夜と朝の間に②
空海は三日月墓地へと帰って来た。
隣にはエドガーもいる。
帰って来た時のことは、何となく想像はついていた。
おそらく家の中は静まり返り、空海の帰りを待ちわびているはずの家族はそこにいないであろう。
おそらくこの町に生きている人間は誰一人としていないはずであった。空海を除いては。
「エドガーさん」
「…何だね」
空海は何かを言おうとして、言葉を飲み込んだようだった。
おそらく何を言っても無駄になることを理解しているからだとエドガーは推測した。
「死んだ人を生き返らせることはできない」
エドガーは先んじて言った。
穏やかだか、揺るぎのない口調であった。
「ではそろそろ私は行こう」
ギルトのドアが自然に開く。
エドガーは開いたドアの側までくると、肩越しに空海を振り返った。
「…そう言えば私からのプレゼントはまだだったな。それに、意外にも…退屈じゃなかった」
そう言うと、エドガーはギルトに乗り込んだ。
するとどうだろう。
周りの空気が一瞬どよめくようにして、ギルトが急に眩いばかりの焔に包まれた。
空海は驚いたように目を見張る。
それはまるで生命を象徴するかのような黄金の焔であった。
焔の中でギルトは高く燃え盛る炎の翼を広げ、黄金の焔の鳥へと姿を変えていた。
それを見て、空海は理解した。
これが本来の姿だったのだ。
空海が初めてギルトに触れた時の、生物のような肌の感触。
ギルトは機械ではなく、生物だったのだ。
「ギルト」
空海は黄金の焔の鳥の名を無意識に呟いていた。
ギルトは空海の呟きに呼応したかのように、翼を上下にはためかせる。
すると、空に一つ、また一つと光彩が次々と現れた。
空海が眩しさのあまり、目に手をかざした時、ギルトは飛び立った。
それは朝焼けが燃え立つ輝かしい朝日に向かって。
ギルトが空に残す黄金色の縞を、ただ静かに空海はその目に焼きつけた。




