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第36話:遺跡の深層化と暗雲


最後の決戦の舞台――そこは山々に囲まれた山間部に佇む、かつて古代の集落が存在したとされる『古の神殿遺跡』だった。


神殿を中心に広大な遺跡群が広がっているが、その光景は地獄絵図そのものだった。


「グアアア……ッ!」

「オオオオオッ……!」


遺跡の至る所から這い出てくるのは、漆黒のモヤを纏い、肌が腐ち果てた無数の『深層化ゾンビ』の群れだ。


「ちっ、湧き出てくる数が尋常じゃねぇぞ! 押し潰されるなッ!」


先陣を切るサウスが大剣を薙ぎ払い、ダイダラが巨斧で群がるゾンビを一網打尽に叩き潰す。

『ディープレイヤー』と『ブルーポセイドン』が矛となり、後続のライオ班やA級連合のために死力を尽くして道をこじ開けていく。


「二人に続け!!行くぞぉぉぉぉぉ!!」


後続の冒険者たちとともに押し寄せるゾンビの波を破り、俺たちはついに中心部に聳え立つ神殿の広場へと辿り着いた。

だが、その瞬間――。


「――グルアアアアアアアアアアッ!!!」


どこからやってきたのか、地響きと共に広場の中央へ舞い降りたのは、異形の魔物だった。


巨躯を誇るライオンの胴体に、漆黒の鷲の羽。そして蠢く蛇の尻尾を持つ合成獣――『深層化したキメラ』。

その体表は漆黒に染まり、血のように禍々しい「赤い紋様」が全身に浮き出ていた。


「な……なんだあの気味の悪いバケモノは……!?」


サウスが目を見開く。


「...ご丁寧に中ボスまで用意してやがるのか....!?あれはっ...!まずい!!」


キメラが咆哮を上げた瞬間、その口と全身の紋様から、濃厚な灰黒色のモヤ――【深層の霧】が広場全体へと爆発的に撒き散らされた。


「……ッ!? ガハッ……! な、なんだこれ……息が……っ!?」

「くっ……力が……抜けて……っ!」


霧に触れた後方の冒険者たちが、次々と膝をつき、吐血しながら苦しみ始める。

普通の人間には耐えられない、濃縮された深層の毒気と呪い。


「まずい……! 深層耐性がない者は一瞬で毒に侵される!」


ナハムが叫び、必死に結界魔法を張るが、侵食する霧を完全に防ぎきることはできない。


「アイリス、みんなを下がらせろ! ……【浄化】ッ!!」


俺は即座に前に出ると、かつて獲得した【浄化】の聖なる魔力を全開で解き放った。

柔らかな光の波が広場を包み込み、侵食していた【深層の霧】を怒涛の勢いで中和していく。


「ハァッ……ハァッ……た、助かった……! 息ができる……!」


「ナハムさん、他の魔法士の人たちも浄化結界を! 霧を押し返してください!」


「ええ、分かったわ! みんな、アイリスに続いて結界を維持しなさい!」


アイリスの指示のもと、後方の魔法士たちが一斉に中和結界を展開し、なんとか全滅の危機を脱する。


霧を払われたキメラが、不快そうに真っ赤な瞳を俺へと向けた。


「グルアッ……!!」


「威勢がいいな。……だが、クソ野郎の元へ行く前の準備運動にはちょうどいい」


「あたしも....戦う!!」



俺は大剣を構え、新スキルで研ぎ澄まされた視界で深層化キメラを睨みつける。

前衛のサウス、ダイダラ、そしてエルニャが俺の左右へと並び立った――。


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