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第73話:真域覚醒


「ゴクッ……ゴクッ……ッ!!」


首筋に噛みつき、溢れ出るシュウの血を喉奥へと流し込む。

その瞬間、リンドの全身の細胞が破裂せんばかりの衝動と共に熱狂した。


「何を....してるのかな....?」


時間停止が切れ、意識を取り戻したシュウが笑いながらも苛立ちを隠せない声色でリンドに問いかける。


「お前のスキルを借りるぞ、クソ野郎。」


『スキル【神域化】の因子の取り込みを確認――』

『体内スキルの再構成を開始します――』


脳内に響く無機質なアナウンス。

枯渇していた魔力が爆発的に再生成され、体内の無数のスキル――【捕食】【クロノス】【風化】【獣王】そしてカガヤから受け継いだ欠片が、シュウの血を触媒にして一つへと融解・統合されていく!


「離れろぉぉぉぉぉッ!! リンドぉぉぉぉッ!!」


追いついた桐原が血相を変え、極大の黒炎刃をリンドの背後から振り下ろす。

世界を滅ぼすほどの紫黒の威圧。しかし――。


ピキィィィィィンッ……!!


「……なに……ッ!?」


桐原の黒炎刃が、リンドの背中に触れる直前で結晶化するように凍りつき、そのまま粉々に砕け散った。


ゆっくりと振り返るリンド。

その姿は【獣王モード】の異形でも、これまでの人間の姿でもなかった。

純白と漆黒が入り混じる髪の毛に、赤と銀のオッドアイ。天使と悪魔の羽が融合したような奇形の翼。


【混沌の王】――【深層】の力と【神域】の力、本来決して交わることのない二つの力を【捕食】によって無理矢理融合した、概念そのものへと昇華した全能形態。


「言ったはずだ……お前の力も、そいつの力も……俺がすべて喰らい尽くすとな。」


「な……なんだその姿は……ッ!? 僕の【超深層領域】が……侵食されていく……!?」


桐原の顔が初めて絶望に引きつる。

地上の魔物から伸びていた無数の「紫色の魔力糸」が、リンドの【混沌】と化した魔力が放つ絶対的な引力によって強制的に切断され、すべてリンドの体内へと吸収され始めていたのだ。


「どうした、桐原。第3ラウンドと行こうぜ。」


リンドが静かに手を掲げる。

時間も、空間も、死も、再生も――大平原に存在するあらゆる理が、リンドの一挙一動にひれ伏していた。


「これが……俺の生み出した【混沌】の領域だ。」


「....【深層】のぶつかり合いに泥を塗ったね....!!リンドクン...!!」


珍しく怒りを露わにするシュウ。


「....これで勝ったつもりか?僕はまだ無傷同然!!方や満身創痍の君!!一体ここから何ができるんだい!?」


シュウを狙われ、一瞬焦ったが依然として余裕を見せる桐原。


「満身創痍か....お前にはそう見えるのか?」


俺は冷静な態度で亜空間から剣を取り出す。最初に復讐を誓った黄金に輝く剣、【黄金龍の煌剣】。手に握った瞬間、純白と漆黒のオーラが剣を包み込む。やがてその剣は姿を変える。まるで最初に【捕食】した、流星のような美しい龍を彷彿とさせる龍の剣。


「さぁ...【流星龍の煌帝剣】....これでこの復讐を終わらせる....!!」


絶対の王・桐原蓮との超次元バトル、ついに完全決着の時が訪れようとしていた。

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