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寝取られジョーンのヒモ生活  作者: 無夜
ジョーンは王侯貴族の夫である 下
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 戦争の裏側で


22日とは、カイγーン領にとっては、220日の猶予となる。同盟者の回収もあったので185日程度になるが、対色欲伯爵領との戦争で、ノウハウはすでに手に入れている。

 約束の日。

 ジョーンと生後1年未満の者は村や屋敷に移動し、妊娠可能な女悪魔とどうしても娼館と屋敷と村の管理で抜けない悪魔もこちらに残る。

 戦争が続く場合、数十日から数ヶ月を、ジョーンが人間界の施設を管理すればよく、村と屋敷はレティシア、娼館に行くときは女悪魔の誰かが護衛として付けば問題ない。

 ジョーンがノータッチのペド用娼館だけは、今回は傲慢の蝙蝠が支配人として仕切っていた。副支配人の暴食のもぐらは参戦してしまったので、仕方ない。支配人は三年交替で、副支配人は常にもぐらなので、真の責任者はもぐらである。

 村に教皇がきた。

 女体化させて、普通の娼館にぶちこんだら、つらさ故か信仰心が天元突破してしまって天使を降ろすようになった、彼である。

 82歳になっていた。

 出会ったときはジョーンの方が年上だが、今は見かけだけはジョーンがとても年下に見える。

 ジョーン、外見年齢36歳。現在、野良作業着。畑を手伝い、午後からは薪割りする予定であった。40過ぎるとお腹が出てくるので、農作業は週2回、乗馬を週1回、入れている。

 馬車の箱だけを引っ張って飛んできた天使が見えたら、そりゃあ作業は中断して村の出入り口までやってこざるをえない。

 教皇には護衛4人がついていたが、お忍びらしく可能な限り身軽。平民みたいな、生成の服である。

 箱を置いた天使が村の空を舞っている。

 一人(一羽?)であれを引っ張ってこられる化け物の一種。

「この年です。最後の訪問になりそうです」

 と、殊勝なことを教皇は言ったが、彼はあと17年生きる。寝たきりになるのは、死ぬ一週間前なので、神に愛されし頑丈な肉体を与えられている。まあ、天使の加護と、カイγーンがちょこまかと不具合を治したおかげであるが。

 というわけで、あと4回は来る。

「私に信仰心とはなんたるかを教えてくださったあなた方には感謝しても仕切れません。そんな恩人であるあなた様方に図々しくもお願いがございまして」

 村の大通りの真ん中で。

悪魔崇拝者子供「わあ、天使様だぁ(テンション高っ)」

悪魔「わあ、天使だぁ(テンション激低)」

 という極端に昂揚度の違う声がした。

 悪魔を崇拝しているが、信仰も普通にしてるのである、ここの村人は。

「とりあえず、礼拝用の教会か、村長宅にでもいきましょう。ここは落ち着かない」

 と、移動した。

 まだ少年ぐらいの年齢だった教皇を覚えているので、髪が総白髪になり、痩せ枯れた姿でいるのが、なんとも違和感だった。

 近いのは村長宅で、客を待てなす部屋もあった。

 そこにたどり着いて、悪魔は出払ったので近隣の老夫婦がお湯と茶器を持ってきた。茶葉は村長宅にある。

 腰掛けに座った瞬間に。

「悪魔の王が所有するという『墜ちたる神の書』がほしいのです」

 茶も飲まずに切り出された。

 相変わらず、対話をする気がなさそうである、この狂信徒は。

 そして、それは恐ろしいほどに、ぎりぎりのタイミングで、教皇は求めた。

 なぜなら、その書は魔王城に、特になんとも思われずに保護魔法をかけられただけでほったらかされており、持ち出すのは簡単だった。

 だが、公爵に陞爵した保護期間は、550日。一年半。人間界では軽く15年。

 教皇の余命、17年。

「説明しましょう」

 と、涼やかな姿の天使が窓から顔を出し、肩も出し、ぬるぬると入ってこようとしている。

ジョーン「玄関使って頂けませんか。翼がつっかかるでしょうに」

天使「畳めばいける。いけるはず? いけなない?」

 悪魔が使う家は、天使が侵入しないように、窓が小さめである。こんなにでかい存在にぬるぬる入ってこられてはたまらないので。

「玄関から入り直すから待っててくださいね」

 ということで、入り直してきた。

「神の御許にゆくための通路が、見失われてしまいました。だいぶ前に」

 天使が告げた。

 ジョーンは一枚布を巻き付けているらしき天使の、背中の翼部分をどうしているのか、気になって仕方がない。

 背の翼は3対、6翼。足首に1対2翼。

 ジョーンは天使とも付き合いが出来ていたので、ざっくり階級的なことを知っている。

 4翼が普通で。8翼は上級か特級である。

 悪魔の角ランクみたいなもので、魔力(神力?)の多さの目安でしかないが。

「そこに至る道を示しているのが、『墜ちたる神の書』。神自ら書いた書です」

 悪魔の世界、魔界と人間の世界を薄皮一枚で連結させたときに、あちらこちらに余波が襲って、道や道の痕跡が消えてしまった。

 人間界で探してもなかった。

 神が、自分のところにくるためのヒントを魔界にだけ残して引きこもったのだろうと天使が察したのは、最近である。

 悪魔はほったらかしておくと、勝手に戦っているだけだが、天使はお伺いしてくるので、だんだん鬱陶しくなったらしい。

「可哀想に」

 ジョーンは角が立たないように、主語を外した。

 悪魔とざっくり付き合っていくと、対比して天使は面倒くさい。細かい、くどい。翼が少ないほど、融通が利かない。



 教皇はこの話のあと、教会で洗礼を受けたい子や、祝福を受けたい若夫婦などに、儀式していった。

 悪魔の何人かが我慢比べ的にその場にいた。

 悪魔には、そこは湿度100%の30度の部屋にいるぐらいの不快感があるのだ。長時間いると倒れそうになる。

 なぜわざわざそんなことを?

 参戦しなかった後ろめたさを、こういう自虐で埋めているのである。




☆ ★


私「天使はぬるぬると?」

無夜「我ながら酷い表現だねっ」

私「『墜ちたる神の書』ってなんで魔界の魔王城にはあるの?」

無夜「ああ、それはネタばれになってしまう」

私「本当に、このネタ開示されるまで話すすむのか、そのとき、この伏線を覚えてられそうなのか、という不安がある」

無夜「忘れないためにここに記す」

私「なんてこったい」


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