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第92話:肉塊の咆哮と王たちの交差


【サングリア領内・大平原『殺戮の街道』】


「オオオオオオォォォォォォッ――――――!!」


無数の【転生者兵器】の肉体とチートスキルを強引に自身へ取り込み、全高数十メートルにおよぶ凄惨な異形の肉塊へと変貌したラーミリア。

その巨大な腕が振り下ろされるだけで、地表が爆発し、大気が悲鳴を上げる。


「あたしは……あたしは最強だァァァッ! 貴様ごときに負けてたまるかぁぁぁッ!!」


異形の肉塊の随所から、無数のチートスキルの威光が乱反射するように解き放たれる。

空間を削り取る爆炎、絶対零度の冷気、重力を歪める波動――まさに全スキルをかき集めた「歩く災厄」そのもの。


だが――その破壊の暴風のただ中に立つリンドの顔には、一切の動揺もなかった。


「……醜いな」


リンドの左目――【深眼】が、ドス黒い光を解き放つ。

【深眼】の視界の中では、強引に繋ぎ合わされたラーミリアの膨大なスキルと命のストックの「継ぎ目(死線)」が、あまりにも鮮明に浮き彫りになっていた。


「集めれば強くなるとでも思ったか? ……お前のその力には、何も宿っていない」


ズバッ―――――ッ!!


リンドが軽く指を薙ぎ払うと同時に、空間そのものが断ち切られる。

ラーミリアが誇る強大な肉塊の腕が、抵抗すら許されず根元から切断され、地面へと叩きつけられた。


「グ……ガァァァッ!? な、なんだ……何が起きた……ッ!?」


「【捕食】」


ゴォォォォォォォォォンッ―――――……!!


切断された巨大な肉塊の腕が一瞬で黒い泥へと変わり、リンドの体内へと吸い込まれていく。

【捕食の王】の顎は、ラーミリアが取り込んだ転生者たちのスキルと膨大な魔力を、容赦なく己の血肉へと変換していく。


「ヒッ……やめろ……喰うな……あたしの力を……あたしの……ッ!?」


「終わりだ。サングリアの幹部」


絶望に叫ぶラーミリアの頭上へ、漆黒のオーラを纏ったリンドが降臨する。

【深眼】の光線が異形の大体を貫き、ラーミリアの本体ごと、その存在を世界の深層へと消滅させた――。


『幹部【ラーミリア・ササキ】の【捕食】を完了――』

『スキル【超重力破砕】【肉体統合】を獲得――』




【サングリア領内・大平原】


静まり返った荒野。

無数の肉人形と幹部一人の生命力を喰らい尽くし、さらに深く、暗く変質した魔力を放つリンド。


「そこにいるのか教皇.....今、お前を殺す.....!!」


血の味に酔い痴れ、さらに凶悪な【超深層化】の兆候を見せるリンドの背後から、疾走する足音が響き渡る。


「リンド――――――――ッ!!」


赤く光る白銀の髪をなびかせ、ついに追いついた【魔法の王】アイリス。

そしてライオ、ダイダラ、エルニャ、サウス、ナハムたち。


返り血を浴び、怪しく光る【深眼】を携えて振り向くリンドと、覚悟を定めた仲間たちの視線が、ついに戦場で交差するのだった。


「何故.....何故来た!?」


リンドが叫ぶ。もう仲間を失いたくない、もう目の前で誰も死なせたくない。そんな思いで突き放した存在たち。


「リンド....私達は何があってもあなたを一人にしない....一人で死なせない!!」


そうか。とリンドは納得した。俺の魂胆などはとっくにお見通しで、その上で俺を想ってここまで来たのだ。復讐に身を燃やし、ここまで来たが俺は気づけばこんなにも大切な存在を増やしていたのか。


「....勝手にしろ、俺は先に行く。」


俺は死霊召喚で桐原を含む【五角】、ラーミリアを召喚し、仲間達の護衛につける。


「ハッ...随分豪華な護衛だな....リンド、本当にお前は心配性なんだな!」


ライオは一人笑う。


「【深層の王】の仲間は私が相手をしよう。出でよ、人形共。」


アイリス達の元に立ちはだかるのはグラルド・ソノザキ。サングリアが誇る最強の騎士と名高い男。そして召喚される転生者の人形。


「こいつらを倒してリンドをサポートする!!....いくよ、みんな!!」


「「「「「おおお!!!!」」」」」


リンドはその様子を見て先に進む。

目の前にいたのはシュウ。


「いいね山城クン。でも僕にはまだちょっと及ばないかな....さて君の次の相手は”彼ら”だよ!」


「......!?」


目の前に現れたのはかつて自分を裏切った幼馴染たちのパーティ、【ランカーズ】だった。

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