幸せだもの」


「問題ない。レンがすっぱりきっぱりマリーのこと吹っ切れたならそれでいい」


「うん、ありがとう二人とも」


 元気よく歩き出すレンをみてクロとシロはちょっと涙を流しつつ、急いで追いかけた。


「おはようございます。昨晩はお楽しみのようでしたね、お客様」


 個室に入るといきなりカレンからそんな言葉をかけられる三人。


「ちょっとまて、お前プライベートなことは覗けないんじゃなかったのか?クロとシロのきれいな体見たらぶっ飛ばすぞ!!」


「レ、レン落ち着いて、たぶん大丈夫よ、カレン様は想像主なんだからそんなことたぶんしないわ。たぶん」


「見ていたら許さない。レンと共に私の魔法でカレンの体を消し飛ばす。クロも手伝って。そのあふれるパワーで体中の骨をへし折って」


「いや、そりゃ見られてたらそういう気分にもなるだろうけど……カレン様は完全にされた人間なんだからたぶんそんなことしないわ、たぶん……ですよね?カレン様?」


「はぁ、ここまで効果があるとはねぇ……いいんだか悪いんだか」


「さっさと白状しやがれ性悪想像主が!!」


「見れるわけ無いでしょ。前も言ったじゃない。さっきの台詞は悪かったけど、それもレンレンがマリーさんたちと会っても大丈夫だった上にその後イチャコラしてたからそういうことなんだろうと予想しただけだよ」


「紛らわしい言い方しやがって。まあ気持ちは分からんでもないが……」


「で?今日来た用件はなんだい?もう新婚生活に支障でもでたのかい?クロちゃんシロちゃんレンレンになんかひどいことでもされたの?」


「い、いえ、レンはその、優しくて、とっても上手で気持ちよくて……って私何を言ってるのーーーー!!」


「レンに問題はない。むしろ上手」


「はぁ、うまくいってるようでなによりだけど、クロちゃん、落ち着いて。そしてそれ以上詳細を言わないで。シロちゃんももう何も言わないで。聞きたくない」

「悪いな、カレン。しかし、三人で結婚したから、イクスにもそう長くはとどまれないだろう?なるべく早くお前の目的に向かうほうがいいんじゃないか?」


「うん、そうだね。でも三人ともまだ新婚さんなんだし、今しばらくはゆっくりしていてもいいよ。ニエフにはまだまだ君たちがかなわない魔物や人間がいるからね。Sランクの魔物やそれに匹敵する強さの人間の集団とも戦ってもらうことになる。しばらくはイクスで魔物狩りをして鍛錬しながら、幸せに暮らしておくれ」


「Sランクの魔物……現存していたのか……?それに匹敵する人間の集団も?マジかよ」


「うん、Sランクの魔物は今も確かに存在しているよ。それに匹敵する人間の集団もね。でも、そうだね、まずは君たちが結婚して強化された力を鍛錬して使いこなせるようになったら、まずはAランクの魔物の討伐を練習にしてみようか。それは僕の目的とは関係ないけど、君たちがより強くなるために必要だ」


「了解だ。まあAランクならアイスランサーより少し強い程度だろ。動物時代のクロと一緒でも何とか倒せたし。今はクロもシロも獣人だ、人間としての戦い方も充分学んだから何とかなるだろ」


「あー、レンレン、本当のAランクの魔物は個体にもよるけどアイスランサーとは比べられないくらい強いから、油断しちゃダメだよ」


「アイスランサーと比べられないくらい強い……?そしたらSランクなんてどうなっちまうんだ?」

 

「多くのSランク魔物はおとなしいんだ。自分の食料を採る時と家族や住処を守る時しか戦わないから、どのぐらい強いのかは僕にも分からない」


「了解だ。お前の指示ならたぶん大丈夫だろう。そもそも俺達が死んじまったらお前の計画もおじゃんだしな」


「ん、まずは新婚生活楽しんでね」


「了解だ、またな」


「カレン様、さようなら」


「また今度」


 いつもの挨拶をして帰っていく三人。


「これからどうなるかなぁ……神様、三人を導き、どうか願わくば三人の罪を許し、大きすぎる罪の刈り取りが三人を襲いませんように……」


 やはり三人で結婚したことの罪の刈り取りは心配なようだ。真剣な表情で祈っている。


 かくしてレン、クロ、シロの新婚生活は始まったのだった。

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