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ゆめなか日記  作者: 秋葉竹
第1章
32/910

ふたごの恋

ひとつですね、「澤口」せんせいと「沢口」せんせいの呼びかたについてですが、勿論なんの違いもありません。ただ、学校の授業なんかで音読することになったりしたら、それこそ「せんせい」が、あー、「沢」のほうは軽やかでのびのびと歯切れよく、「澤」のほうは重々しく威厳をこめてゆっくりとーーなんて、ね。無論無いけどね。だいたいが、こんな詩(この『こんな』は同性愛に対してのものではなく、この程度のレベルの詩、という意味の『こんな』です)が学校の授業で扱われるわけもないしね。

「あした 先生はお休みします」

そういって いらい さわぐち先生は

学校に来ない


さわぐち先生ってみんな「沢口先生」って呼ぶけど

ほんとうは「澤口先生」って呼んでほしいらしい


そんなありえないうわさがガヤガヤと

一組と三組と四組と六組に広まって

二組の保健委員のマリアってあだ名の沢田さんだけ

ホームルームでどうどうと挙手をし

そんなデマにまどわされないようにと

りっぱにうわさの流布をくい止めた

ふたごでナンシーってあだ名の妹がいる五組も

こっちはもっと即物的な方法で

さわぐち先生のめいよを守ったのだった


ふたりは学校では不仲説がほぼ信じられていたが

ほんとうはお互いを理解し尊重し合う

世にも珍しい以心伝心の仲良しふたごだったのだ


ふたりはさわぐち先生のことが大好きで

同性だけどふたりともさわぐち先生と

結婚するのが将来の夢で

もし相手がさわぐち先生と先に結婚し

先生と義理の姉妹になれることでさえ

ほんとうは嬉しいと思っていた

ただその時こそ今ちまたで信じられている不仲説が

はじめて現実味をおびてしまうけねんは否定できない

とも想定はしている


最後までお読み頂きありがとうございました。あたしは同性愛者じゃないけれど、その(女性の女性に対する)愛の有り様にそこはかとない愛おしさを感じるものであります。

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