↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/47

混乱

しばらくウリクセス様はお休みです!

 混乱した頭で自分の両手をみる。健康的なオレンジベースの肌色をした手、ぼやけない視界。信じられないという気持ちで自分の髪の毛を掴み、恐る恐る見る。その色は黒だった。


 呆然として座り込んでいると、視界の端に光る機械が映った。オタク友達からのメッセージが着信したようだ。


「……どういう事?」


 とりあえずスマホを手に取ってロックを解除する。随分久しぶりな気がするのだが暗証番号はしっかり手が覚えていた。

 どうやら寝落ちしていたらしい。再来週の日付に推しキャラのオンリーイベントがあると書き込んだままになっている。コンタクトを入れたまま寝てしまったのか、目がシパシパする。


「……夢?」


 何回鏡を見ても、私の顔は同人作家の「真白」。「タルジュ」ではない。

 夢にしてはあまりに長くあまりによく出来すぎていて……あまりに残酷だった。


「ウリクセス様……」


 口に出して呟いてみるが、自分の声が「タルジュ」では無い事に違和感しか覚えない。



『真白どこにいるの?もしかして今日遊ぶの忘れてなーい?笑』



 オタク友達の利麻がメッセージを送ってくる。茶色くて可愛い犬が泣いている画像付きで送ってきて……ついウリクセス様の事を思い出してしまう。

 とりあえず利麻に『ごめんまだ家!今すぐに出るね』と返信する。もうスマホなんて久しぶりな気がするのだが、意外と手が覚えているもので、なんとかなった。

 クローゼットを開けて適当な服を引っ掴んで着る。肩上までの髪はとりあえず櫛でとかしただけで、慌てて家から飛び出した。





「ちょっと真白―!遅いよー、ドタキャンされたかと思ったじゃん……って、なんか今日イメージ違うね?どうしたの?」


「え?どのあたりが?」


「そんなふりふりのワンピース持ってたんだねー、もしかしてこの後デート?」


 利麻に言われて思い出す。そういえば「真白」は比較的スポーティーな格好をよくするタイプの子だった。デート用にワンピースなど可愛い服だって数着は持っているが、日常使いはしない。ついつい「タルジュ」の目線で服を選んでしまった。……ヒラヒラした可愛い服を着せて喜んでいたのは、アイーシャお姉様やウリクセス様、ライラーなど周りの人であったのだが。


「……なんとなく、着てみただけ」


「ふーん?まぁ髪がそれだからデートじゃ無いか」


 髪も自分では結わないのが普通になっていたから梳かしただけだったのだけど、そういえばこの世界では何でも自分でするんだった。


「ねー、今日はコラボカフェ行くって言ってたじゃん?早く行って並ばないと、真白の推しのやつ無くなっちゃうよ!」


 私の推しって……そういえば誰だったっけ?利麻に手を引かれてカフェに向かう間も、頭に浮かぶのはウリクセス様の事ばかり。

 私は転生した世界で、タルジュとしてウリクセス様と一緒に死んだはずなのに。真白としての生は終わったのではなかったのか。





「ねぇ、やっぱ真白今日おかしいって。真白がコラボカフェ行くのにそのテンションな訳無いじゃん!どうしたの?ちょっとそこらで座って、何があったのか話してみな?」


 コラボカフェの看板が見えてきたあたりで、利麻に顔を覗き込まれる。さすが小学生の時からの付き合いだ。私より「真白」に詳しい。


「……利麻、ごめん」


「いいって!ほら、この利麻様がそこの自販機のジュース奢ってあげるからさ!何がいい?」


「じゃあ、紅茶系で」


「真白が紅茶!?万年コーヒー漬け、栄養ドリンクがジュース代わりの真白が!?」


 ……やっぱり私はもう根っから「タルジュ」に成り代わってしまったようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。