第39話:二つの死闘
「グオオオオオオオッ!!!」
アイリスとナハムの氷結魔法を力任せに打ち砕き、ディープ・ゴーレムが再び巨大な岩拳を振り上げる。
「あんなデカ物を行かせたら、リンドたちが挟み撃ちにされるぞ! ここで食い止めるんだッ!」
「応ッ! サウス殿、我らが壁となりましょう!」
サウスが大剣に波のような闘気を纏わせてゴーレムの足元へ滑り込み、ダイダラが巨斧を叩き鳴らしてヘイトを自身に集める。
後方ではナハムとアイリスが息の合った結界魔法を展開し、ゴーレムの広域攻撃の衝撃波を押し返し続けていた。
「アイリス、魔法で関節の氷結を維持して! 動きを鈍らせるわよ!」
「はいッ! サウスさん、ダイダラさん、今です!」
ブルーポセイドンとディープレイヤーの前衛・後衛が完璧なタッグを組み、巨大なディープ・ゴーレムを神殿の片隅へと着実に押し込んでいく。
――そして、神殿の中央。
「ヒヒッ……あいつらにゴーレムを押し付けて、二人だけで俺様の前に立つ気かぁ? 『深層くん』に自称娘の雑魚獣人がよォ...!」
崩れ落ちた祭壇の頂から、バンド・ジャガラが不快な笑みを浮かべ、俺とエルニャを見下ろす。
「余計な邪魔が入らない方がやりやすい。……お前を叩き潰すには、ちょうどいい舞台だ」
「あたしは………! あなたの狂気も、この呪われた血も、ここですべて終わらせる!」
俺とエルニャは武器を低く構え、深層化の異様な気配を放つバンドへと視線を固定する。
「ギャハハハッ! 吠えるじゃねぇかゴミ共がッ!! 殺してやるよぉぉッ!!」
ドバァンッ!! と神殿の床が跳ね跳び、バンドの巨躯が一瞬で視界から消え去った。
「ッ……左だ、エルニャ!」
「はいッ!!」
捕食で得た【超感覚】が捉えた空間の歪み。
左斜め上から空を切って振り下ろされたバンドの凶爪を、俺の大剣とエルニャの短剣が交差するようにギリギリで受け止める!
ガギィィィィンッ!!
「ぬおおおおおッ!!」
「くっ……あぁぁぁッ!!」
腕に伝わる、恐ろしいまでの質量と衝撃。
だが、以前の俺たちとは違う。俺は【金剛肌】と【合成獣の腕力】で強引に押し返し、エルニャは【迅雷脚】で滑るように攻撃の軌道を逃がす!
「ほう……? 少しは硬くなったじゃねぇか、『深層くん』よぉ!」
「喋る口を閉じる余裕すら、失わせてやる!」
神殿の片隅で巨大なゴーレムと死闘を繰り広げる仲間たち。
そして中央で火花を散らす、俺・エルニャ vs バンドの因縁の激突。
神殿内を二分する極限の同時進行バトルが、ついに本格開戦した――!




