↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/122

第58話:要塞都市エル・ストラード


交易都市ローゼンを後にしたリンドたちは、街道の酒場で得た極秘の情報をもとに進路を北西へと取っていた。


「……国王アダムスが王都を離れ、要塞都市『エル・ストラード』に身を潜めている……か」


リンドの言葉に、地図を広げていたアイリスが険しい表情で頷く。


「エル・ストラード……。王国最前線の軍事要塞都市だよ。外壁は重厚な魔導鉱石で覆われていて、街全体が巨大な防衛結界で守られてるって聞いたことがある。本拠地の王都より守りが堅いかもしれない」


「フン! どれほど頑丈な壁だろうと、俺の巨斧とリンド様の【神域】の力で粉砕します!」


「油断は禁物だよ、ダイダラ。アダムスがそこに引きこもってるってことは、それだけの戦力を結集させてるってことだからね」


「油断....しない....!」


エルニャが短剣の柄を握り直し、気を引き締める。

【五角】の刺客たちを次々と撃破されたアダムスが、自らの身を守るために選んだ最終防衛拠点。そこへ攻め込むべく、一行は鉄壁の要塞へと足を進めていた。


要塞都市エル・ストラードへと続く、広大な一本道の断崖地帯。

荒々しい岩肌が続くその街道の真ん中に――ポツンと一人の男が立っていた。


黒い軍服を隙なく着こなし、腰に一振りの軍刀を下げた佇まい。微動だにせず、ただ静かにリンドたちを見据えている。


「……止まれ」


リンドが片手を挙げ、全員の足が止まる。

先ほどから感じていた肌を刺すような理不尽な圧迫感。その源泉が、目の前に立つ男であることは明白だった。


「……アダムス様より勅命を授かった。【五角】の一角、カルマルド・エノキダである」


男――カルマルドは、礼儀正しく静かに名乗りを上げた。一切の殺気も威圧も表に出していない。しかし、だからこそ異常なまでの底知れなさが漂っていた。


「エノキダ....なんだかこの世界じゃ聞きなれない名だな。転生者か?」


俺は名乗られた名前を聞いて前世の名残を感じた。


「敵と馴れ合うつもりはない。要塞都市エル・ストラードへ向かうつもりであろうが……これより先、一歩たりとも進ませるわけにはいかん。貴様たちの『時間』は、ここで終わりだ。」


「【五角】の残りか……お前も国王までの糧にしてやる。」


リンドは前へ出ると、瞳の奥に漆黒の魔力を滾らせた。カガヤから受け継いだ【神域】の威圧が解き放たれ、周囲の空間が微かに歪み始める。


「邪魔をするなら喰らうだけだ。そこをどけ、エノキダ」


「……交信不能。では、任務を遂行する」


エノキダが静かに軍刀の柄に手をかけた、その瞬間――。


――世界から、すべての『音』と『動き』が消え去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。