陽はまた昇る②
場所:イタリア
ある町に、トニオとピノッキオという二人の少年が仲良く話をしながら歩いていた。
「昨日飛んでいった大きなものは何だろう?鳥にしては大きすぎたよな」
昨日二人が見た、空を飛ぶ不可思議なものについてが話題の主であった。
とある昼下がり、風の強い日であった。
学校の脇を通り過ぎ、いつもの帰り道を左折して、狭い脇道の一つに二人は入っていく。
すると、白々と照りつけられた路傍左側に、1台の見慣れない深紅のスポーツカーがエンジンをかけたまま停車されていた。
しかし運転席には誰も乗っていない。
ピノッキオが大きく息を吸い込み、鼻の先まで興奮させて、運転席の窓の方へと歩み寄っていった。
「チャーオ!こんないかした車見たことない!」
普段なら、車など鼻にも引っかけないトニオでさえ、頬を紅潮させ、興奮を迸らせる…
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
場所:アメリカ・オレゴン州東部
しがないオレンジ農家のカーカップはテレビを見ていた。
パスタと海の幸のサラダという素敵な料理を食べながらだ。
テレビの中では、新たに当選した大統領がスピーチを行っている。
見逃すわけにはいかない。
数百万人の人々が咆哮している姿も同時に映し出されていた。
カーカップもその場にいれば、きっと同じような気持ちで叫んでいたことだろう。
なぜなら、カーカップも彼を推す合衆国民の一人であったからだ。
長身痩躯。穏やかな雰囲気。
目にはかすかな皮肉っぽさをたたえながらも、知性をひけらかすのを好むような優越感を発散させるような傲慢さは感じられない。
しかし、カーカップが何より気に入っているところは、静穏な魅力をたたえた見かけをしていながらも、常人にはない威圧感を彼が秘めているところだ。
彼はテレビの中で、新大統領として、両腕を翼のようにいっぱいに広げ、演説をしていた。
その耳に心地よく響くバリトンも魅力の一つであろう。
カーカップは演説を聞きながら、思わず年甲斐もなく震えてしまう。
彼の言葉には重みがあり、ただ単に口から出たものではなく、その生き様から溢れ出たものだということが強く感じられるからだ。
未曾有の危機に苛まれているこの世界を、彼なら変えることができるのではないか。
カーカップはそんな期待に再び年甲斐もなく興奮した。
「さぁこれから新たな時代が始まるのだ」
テレビの中から聞こえる彼の声に合わせて、カーカップは両手を上げて咆哮した。




