第102話:受け継がれる意志と希望の極光
【サングリア領内・大平原(アイリス側戦場)】
ズゴォォォォォォンッ―――――ッ!!
グラルド・ソノザキの放った『四之型・神威』が、平原の地表を削り取り、巨大なクレーターを作り出す。
桐原、ラーミリア達亡霊組は消え去り、ライオ、ダイダラ、サウスたちは血の海に倒れ伏し、動くことすら叶わない。
「……ハァ……ハァ……。見事な連携だった。私から距離を取らせ、その隙を突こうとした判断は正しい。……だが、我が『神威』の前には無力だ。」
ソノザキは大剣を掲げ、静かにアイリスたちへと視線を向ける。その全身からは、依然としてサングリア最強の絶対的な威圧感が放たれていた。
「これで終わりだ……小娘...!!」
「……まだ……終わってないわ……!」
血を流しながらも、アイリスは力強く一歩を踏み出した。
隣には、傷を負いながらも鋭い爪を構えるエルニャ、そして背後で必死に全魔力を紡ぎ続けるナハムが立っている。
「ナハムさん……全力の魔法を用意して.....全力をぶつける....!!」
「アイリス……! わかったわ……私にやれることを...全力を尽くす!!」
アイリスは【魔法の王】を最大出力にし、その体の紋様が今にも体を燃やし尽くすほど赤く光り出す。
「エルニャちゃん……お願い! 彼の『四之型』の反動……二之型への切り替えの一瞬を……作って!」
「任せて……! ご主人様のために……私たちが、道を切り開くッ!!」
ズザァァァァァッ――――ッ!!
エルニャが残された【深層化】の全魔力を脚に集中させ、音速を超える速度でソノザキの懐へと肉薄する!
「無駄だッ! 【神域剣技・二之型】――!」
ソノザキが大剣を受け流しの構えへと移行させようとした――まさにその瞬間!
「そこだぁぁぁぁぁぁッ!!」
倒れ伏していたサウスとらいおが、残された最後の腕でソノザキの足首を大地ごと強く掴み固定した! さらに、意識を失いかけていたダイダラが砕けた剣の柄をソノザキの大剣の柄へ突き立て、受け流しの角度を強制的に狂わせる!
「なっ……貴様ら……まだ動けるのか……!?」
「なめんな……サングリアの化け物……! 俺たちの『王』の道を……塞げると思うなァァッ!!」
コンマ数秒――コンマ1秒にも満たない、絶対の『隙』が生じた!
「アイリス――――――――ッ!! 今だぁぁぁぁぁッ!!」
仲間たちの命懸けの拘束を受け、覚醒した【魔法の王】アイリスが天空へ飛び立つ。
彼女の手元には、全属性の魔力が集約された崩壊の極光が宿っていた。
「リンドが私に教えてくれた……諦めなければ、どんな絶望も破れるって!! 【全属性極大超絶複合魔法】――『約束の極光』――――ッ!!」
ドドドォォォォォォォォンッ―――――ッ!!
空を焦がし、空間を焼き尽くす絶対の破壊の光線が、二之型の受け流しを完全に封じられたサングリア最強の騎士グラルド・ソノザキを真っ向から呑み込んだ。
強大な魔力により砂埃が舞う。戦場は静寂に包まれ、やがて砂埃が収まり、視界が開ける。......そこに立っていたのは、ボロボロになったソノザキとアイリスだけだった。
「そんな....届かなかった....の....?」
膨大な魔力を使ったアイリスはフラフラとその場に崩れ落ちる。
「.....凄まじい一撃であった....。だが....私は生き残った...。私の勝ちだ...!従僕ども...グッ...!!」
ソノザキも意識はあるものの、その場に膝をつき、息を切らす。
「ごめん....リンド....。やっぱり私達は....足手まとい....だった....」
アイリスが諦めかけたその時だった。
ドス黒い魔力がアイリスの中に入り込んできた。
「あきらめては...なりません!私達の全てを捧げます...!最後の一撃を...!」
「アイリス....お願い.....!!」
アイリスの背中に触れたのはダイダラとエルニャ。二人の覚醒した魔力が背中から入り込んでくる。
(熱い、痛い、苦しい......でも!二人もちゃんと自分のものにできたんだ!!私だって.....私だってぇぇぇ!!)
ついに魔力が全てアイリスの中へと入った。
さらに姿を変え、深紅の髪は黒く染まり、腕は【深層化】したリンドのような、異形の腕となっていた。
「ありがとう、二人とも。私が....決める....!!」
立ち上がったアイリスから放たれる、最後の一撃。
「【天穿つ深層の槍】-----。」
「く、クソォォォォォォォォ!!」
ズガァァァァァァン!!!
ソノザキはついに倒れ、再び立ち上がることはなかった。
「やった.....やったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アイリスが叫びをあげる。こうしてソノザキとの戦いは幕を閉じた。




