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第肆拾伍話 瞳

「はぁ、水泳競技で盗撮!?そんで、カメラは無事に回収出来たのかよ」


レスリングの会場には颯の姿があり、無線機で望海と連絡を取り合っているようだ。

相変わらず、苦労が絶えないなと思いながらも事の状況を最後まで聞く事は忘れないでいるようだ。

その中で何か法則性を見出す事が出来ればと思ったのだろう。


「此方は問題ありません。全て観客席から競技プールを見下ろせるように設置されていたようです。証拠は見つかりましたが、犯人の姿はカメラに収めされてはいませんでした」


「でも、必ずカメラを起動する時に手元が見えるはずだろう?まぁ、余計なヘマをしなきゃそんな簡単に尻尾はださねぇか。これ、単独犯じゃなくて複数犯だろ。そうじゃなきゃこんな同時期に複数箇所で仕掛けなんざ出来ねぇって」


「それは私もそうですし児玉さんも同じ事を言ってました。ただ、それだと更に疑問が生まれませんか?テロ集団なら選手の宿舎同様見つけているのでは?集団で行動していたら目立つでしょうに」


颯は周囲を見渡し団体客の様子を眺めている。

しかし、家族連れや不審な動きをするものはいなかった。


「流石に日中仕掛けてくる奴なんかいないか。検問は?何も引っかからないのか?不審な動きをする車とか」


「確かに有り得なくもないですが私達の管轄ではありませんからね。それは警察の仕事ですから。でも、節子さんを通じて情報は流れてきますけどあれ以来不審な行動をする者を捕らえたという記録や情報はないようです」


その言葉を聞いて颯は頷くものの、都合よく突然現れて突然消えたようにも思えた。

異変を感じたのは神楽舞からなのを彼は見逃さず、彼女に伝える事にしたようだ。


「あの儀式、もしかして失敗だったんじゃねぇか?火が燃え盛って成功したように見えたけど実はそうじゃなかった。もう一度洗い直してみた方が良いんじゃねぇの」


「流石、オカルト担当の颯さん。正直、その案はもう既に出ているんですよ。もしかしたら降霊した霊の仕業じゃないかって。でも、それを行うには全ての大祭のプログラムが終わってからでないと意味がありません。この開催中、私達はその霊と共にいないといけないのかもしれません」


「参ったな。俺はそう言う知識はあっても霊感はねぇよ。ばあちゃんなら手助けしてくれるかもしれねぇけど、降霊だから長期間連れ出せねぇし。あれは?愛やDr.黄泉では反応しない?念力を可視化出来るだろう?」


すると背後から人の気配がし、後ろを振り返ると隼と初嶺の姿があった。


「初嶺、この会場に何か異変はあるか?念力の可視化ならお前にも出来るだろう?」


「えぇ、試合で使われているタイマー。アレに仕掛けが施されてる可能性があります。確認した方が良いかと」


「チートかよ。これなら実体がなくても何とかなりそうだな。おい、初嶺。相手はどっちに行った?可能なら追いかける」


「辞めた方が良いと思いますよ。そもそも実態の無いものに触れる事は出来ません。1番危険なのは実体に憑依した時です。今はまだ、ポルターガイストで片付けられるかもしれませんが、最悪事件に発展する可能性も」


颯は初嶺の助言を聞いて、事態が進んでいるように見えてどん詰まりであると悟ったようだ。

しかし、運び屋達の力を合わせればこの事態が治る希望も僅かながら見えてきた。手段はまだ残されているだろう。


「とりあえず、3人で手分けして会場内を監視するしか無さそうだな。俺達はそもそも野外担当なのに緊急事態って聞いて戻って来てるからな。しかも向こうは問題大アリで冬季用の器具が森の中に放置されて、それを整備する奴もいないときた」


「しかも雪が降る保証はありませんからね。翼の【雪女】でなんとか用意は出来ると思いますけど。広範囲となると難しいでしょう。そもそも、俺達がどうしてそんなお人好しな行動をしないといけないんでしょうね?」


「お人好しね。確かにまるで俺達がこの大祭を取り仕切ってるのと同じだな。あぁ、なるほど全ての責任を押し付けて真犯人はとんずらって事なのかね。そんな都合の良い事をさせる訳がねぇだろ。絶対に捕まえてやる」




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