可愛いもの好きな家庭教師
フェレット可愛いよぉ…なんでこんなに可愛いのー。
田中奈々side
ロッゲンさんとナタリー姫の互いの誤解が取れて良かったぁ。ロッゲンさんが挨拶して帰っていく。手を振る私。ロッゲンさんは一瞬固まったけども大丈夫だと思いたい。
「全く…ロッゲンさんがいい人だから良かったものの悪い人だったらどうするの。」
「クゥン。(ごめんなさい。)」
「ぐっ…可愛い。だ、ダメよ私。しっかりしなきゃ。そ、そうだサクラ。ご飯食べましょ。」
おお、ご飯!どんなご飯なのだろうと思っていたら野菜を持ってこられた、どうしよう。フェレットは肉食だ。雑食じゃない。これ絶対見た目で判断されたな。
「クゥン…(食べられないよぉ…)」
「何故食べないの?」
「クゥン…(お肉ぅ…)」
「もしかして野菜じゃなくてお肉?」
『大正解です!田中さんは肉食なので!流石はナタリーさん!』
「待ってて。」
しばらくすると焼いたお肉…ステーキが持ってきてくれた。嬉しい。ナタリー姫一生ついて行きます!お高そうなお肉をもぐもぐ食べていく。
「この肉はダリエお兄様が狩ったお肉なの、名前は確か…レッドキャトルっていうの。」
くんくん、嗅いだら豚でも鳥でもない…お高い肉といえば!そう牛肉だ!しっかり焼かれている!生は途中から師匠がダメだと言われて焼いてくれたんだよね。お腹すいてたから生でいいか程度に食べていたから。
「バクッ!もぐもぐ。」
「ダリエ兄様が狩った肉だもの、サクラが気に入って当然!…こほん、今のは聞かなかったことに。」
『ダリエさんも凄い方なんですね!』
「クッ!(凄い人!)」
「純粋な目でお兄様が褒められてる嬉しい。」
家族思いのお姫様なんだなぁと思っていたら誰かが入ってきた、その人は大人のマダムみたいな人。メガネをかけていてクイッと整えていた。
「ナタリー様その生き物は…?」
「リリアンヌ…これはその…」
あ、やばい、ナタリー姫怒られる?と思っていたら突然リリアンヌさんが頭を壁に何度もぶつけていた。怪我しない?
「な、なんですかあの可愛い生き物は?可愛い、抱きたい、でもダメ、淑女たるものきっちりとせ…ああ、可愛い。」
「り、リリアンヌ?」
『リリアンヌさん大丈夫なのでしょうか?』
「クッ。(大丈夫だよ多分悶えてるだけだと。)」
「声まで可愛い…はっ。」
「…リリアンヌどうしたの?もしかしてサクラを…」
「い、いいえ!このリリアンヌ、ナタリー様を裏切る真似はしませんわ!…ただその…ここだけの話にしてくださいますか?」
ナタリー姫と一緒に頷く私とカスミソウちゃん、ありがとうございますと言い話始めたのは小さい頃からずっと勉強漬けだったこと。そして親からの期待に答えるべく友達も一人も作らず、礼儀作法などを学んでいたと。
「…リリアンヌ。」
「自分にも他人にも厳しいものでしたからそれはもう嫌われたものですわ。でも私は悲観することもなく大人になっていきました…ですが私にも好きなものがあって、我慢し続けてました。」
「好きな物?」
「か、可愛いものです!可愛いピンクのフリルのついたドレス!可愛い猫のぬいぐるみ!そして何より可愛い生き物たち!私は、私は!こんな歳になって初めて可愛いもの好きに目覚めてしまったのです!夫にも言えない!!」
…あー、なるほど、子供の頃は興味なかったけど大人になって目覚めちゃった系かぁ。歳だからって理由で蓋をしちゃって、私に出会って爆発したと。な、難儀な人だ。
「リリアンヌも完璧ではなかったのですね。」
「人は完璧にはなれませんわ。ナタリー様、お兄様方も完璧ではございません。」
「そうなのですか?」
「…ええ、ここで言ってしまったら叱られてしまいますわ。」
懐かしそうな顔で遠くを見ている表情を見るからに長年家庭教師として務めていた人の顔だ。そして何より嬉しかったのはリリアンヌさんもナタリー姫も笑顔になっていたことだ。
「…なんだか言い出せてスッキリしましたわ。」
「私もよリリアンヌ。」
「し、失望しませんの?」
「しないわ。リリアンヌ、私は可愛いもの好きだと知って安心しているのです。いつも無茶してるように見えたから…」
「ナタリー様…」
子供はよく見ている、きっとナタリー姫もリリアンヌさんがいつも無理してるのだとわかって踏み込もうと出来なかったんだ。リリアンヌさんは泣きながら私の頭を撫でていた。優しい手つきで嬉しい。
「…ふふ、猫も犬も飼えなかった私が見たこともない生き物に癒される日が来るなんて…」
「リリアンヌも見たことないの?」
「ええ、長年生きていましたが見たことありません。魔物ではないのは分かりますが…きっとアイリス様の導きなのですね。」
アイリス様…私をこの世界に導いてくれた女神様…元気にしてるかなぁ、まだ一日も経ってないけど会いたくなっちゃった。
「…創造神様の妻の?」
「ええ。アイリス様は動物と子供を愛する女神様なのです。きっとナタリー様の為に…」
「…リリアンヌ、私、絶対にサクラを大切にするわ。」
「ええ、アイリス様もそう願っておりますよ。私もお手伝いしますわ。」
「いいの?」
メガネをクイッとさせたリリアンヌさんは顔を赤くして落ち着きのない…これはもしや。私は勘づいて擦り寄る。リリアンヌさんは嬉しさのあまりに奇声を上げた。
「きゃあああああああああ!!!!可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「リリアンヌ!シッ!」
「こ、こほん!では授業を始め…ああ…だめ、可愛すぎる!」
「リリアンヌ…後で撫でていいから。」
「ありがとうございますナタリー様!」
なんだか賑やかになったなぁ。カスミソウちゃんも嬉しそうにリリアンヌさんの周りをクルクル回っていた。平和が一番!
[…なんだかイメージ変わっちまうなぁ。よいしょっと。]
薪割りしながら考え込む、サクラが来てからというもの少しずつだが人間関係が変わったと。
[チートだけが全てじゃない…いやサクラだからこそか。サクラにしか出来ないことだ。誰にも真似出来ねぇな。さて肉でも焼いて飯にするか!]




