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第118話:理を穿つ常闇


【約束の泉・神殿最深部・異空間】


「あはははははははッ! 見てよ山城クン、これが女神の記憶の底……この世界の『終末の姿』だァァッ!!」


シュウの身体の右半身が肥大化し、歪な結晶の巨腕と化す。

胸に埋め込まれた『女神の核』からはドス黒い黄金の魔力が噴出し、異空間の天井や床を侵食して「巨大な結晶の樹海」へと変貌させていく。

右目の【森羅万象眼】はいくつもの瞳孔に分裂し、常軌を逸した演算負荷で血と水晶の欠片を撒き散らしていた。


「……なるほど。女神を取り込んだとか抜かしていたが、要は『世界システム』のバグに飲み込まれて暴走してるだけか」


【常闇の王】となったリンドは、深層剣を握り直し、その貌に冷徹な緊張を走らせる。

目の前にいるのは、もはや人間でもチート保持者でもない。

世界の崩壊そのものを体現した、巨大な概念の怪物だ。


「バグだって……? 違うね! 僕自身が『新しい神』になるんだよッ!!」


ズズズズズズズズズッ―――――ッ!!


シュウの咆哮とともに、空間全体に展開された結晶樹海が一斉に発光。

千を越える結晶の尖角が、すべてリンドへ向けて「未来確定の軌跡」を描きながら高速で射出される!

その一本一歩が、一国の都市を容易く消滅させるほどの高密度な魔力塊。


「さぁ、山城クン!!僕を止めてみてよ!!!ハハハハハハハ!!」


ドドドドドドドドバァァァァァンッ―――――ッ!!


空間を埋め尽くす結晶の弾幕。

だが、リンドは退かない。一歩たりとも足を引き残さず、前に踏み出す。


「【常闇】――『因果断絶』」


ピシィィィィィン……サァァァァァ……ッ!


リンドが深層剣を軽く一閃した瞬間、リンドを中心に半径数メートルの空間から「あらゆる色」が消え去った。

迫り来る幾千の結晶弾丸がリンドの【常闇】の領域に入った瞬間、それらが射出されたという「運動の起点(因果)」を喰われ、ただの魔力の塵となってボロボロと崩れ落ちていく。


「な……ッ!? 追尾も、確定した未来も……領域に入った瞬間に『無効化』すらされずに『消去』される……!?」


「言ったはずだ。お前の観測する未来なんか、俺の胃袋の中だってな」


闇を纏う深層剣の刃先が、シュウの分裂した【森羅万象眼】を真っ直ぐに捉える。


「……さあ、終わりだシュウ。お前の『神ごっこ』に付き合うのも、ここまでだ」


【常闇の王】の圧倒的な威圧感が、結晶化したシュウの巨躯を押し潰すように圧迫する。


「.......ね。......いね。」


急に俯きぶつぶつと呟く出すシュウ。あまりにも気味の悪い光景に俺は思わず顔を覗き込む。


「......!?」


「いいね、いいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねいいねェェェェェェ!!!」


その表情は人間とは思えない、歪んだ笑顔。狂気じみたその表情でシュウはこちらを見る。


「それでこそ僕の求めた【王】だよ山城クン....!!さぁ、まだ試練は続くよ!!はぁぁぁぁぁ!!」


シュウの背中に結晶が集まる。やがてそれは天使の羽のように形取られた。

【神域】の魔力を最大出力にしたシュウは眩いほどの激しい光に包まれ、【閃光の王】へと成った。


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