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寝取られジョーンのヒモ生活  作者: 無夜
ジョーンは王侯貴族の夫である 下
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 戦術



 それなりに距離はあるが、両軍が相対した。


 カイγーン勢の戦術は、敵の首領までの道を切り開いて、カイγーンが突っ込んでいって始末する、というもの。それでだいたい、決着が付く。

 ただ、今回、ラオグラフィアが首領というか、公爵で最上位なのだが、潰しても、大孔雀の子爵が指揮権を継ぐだろう。色欲の伯爵が公爵の次位なのだが、大所帯になると爵位だけでは悪魔が動かせない。

「ボルタは大孔雀。シルヴァーは色欲女子爵を。あれ、夫婦かな」

 親兄弟で纏まっているってなんだかすごいなぁと、視界に入れて改めてカイγーンは思う。

 

 ラオグラフィアというより、大孔雀の戦法は最初に高い魔力持ち(ラオグラフィア)が火力の強い一撃を敵軍に投げつけ、混乱したところを全軍で突入である。



 第一戦闘用広場(現在第四まで作られている)が戦闘用としては一番大きい。強化済煉瓦やタイルで舗装されているだけで、何もない。むろん、ここも魔法無効地帯。



 カイγーンは無駄が嫌いである。

 敵の首領の角が非対称だが、30㎝近いのでランク8。カイγーンは自分と同ランクだなと思った。

 カイγーンは4巻である。巻角のランク計算を間違ったまま、ここまできている。

 彼はランク16に相当する。魔王ザητΦァーですら、14であり、無駄に魔界最高の魔力を持っていた。

 まあとにかく、カイγーンはラオグラフィアを同格と思った。

 仔猫では無理だろう。無駄だろう。首領の打ち倒すのに時間をかけても良いことはない。

 かたくなに仔猫で居たカイγーンはすっぱりとその執着を捨てた。

 ジョーンがいないから、まあいいや、と。

 それにしても、公爵らしき男悪魔がこの前あげたロングシャツを着ているのだが。

 差し上げた手前、戦闘開始前になんか言うべきだろうか。うっかり殺してしまうかも知れないから、今。もう少し長いのをあげるべきだったな、とも思う。足は靴代わりに包帯のような長い布で、たぶん膝まで巻いているため、つんつるてん状態のみっともなさは軽減している。

「この領の領主、怠惰なるカイγーンです。えーっと、サイズがちょっと足りない贈り物ですみません?」

「ああ、せっかくだから、着てみました。不作法な宣戦布告をしましたのに、使者を無事に帰して頂いたばかりか、手みやげまでこうしてもらってしまい、恐縮です」

 ラオグラフィアが言う。

 傲慢。彼らはお外では借りてきた猫のように行儀が良い。

「何か仕掛けがあるのなら、乗っても良いかと」

「仕掛ければよかったんですが、特に何も。ただの動きやすそうな服なだけです」

 一人だけ、違う服なので、混戦になってもわかりやすそうだった。

 うちの連中は黒のラインが入った服を着ているが、混戦になったら大半が獣化するので、服は脱ぎ捨てる。だから、古着の者が多い。

「では、始めましょうか。リュカ」

 カイγーンが声をかけた。

 駝鳥(シャチのお嬢と姉妹の子である)の頭に乗った大鼠のリュカが走り出す。

 魔法の生成はできないが、収納アイテムから物を出すのはできる。

 それは公爵側も知っていて、リュカが疾走してきたのと同時に、収納から火の玉を出し、ぶつけようとした。リュカではなく、カイγーンのいる本陣に。

 あくまでもそれは、まとまっている敵を散らす物だった。

 カイγーン側は対処した。

 だいたい、魔法で攻撃といったら火なので。

 魔法ではなく、手漕ぎポンプ式放水をぶつけた。

「一番槍っ。暴食のリュカっ」

 リュカは相手の陣に届き、くるりと駝鳥の頭から跳び上がると、人型に変化し、収納していた敵伯爵の剣先をもらってつけた中槍で、何人かなぎ倒した。服を着る暇はないので全裸である。ジョーンの目があるから、服をちゃんと着ているが、本当は、裸を見られてもそんなに恥ずかしくない。

 駝鳥も目の前の敵を蹴り倒した。

 それに続いて(ほぼ同時に)、飛翔部隊(鳥系)が鼠系を背負って敵陣に達して、落とす。リュカ達は飛翔部隊から気を逸らすための目くらましも兼ねている。

 公爵の手勢は長物をあまり持っていない。

 同士討ちが危険なので、短刀・短槍程度。

 魔法ありきの戦い方しかしらないのだ。

 むろん、収納しておいた攻撃魔法を出す、ということはできるが、その場で生成してぶつけるのと違って、勢いがない。

 遠くまでうまく飛んでいかない。

 そんなわけで、保存していた魔法をパニック気味に解き放って、自陣が燃えた。

 古参兵なので、燃えても耐性がある。ちょっと熱いぐらいですむ。


 そこへ鳥たちは落とした。

 カイγーンですら、くしゃみと涙が止まらなくて嫌がる、赤ラッパ花の花粉を。


 炎が巻き上げる風で、よく広がった。

 主に公爵勢から悲鳴が上がった。

 カイγーン勢は住まいの毒なので、嫌だけれど慣れてる。泣けるしくしゃみもでるけれど。目は開けてられるし、戦える。

「あの中に突っ込むの嫌だなぁ」

 と、言いつつ、カイγーンは襟をくつろがせた。

「あ、行きますか」

 ボルタは女体化を解いて、久々に男性に戻っている。

 シルヴァーも、女性に戻っていた。

 世界から与えられた肉体が、ベストな力を発揮する。

 カイγーンの側にいた眷属も殴り込んでいく。

 仲間達は咳き込みながら、泣きながら、陣を割っていく。


 道が生まれた。

 大鹿と大アリクイが、主人の邪魔はさせまいと彼らの駆ける道をその巨体で維持している。

 

「行こう」


 黒い大きな豹が飛び出していく。

「ああ、やっぱり、貴方は猫じゃないじゃないですか」

 笑いながら、ボルタは黄金の虎になって追走する。

 シルヴァーは大きくため息を吐いたあと、銀色の狼になって駆けだした。





 戦法は目先の戦い方。

 戦術は戦法を用いた中期的な計画や行動の全体的な考え方。  

 と、検索したら出てきた。


私「これ、ヘラジカ・孔雀勢の正しい戦い方ってどうなの?」

無夜「5倍ぐらいの戦力差なんだから、小さな隊を作って、包囲して、殴ったら戻るを繰りかえし続けると、カイγーン達は疲弊したはず。まあ、眠りが必要ない連中ばかりだから、3日3晩ぐらいは延々と。公爵陣もこんなん続けられるか・・・というのはある。戻るときに転んだら戦力減1の微消耗戦闘。超ハラスメント(嫌がらせ)型作戦」

私「それをやらなかったのは?」

無夜「やれないんだよ。軍の戦法としては正道として、大軍で纏まって動く方針で、ずっといたから。5人組ぐらいになって、遊撃することができる悪魔が、いない。憤怒の兄弟と一緒に逃げ口塞ぎに行ったから」

私「一度戦法が決まると、変えられないってやつか」

無夜「人数が多い故に、勝手に突出して魔法攻撃の邪魔になったりするのが嫌。同士討ちも嫌。という味方の安全に配慮された方針で、兵に徹底してるから。カイγーンのところは人数がまだ少ないのと、人間の組織の『組み分け』みたいなのを見たり聞いたり所属してきたから、動きが柔軟なだけ。もっと端的に、身も蓋もなく言うと、カイγーン領は若いから。ラオさんはまだ若手範疇ぎりぎりなんだけれど、あの領、その父親の大孔雀の領地を継承しているというか、実質支配者が大孔雀のままなので、硬直してしまっている」

私「ん、わかった。でもね、無夜ちゃんに問いたい」

無夜「何かな?」

私「びーえるに、こんなガチっぽい戦争分析とか受けない気がする?」

無夜「まあね・・・。それにしても、この戦い方を見るに、色欲の伯爵、狂っていたけれど、戦上手でしたよ。あいつも若い方だったから」

私「(あ、そっち持っていく。戦争の描写好きたねえ)あの伯爵は、すぐさま戦法切り替えた、ね」

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