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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第6章 過酷な夏のインターハイ

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過酷な組み合わせ

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 7月へと入り、本格的な夏が到来。



 屋外のスポーツを行う者達にとって、相手以上に厄介なのが夏の暑さ。スポーツをやらない者でもニュースでは、こまめな水分補給をするようにと注意喚起されている。



 なので夏のインターハイに出る選手達は、より気をつけなければならない。




 立見ではサッカー部に続け、負けられないと元々強豪で知られる立見野球部が夏の甲子園に向け、懸命に声を出して練習をしている姿が目立つ。



 更に各運動部も刺激されたか奮起し、サッカー部を超える成績を残そうと屋外や屋内問わず、夏の大会に向けて皆が努力していた。




 そしてサッカー部の方でも今日は合同練習が行われる。その相手は立見サッカー部もよく知っている者達だ。






「今日は立見まで足を運んでいただきありがとうございます」



「「お世話になります!!」」



 顧問である幸が、代表して頭を下げた後に礼を言う。その目の前に居るのは前川高校の面々で、幸に対して大きく返事を揃って返していた。



 東京の支部予選、2回戦で戦った古豪の前川。



 キャプテンのFW島田、テクニシャンMF細野の前線とクレバーなDF河野。そして立見の攻撃を再三止め続け、攻撃の起点も務めた曲者GK岡田。



 総合力の高さはシード校に引けを取らず、全国へ向けて良い練習相手となる事だろう。



 合同練習に前川側もメリットがあると見たのか了承すると、わざわざ今日来てくれたのだ。




「改めて貴重な練習機会を設けていただき感謝します」



 前川を代表してキャプテンの島田が前へ進み出ると、幸へ礼を言う。




 始まる立見と前川の合同練習。何時も同じ相手で練習するより、他校の者と共に練習した方が得る物は色々ある。



 今日はその貴重な日であり、前川から良い所を可能なら学んで吸収していきたい。





「何か立見、変わった走りをしてないか?」



「うん、俺らとの試合の時は腕下げて走るとかしてなかったよな」



 合同練習の時でも立見全体でナンバ走りを実行し、慣れようとしている。見慣れない立見の走り姿に前川の選手達は練習しつつ、気になってチラチラと彼らを見ていた。






「お前イタリアに居たんだってな。あのキック、向こうで教わって磨いたやつか?」



 軽くボールを蹴ってリフティングする弥一に細野が話しかけて来た、彼が言っているのは真島戦で弥一が見せたFKの事だろう。



「まあ、そうだねー。向こうに結構キックの名手居たし、教えてもらう事もあれば見て盗んだりもしたからねー」



「そうか、流石本場イタリアだな」



 会話しつつ弥一は頭でポンポンとボールを浮かし、最後にはそのまま頭に乗せて見せた。



 何かと器用にボールを操る弥一のテクニックを見た細野。真島戦で見せたFKといい、彼は1年ながら3年である自分の技術を超えている。それはサッカーの本場イタリアが覚醒させたのか、それとも元々の弥一の才能か。



 あるいは両方かもしれない。細野は彼のテクニックを真似て物にしようと、同じようにリフティングをしてみせる。



 良い所を吸収しようとしているのは立見に限った事ではない。前川も立見の長所を取り入れ、更に力を付けようとしている。





「っ!」



「うお!」



 優也はボールを持った河野に持ち前の速さで詰め、キープしてる相手の球を右足に当てて弾く。



「(速いとは思ってたら、間近で見ると余計に速く思えるな。けど)」



 今の優也の動きを同じFWとして観察していた島田。彼の速さは知っており、立見と前川の試合でも見ていた。



 あの時は優也のポジションと島田のポジションが離れていたので、間近で見る事は出来なかったが、改めて近くで見れば遠くから見た時とは違う。



 彼の動きを観察すると、島田はある事に気付く。



「歳児」



 そこに島田は優也に声をかけると同時に近づいて行き、呼ばれた優也も彼の方へ向く。



「確かに速い。攻撃でも守備でも歳児の速さは相手にとって厄介だけど、もうちょっと腕を使った方が良いな」



「腕、ですか?」



 優也は腕と聞いて自分の腕を見ると、その間に島田は河野を呼び、相手役を頼む。



「ドリブルの時は腕を横に広げ、ディフェンスに身体を入れさせないよう、その逆に攻撃の相手には腕を使って相手の動きを止める。全国には上手く腕を使う奴はゴロゴロ居るんだ。覚えとくといい」



 そう言うと島田はボールを足元で転がし、相手の河野へ腕を使って実演で伝える。それを優也は一瞬も逃さず、腕で近づけさせない動きを見ていた。



 高校サッカーは今年最後となる3年の島田。その自分達を破った立見と1年の優也。



 自分達を破った東京代表として全国で勝ってほしいと思い、島田は培った経験を伝えていく。










 大門がゴール前で持っていたボールを手放し、宙に浮いた状態のボールをそのまま蹴り出した。



 キック力のある彼のパントキックは高く上がり、センターサークルを超えてパスの受け手である前川の選手に届く。




「難しいなぁ、低くやるのは」



 今のキックを納得出来ずに考えると、横で見ていた岡田が大門へ歩み寄る。



「キック力は良いもん持っていてコントロールも悪くない。後はお前が身につけるだけだ」



「岡田さん、わざわざ見てもらってすみません」



 教えてもらっている身の大門は岡田に頭を下げれば、改めて礼を言う。



「馬鹿、礼を言うの早すぎなんだよ。身につけて全国で結果出してから言え」



「あ、はい」



 岡田は低弾道のパントキックを蹴れて、それを物にしようと学んでいた。



 高く上げる滞空時間の長いキックをパワーのある大門は得意としているが、低弾道の精度は低く、正確には蹴れないから公式戦では使っていない。



 守備だけでなくカウンター攻撃の起点となって、立見と争っていた前川のGK岡田。堅実な大門と違って攻撃的なプレーが持ち味で、良い所を近くで見て学べば、守護神として更に上へ行く可能性がある。



 過酷な全国大会なら、GKの出番は遅かれ早かれ訪れるはず。




 皆苦しい時こそ最後の砦が踏ん張る時で、それが何時も助けて貰ってる弥一の助けになると思い、大門は岡田と共に練習を続けた。










「1回戦の相手、決まりましたー」



 前川との練習中に、インターハイの初戦を戦う相手が決まって摩央は皆へ知らせに来た。



 インターハイはトーナメント戦で、全国から予選を勝ち抜いた強豪達が集う夏の大きな公式戦。初出場の立見は1回戦からの参加となる。



 相手が何処なのか、立見の部員だけでなく前川の部員も気になる様子。




「徳島の泉神(いずみがみ)高校、全国初出場か」



 スマホで摩央がトーナメント表を見せ、成海が1回戦に立見と当たる対戦校を確認すれば、徳島予選を勝ち抜いた泉神高等学校と分かった。



 立見と同じく初出場で全国の場数はまだ無い。それを思うと立見とは経験で言えば五分だ。




「けど、次は……」



 初出場相手に不安という訳ではない。だが、その先の相手が摩央を暗い表情にさせてしまっていた。




 立見が仮に泉神に勝ったとして、2回戦へ勝ち上がると相手は2回戦から登場のシード校。




 そのシード校は高校サッカー界で知らぬ者はいない。






 高校サッカー界の王者として君臨する八重葉学園。



 立見が勝ち上がったら、翌日には高校最強と激突の組み合わせになってしまった……。

宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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