ずっと愛しています
それでも私はハッピーエンドが好きです(*'ω'*)
今日は21時にもう1話更新あります!
ウリクセス様は最後までウリクセス様だ。微笑んで、私が他の誰かを愛して生きるよう諭してくる……のは表面上だけで。内心そんな事は一切望んでいない。私の口から発する言葉の辞書に、他の男の名前なんていらないと、嫉妬心丸出しにしてきた姿そのままだった。
ウリクセス様の刑が執行される日。私には厳重な警備がついていた。そこまで警戒しなくてもと思うのだが……窓辺に準備した椅子に腰掛けて、窓の縁に置いた花瓶に生けたスズランの花を眺める私は、ただ恋人の処刑を悲しむ可哀想な小娘にしか見えないだろうに。
私の心と同じように天候は雨。おかげで窓辺にカーテンを開け放って座っていても、紫外線等は何も問題ない。
外の時計台の鐘が鳴る。正午を告げる鐘。ここから処刑の様子は一切見えないけれど、脳裏に浮かぶ残酷な光景。
「ウリクセス様、ずっと愛しています」
そっとスズランの花に口付ける。ウリクセス様にするのと同じように、優しく。
護衛達に怪しまれている様子は無い。それを横目で確認したのち、思いっきりスズランの花を喰い千切る。そして奇行を止められぬうちに、花瓶の水で花を胃に流し込んだ。大量の花瓶の水を残さぬように出来るだけ勢いよく飲み干す。
「!?タルジュ様、何をなさって……!」
護衛たちがそれを見て慌てて駆け寄ってくるが、ここまでやってしまえばこちらの勝ちだ。
『もしタルジュが私の事を忘れられず生きていくのであれば、そのスズランを私だと思って口付けてくれる?』
スズランには毒がある。それはウリクセス様もご存知の事。つまり、ウリクセス様は……私がウリクセス様を忘れられないのであれば、他の誰かのモノになるくらいなら……一緒に死んでくれと言ったのだ。
本当の最後のお願いは、絵じゃなかった。何があってもタルジュだけは手放せないと言った、嫉妬心の強いウリクセス様らしい願いだった。
徐々に早くなる心臓の音。苦しくなる呼吸。慌てた様子で何人かの護衛が部屋の外へ駆けていくが、この帝国ではメジャーではないこの花の毒をすぐに解毒できはしないだろう。
怖くなんてない。ウリクセス様と一緒なのだから。アイーシャお姉様だって待っていてくれるのだから。
脳裏を駆ける、一緒に過ごした幸せだった日々。いつか幸せは決壊して流れて行ってしまう……そう思った五年前が昨日のことのように思い出される。
――私、五年間ウリクセス様と一緒に暮らせて、幸せでした。
「……ウリクセスさ、ま、わたし、ずっといっしょ、に……あい、して」
気がついて目を開けた時。視界に映ったのは……クリアでぼやけていない、見知った天井だった。




