第100話:絶対の騎士と覚醒の【深層】
ついに100話までやってまいりました、、、ここまで読んで下さりありがとうございます!
【サングリア領内・大平原(アイリス側戦場)】
「サングリアの絶対防衛線……グラルド・ソノザキ。我が鎧に、生半可な魔法も理も通じぬ」
沈下した大平原の中心で、ソノザキは静かに大剣を構え直す。
その身から放たれる圧倒的な威圧感は、周囲の空気を物理的な質量となって押し潰していた。
「魔法も受け流し、死角もなく、時間の加速すら力ずくで叩き落とす……。化け物め……ッ!」
砕け散った大剣の柄を握り直し、血を吐きながら立ち上がるライオ。
【五角】の桐原も腕の亀裂を押さえ、荒い呼吸を繰り返している。
「全員、下がっていて……! ここは私が……ッ!」
「何を言っているのですかアイリス殿! 貴女一人を盾にできるわけがないでしょう!」
ダイダラが叫び、ナハムが即座に回復魔法をアイリスにかける。だが、二人の顔にも「どうやって勝てばいいんだ」という深い絶望が滲んでいた。
「ふむ……まだ折れぬか。ならば【神域剣術】の深淵を見せてやろう」
ソノザキの右足がわずかに沈む。次の瞬間――。
「【神域剣技・三之型】――『連撃』」
ズババババババババッ――――ッ!!
視認不可能な超高速の刃の嵐。
前衛にいたラーミリアの巨大鉄球が紙のように縦に真っ二つに裂け、彼女の巨体が血飛沫とともに弾き飛ばされる!
「ラーミリアさんッ!?」
「ガハッ……! クソが……動きが全く見えねぇ……ッ!」
「次だ」
間髪入れずに襲いかかるソノザキの追撃。
ライオとダイダラが二人掛かりで交差させた盾と身投げの防御すら、ソノザキの『三之型』は軽々と切り裂き、二人を大地へ叩き伏せた。
「ライオ! ダイダラ!」
「くッ……死角がない……隙すらない……! これがサングリア最強……【戦いの化身】……!」
サウスが剣を振るうも、ソノザキは【神域剣技・二之型】で易々と受け流し、そのカウンターの一撃でサウスの肩を深く肉薄する。
「終わりだ。チートスキルに頼った転生者や、勢いだけの小娘に……私が破れる道理はない」
万策尽きたかと思われたその時。
「....エルニャ、いいですね?」
「....覚悟は、できてる。」
リンドの奴隷である二人は、ボロボロの中、覚悟を決めた表情で前に出る。
「....!?二人とも、何するつもり....!?」
アイリスは突然前線に歩き出した二人に困惑し、叫ぶ。
「正直ぶっつけ本番、成功するかはわかりませんが....やる価値はある。」
「いきますよ。」
-----「「【隷紋・解放】」」
二人が呟いた、その刹那。リンドと同様のドス黒い【深層】の魔力が二人を包み込む。あまりの魔力に魂ごと持っていかれてしまいそうになるが、全力で耐える。
そうして魔力が鎮まると、そこに立っていたのは【深層化】を果たしたダイダラとエルニャだった。
「嘘...!?リンドみたい....!?どうして....?」
アイリスは初めて見るその姿に驚きを隠せない。
「これはね....奴隷がご主人様を守るために使う奥の手....。ご主人様の魔力をいただき、自らの糧として...力として使うの!」
「そう!!しかもリンド様の今のお姿はほとんど魔力が無限の状態....あとは我々の体が膨大な魔力に耐えられるかどうかの問題だけだった!!」
二人は危険な賭けに勝ち、リンド同様の【深層】の力をものにしたのだった。
「む....!【深層】の力か....なんと厄介な...。」
ソノザキは再び構える。【神域】の力と対を成す、危険な力。ソノザキが【神域剣技・二之型】で攻撃を受け流す準備を始めた。しかし。
「....!!なんだと....!?」
覚醒したダイダラの一撃を受け流しきれず、グラルドは態勢を崩してしまう。
さらにその隙を逃さないエルニャが追撃を仕掛ける。
「受けきれん....!!くそっ!!」
グラルドは間一髪、肉人形を生贄にして致命傷を逃れる。態勢を整えたグラルドが【三之型】でカウンターを図る。しかしダイダラの覚醒した体にはほとんど傷がつかなかった。その時、アイリスは見逃さなかった。
(……待って。今の『二之型』と『三之型』の切り替え……! どんなに隙がない攻撃でも、世界に存在する技である以上……絶対におかしい場所がある……!)
「ナハムさん……私に全魔力を集中的に注ぎ込んで! 桐原さん、ラーミリアさん……もう一度だけ、彼を足止めして!」
「アイリス……まさか攻略法を見つけたのか!?」
「ええ……リンドなら必ずこうする。完璧に見える敵ほど……その『完璧さ』自体が最大の弱点になるのよ!!」
倒れ伏す仲間たちが、アイリスの言葉に再び瞳に火を灯す。
これからも精進してまいります!




