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第49話:水晶の味と結晶の剣士



ガリッ...バリバリバリ....


「ふむ、意外と美味いな」


「……リンド、本当にそれ食べたの……? 石だよ……?」


洞窟の道中、打ち倒したクリスタルゴーレムの核を口に放り込むリンドを見て、アイリスが引きつった顔でどん引きしていた。


【捕食】によって体内に取り込まれたクリスタルゴーレムの核。硬質な見た目に反して、口の中でカリッと砕けると甘甘とした上品な風味が広がる。前世の感覚で例えるならまるで極大の「金平糖」だ。


「見た目と違ってかなり甘い。それに……よし、一定数を食ったことで【死霊召喚】のバリエーションに『クリスタルゴーレム』が追加されたぞ」


「味の感想とスキル獲得を同時に言わないでほしいなぁ……」


呆れるアイリスを横目に、リンドは洞窟の最深部へと足を踏み入れる。

そこは巨大な水晶の群生が神秘的な蒼い光を放つ、ドーム状の大空間だった。広場の広場中央、水晶の玉座から重厚な重圧と共に立ち上がったのは――全身が研ぎ澄まされた鋭利な結晶の甲冑で覆われた、体長四メートルを超える巨躯の騎士。


ダンジョンボス――【水晶剣士】クリスタルカイザー。


「……オ……オオオオオオッ!!」


クリスタルカイザーが掲げた大剣から、極太の水晶の斬撃波が放たれる! 空間を断ち切るような速度と威圧感。


「サウスやバンドほどじゃないが、いい手応えだ! 全員、各自の連携を試すぞ!」


「了解っ! 【疾風迅雷・三連突き】ッ!」


エルニャが最速の踏み込みで死角へ潜り込み、風を纏った短剣で足元の水晶甲冑の継ぎ目を穿つ!


「ぬぅぁぁぁっ! 【剛天・砕岩斬】ぃぃっ!!」


生じた隙へダイダラが巨斧を叩きつけ、分厚い結晶の甲冑を豪快に粉砕!


「逃がさないよ! 【極寒の結晶槍(フリーズ・ランス)】ッ!」


アイリスの極寒魔法が砕けた内部へ突き刺さり、カイザーの動作を根底から凍てつかせて封じ込める。三人の息の合った連続攻撃が綺麗に決まった。


「――トドメは、新しい手駒でいくか」


リンドが影を落とすように手をかざす。


「出ろ……【死霊召喚】ッ!」


ズズズズズズズズ……ッ!!


足元の影から這い出たのは、先ほど【捕食】したばかりの数頭のクリスタルゴーレム、そして要塞のごとき【ディープ・ゴーレム】!


「砕け散れ!」


死霊ゴーレムたちの質量攻撃が一斉に凍りついたクリスタルカイザーへ叩きつけられる。逃げ場を失ったボスは、断末魔の叫びと共に巨大な水晶の破片となってガラガラと崩れ去っていった。


「やった……! ダンジョンボスを撃破したよ!」


「ふぅ……仲間との連携も、召喚の使い勝手も完璧に仕上がったな」


俺は水晶剣士を【捕食】し、好きな場所に結晶を出せるスキル【結晶顕現】を獲得した。


ボスの核を回収し、戦力増強とレベルアップを完全に終えたリンドたち。

水晶洞窟を抜け出た一行の視界に広がったのは、極寒の北の荒野――そしてその銀世界を超えた先にまるで砂漠のオアシスの如く雪のない木々の生い茂る場所、そこにポツンと佇む、一軒の家があった。


「……こんなところに家が...?よし、あの家を目指すぞ」


新たなる出会いと、さらなる力を求めて、リンドたちは雪原へと足を踏み出した――。

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