↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/122

第63話:悪魔の制約と神威の帰還


「ハァ……ハァ……ッ……。見事……見事なり、若き芽吹きどもよ」


傷口を氷で直接拡張され、膝をついたエノキダ。だが、彼の瞳から討伐者としての光は消えていなかった。


「だが……私とて王に捧げた忠義がある。命を燃やし……最後の一瞬まで務めを果たさせてもらうッ!!」


ゴォォォォォォォッ!!


エノキダは自らの肉体に施していた『局所的な時間停止』を自ら解除した。

解き放たれた激痛と吐血、大量の出血が彼の全身を染め上げる。致命傷を負った肉体と引き換えに、彼は膨大な魔力を強引に【クロノス】へ再充填させた!


「嘘!!あの傷の中で時間停止を使うつもり!?...二人とも逃げ......」


アイリスが叫ぶも、その声が届ききる前にエノキダによる詠唱が終わる。


「すべての理よ、静止せよ――【時間操作(クロノス)】ッ!!」


――カチッ。


世界からすべての音が消え去る。

命を削る覚悟で解き放たれた最後の全域時止め。動けなくなったアイリス、ダイダラ、エルニャの三人へ向け、エノキダは血を撒き散らしながら軍刀を振り上げた。


「これにて……幕引きだ――」


――バリィィィィィィィン――――ッ!!


「な……なんだッ!?」


エノキダの背後の空間が、激しい音を立てて内側から「喰らい尽くされて」叩き割れた。

多次元の狭間の中にいたため、現実世界の【クロノス】の影響を一切受けていなかった男――リンドが、次元の壁を食い破って強襲したのだ!


「この瞬間を待ってたぜ……! 食らいやがれッ!!」


ドガァァァァンッ!!


リンドの漆黒の拳がエノキダの側頭部を全力で穿つ!

不意を突かれた激しい衝撃にエノキダの意識が一瞬途切れ、世界を縛っていた【クロノス】が呆気なく霧散した!


「時間停止が……解けた……!?」


時が動き出した瞬間、リンドの背後に立つ三人の目には、勝利の確信が宿っていた。


「リンド様....!!リンド様のお帰りだぁぁぁッ!! 【剛天・絶命断】!!」


「逃がさない……ッ!! 【疾風連撃・穿】!!」


ダイダラの巨斧がエノキダの肩口を叩き割り、エルニャの短剣がその喉元を深く穿つ!

二人の連撃によって空中に吹っ飛んだエノキダへ、最後にとどめを刺すべくアイリスが前に躍り出た。


「我が魂と引き換えに……悪魔の理をここに現出せよ!」


アイリスの瞳が禍々しい紫色に輝き、彼女の持つ秘められた【悪魔の制約】が解き放たれる。


「【悪魔の制約・黒炎滅殺陣(レクイエム)】――ッ!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォンッ!!!!


天を突く漆黒と紫の超極大魔法がエノキダの全身を包み込み、消滅させるかのように焼き尽くす。

【五角】最強の男、カルマルド・エノキダは、四人の完璧な絆と死力を尽くした連携の前に、ついにその場へ崩れ落ちたのだった。



(……思い返せば、酷い人生だったな)


薄れゆく意識のなかで、エノキダの脳裏に忌々しい過去の記憶が蘇る。


彼の父親は、異世界からやってきた「転生者」だった。

強力なチート能力に溺れ、力と欲望のままに世界を荒らし回った最低のクズ。エノキダの母親も、父親の気まぐれで弄ばれた挙げ句、身ごもった途端に捨てられた。


幼い頃から「転生者の子」として蔑まれ、破滅していく母の姿を見て育ったエノキダは心に固く誓ったのだ。

――あの身勝手で遊び戯れる父親のようには絶対になるものか、と。


欲望の赴くまま暴虐を尽くしていた父親を誅殺し、自分たち母子を「世界の理不尽」から救ってくれたのが、当時台頭しつつあった国王アダムスだった。

だからこそ、エノキダは真面目に、愚直なまでに規律を守り、命を救ってくれた王の忠実な側近――【五角】として生きる道を選んだのだった。


「....リンド、と言ったな。貴様も転生により得た力なのか?」


エノキダの問いに一瞬驚いたが、俺は既に”違和感”を確信に変えていたため、答えた。


「そうだ....。お前の父親と同じくな。」


「...!!気づいていたのか。」


見透かしたような俺の発言に、驚愕の表情を隠せないエノキダ。


「....父は、貴様とは似ても似つかぬ。自分が与えられた最強の力で横暴の限りを尽くし、金、酒、女に溺れた。私の母は弄ばれた女の一人だ。こんな世界は間違っている。母のような善良な人間があんな仕打ちを.....。」


エノキダは今にも息絶えそうな致命傷を負っていながらも、その瞳に宿す憎悪を燃やしていた。


「お前も世界の被害者だ....。俺はこの世界に、全てに復讐する。お前の無念も晴らしてやるよ。」


「フッ....私ではない、母の為に.....頼んだ....善良なる転生者....よ....」


こうしてエノキダとの死闘を終えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。