脅しているようなものだ(1)
続きはいつも通り本日20時公開です!
お姉様のお誕生日パーティーは、前回の私が十歳の時と同じように夕方から夜にかけて行われることとなっていた。基本的に子供のお誕生日パーティーは昼間にするものなのだけど、お姉様の強い希望で夜になった。……つまり、私にも参加してほしいということだ。離宮から全く出ることができない私を気遣っての行為なのだろうけど、私はしょっちゅう脱出用の通路を使って夜間離宮を抜け出している。……アイーシャお姉様ごめんなさい。
「タルジュ様……どうしてこんな隈がくっきりあるのですか!?夜中に私達の目を盗んで本でも読んでいらっしゃったのでしょう!」
ここ数日、作戦会議という名の夜の地下通路お忍びデート……私がデートのつもりだっただけかもしれないけど、を連日繰り返した結果、完全に私は寝不足に陥っていた。モフに身代わりを頼んであるからバレはしなかったけど、侍女からは違う疑いをかけられている。……モフの変身は姿形だけなので、喋る必要がある昼間はどうしても入れ替わることができない。出来れば昼間ぐっすりお昼寝したいのだけど、あまりお昼寝ばかりしているとそれはそれで周りに心配されるし……と悩んだ結果、隈がくっきりできてしまった。ウリクセス様は大丈夫なのだろうか?異様に朝方なのに夜出歩いては辛かったのではないだろうか?しかし夜遅くまで公務に追われていた時も朝は早起きだったのを思い起こすと……うん、ウリクセス様って人間なのかな?私とは大違いだ。
とりあえず侍女の怒りを収めるべく適当に謝る。髪型だけ下ろしたままのハーフアップに整えて欲しいと希望して、あとはされるがままにドレスアップさせられた。ドレスは、娘達を着飾らせるのが趣味のお母様が何日も布地を吟味してオーダーした高級品で、お姉様のドレスと対になっている。いつもは読書の邪魔にならないよう編み込んだ髪型を希望することが多いので疑問に思われたかもしれないけど……好きな人の好みの髪型にしたかったなんて口が裂けても言えない!
出来上がった自分の姿を、鏡に近づいてまじまじとよく見る。自分で言うのもどうかと思うのだけど、結構可愛く仕上がっているので満足する。何も手を加えていないそのままの髪が好きだと……前の時は何度も何度も勝手に、結った髪を解かれたなぁと懐かしく思い出しながら、ハーフアップにされた髪を彩る髪飾りに触れた。綺麗に飾りたい私と自然派のウリクセス様が唯一折り合えた髪型がコレ。ただの一つの髪型の種類だけど、それだけではない特別な意味がある。
私は前回のこのパーティーには参加しなかった。例のウリクセス様との初めての出会いである水路ずぶ濡れ事件で、風邪を引いたからだ。だから前回を元に考えて行動は出来ないけど、ウリクセス様と一緒に策を練ったのだから……きっと上手く行動出来るはず。今世は大切な人達を守り切ってみんなで幸せになるのだ。




