神の遣い
まっ白で可愛い私の妹。珍しい色をした妹は雪を意味する言葉「タルジュ」と名付けられた。そのせいで生まれてすぐ離宮に隔離されてしまって、家族と一緒に過ごせないのにあまり泣きもしない、とても良い子。まだ一歳にもなっていないのに、高熱のある体で私を慰めるように笑いかけてくれた優しい子。お花まみれにすると本当に奇跡のような可愛さで、まさに神様が遣わしてくれた子なのだと思いながら、ずっとこの可愛い妹を守ってあげようと再度心に誓った。私のせいで風邪を引かせてしまったことを深く反省し、この子を守るために賢くなろう、お勉強も頑張って立派な女王になって、体の弱いタルジュも守ってあげるのだと決意したばかりだった。
なのに、何故?昨夜は私が子守唄を歌いながら間違いなく寝かしつけたのに。騒ぎを聞いて大慌てで本宮から離宮に向かうと、ベッドの上は空だった。
「……どうして?」
お母様は泣き崩れてしまい、お父様は誘拐を疑って兵を動かしている。私も捜索に加わり離宮中を探したが、どこにもいない。
まだ歩けないはずだから自分で何処かに行ってしまうとは考えにくい。やはり誘拐なのだろうか?空になったベッドを呆然と見つめながら考える。
あぁ……もしかすると、本当にタルジュは神様の遣いだったのかもしれない。アズィーム山脈の神様が、連れ戻しにきたのかもしれない。
「タルジュ、ごめんね……」
守ってあげるねと言いながら、何もできなかった。涙がタルジュのベッドのシーツに歪な丸のシミを作る。
悲壮感で立ち上がることすら出来ない。そうしていると突然、目の前に白い優しい光が現れた。頭で考えるより先に手を伸ばし、その光を抱き寄せる。光が人の形を作り、輝きを減らしながら質量を伴っていく。現れた姿は間違いなくタルジュだった。
「ああ……神様……!」
誘拐ではなかった、神様は本当に居たのだ。……どうしてタルジュを返してくれたの?いや、理由なんてどうでもいい。可愛い妹が戻ってくるならなんでもいい。
「……あーちゃ?」
「タルジュ、貴女しゃべれるようになったの!?」
腕の中で笑顔を振りまく可愛い妹。どうやら熱も下がっているようで顔色も良い。
「ぁっ!」
ベッドを指さすのでそこにお座りさせてみると、すくっと立ち上がってみせてくれる。自慢げにどーお?とでも言いたげな顔をしているのが妙に面白いが……これは大変だ!
「ちょっと!誰か今すぐにお父様とお母様を呼んできて!タルジュが……!」




