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第33話:深層の影と反撃の誓い


激闘の末、4つの『半深層化ダンジョン』の一斉攻略は終わりを迎えた。


ディープレイヤーとブルーポセイドンをはじめ、ライオ班、カレン班、そしてシュミット率いるA級冒険者連合――各班とも少なからぬ犠牲を払うこととなったが、それぞれの最奥にいたボスを無事に撃破。街を覆っていた大氾濫(スタンピード)の危機は、ひとまず回避された。


だが、安堵の空気など一切ない。


その夜。街の喧騒から離れた地下会議室に、今回の攻略を指揮した精鋭たちが集まっていた。

席につくのは、リンド、サウス、ライオ、カレン、連合リーダーのシュミット。そしてアイリス、エルニャ、ナハム。


「……まずは、ゲンの死を悼ませてくれ。申し訳なかった」


重苦しい沈黙を破り、頭を下げたのはギルドマスターでもあるカレンだった。

サウスは拳を固く握り締め、静かに首を振る。


「いや、マスターのせいじゃねぇ。……あいつが、狂ってやがったんだ。あの『五角』のバンド・ジャガラって野郎がな」


サウスの血走った眼光に、ライオが眉をひそめる。


「国王直属の処刑部隊……『五角』か。まさか深層虫を撒き散らし、ダンジョンを半深層化させていた首謀者が、そんな裏の国家戦力だったとはな」


「ええ。それに……」


ナハムが言葉を切り、悲痛な面持ちで伏せ目になるエルニャの肩に手を置いた。


「バンドは、半深層化した異形の獣人……。そして、エルニャの父親よ」


「……っ!? 父親……!?」


ライオと大剣士シュミットが息を飲む。

一同の視線が集まる中、エルニャはゆっくりと顔を上げ、涙を堪えた強い瞳でリンドたちを見つめた。


「あたし……あんなの、お父さんじゃない……! 仲間を……みんなを殺そうとする化け物……! あたし、みんなと一緒に……あいつを倒したい……!」


「エルニャ……」


震える手で決意を口にするエルニャの姿に、サウスは深く息を吐き出し、胸を叩いた。


「おうよ! ゲンのお返しも含めて、あいつは絶対に俺たちの手でぶち殺す! ……だが問題は、姿を消したあの野郎がどこに潜んでいるかだ」


そこで、じっと地図を睨みつけていたリンドが口を開く。


「……一つだけ、不自然な場所がある」


リンドが指で示したのは、都市バラクシアの目と鼻の先にある――『半深層化していない唯一のダンジョン』だった。


「な……? そこは変異を起こしてない、普通のダンジョンだぞ?」


シュミットの疑問に、リンドは冷徹な眼光で答える。


「あいつは『他のダンジョンの仕込みも見に行く』と言っていた。4つのダンジョンを同時に半深層化させたなら……最後に残ったこのダンジョンこそが、あいつの『本命』であり、潜伏先だ」


「……なるほどね。わざとそこだけ残して、俺たちが油断したところを叩くか、あるいはさらに凶悪な『何か』を仕込んでいる最中ってわけか」


カレンが深く頷き、腰の剣の柄に手をかける。


「決まりだな。全戦力を集中させ、最後のダンジョンへ突入する。敵は国王直属の刺客・バンド・ジャガラ……一筋縄ではいかない化け物だ」


「相手が誰だろうと関係ない。俺たちの邪魔をするなら、喰らい尽くすだけだ」


リンドが凶悪な笑みを浮かべ、サウスもまた復讐の炎を瞳に宿して立ち上がる。


決戦の舞台は整った。

ディープレイヤー、ブルーポセイドン、そしてバラクシアの精鋭たちが、因縁の敵バンド・ジャガラを討つべく、最後のダンジョンへと足を踏み入れる――。

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