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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第5章 東京代表との戦い

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1次トーナメントの戦い

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 新設のサッカー部に突然の高性能サッカーマシンの導入。いきなりの贈り物で幸は戸惑い、どうしようかと思ったが向こうの好意に此処は甘えて、ありがたく貰う事にした。



 推定50万円という事なので扱いは慎重にと各自に伝えられる。壊しでもしたら幸の月収が吹き飛びかねない。




 彩夏は前もって取り扱い説明書を読んでいて、マシンの設定を行う。



「このマシンは様々なシュートが撃ててロングパスやセンタリングとか、そういったのも発射出来るみたいですよ~」



 何処かドヤ顔で彩夏はマシンの発射台を指差す。マシン一つで得意なボールをいくつも出来て、人に蹴ってもらう必要が無い。早くも人数の少ない立見サッカー部には、ありがたい存在となりつつある。




「どんなシュート撃てるのか、誰かキーパー試してみる?」




「あ、はい! 俺やりまーす」



 京子から誰かシュート受ける者は居るか問われると、彩夏に良い所見せようとしてるのか、2年GKの男子一人が立候補した。



 グローブを付けてゴール前に立てば、止めてやろうと気合充分。




「じゃあ行きますね~」



「おーし、来い!」



 グローブを付けて構えた2年GKに、彩夏はボールを発射台へセットする。






 バシュッ




「!?」




 GKが気付いた頃にはボールが既に通り過ぎてしまい、高速の球がゴールネットを大きく揺らされ、その前に立っていた男子は呆然としている。



 彼からしたら一瞬風が吹いた感じが伝わり、気づけばゴールされたという感じだ。




「はっや!?」



 流石の弥一もこれには驚く。シュートスピードは想像以上で、相手が機械だから当然心など読めるはずが無い。キッカーと違ってモーションも無いので、2年GKもノーモーションから、あのような弾丸シュートが飛んで来るのは備えられなかったのだろう。



「あんなシュート俺も撃てねぇぞ……」



 シュート力なら部内No.1の豪山も、機械のシュートスピードは無理だと感じて冷や汗が出て来る。




「このサッカーマシンは最大で、時速130キロのシュートスピードが出るそうですよ~」



 彩夏から告げられた機械の最大シュートスピードを聞いて、部内に驚きが起こっていた。



 サッカーにおけるシュートスピードはプロで100キロと言われている。それをこの機械は30キロも上回る程の球を出せてしまう。



 シュートスピード130キロとなれば、国内プロのトップレベルを超えて海外のプロにも到達する程だ。




「これ、相手の強烈なミドルやロングが不意に飛んで来た時の対策とか、速いクロスに合わせるとか色々応用して使えそうじゃないですかー? キーパー練習としてだけでなく」



 このサッカーマシンを使って色々出来そう、そして面白そうだと弥一は目を輝かせた。彼だけではなく、他に何人かの選手もマシンに興味が湧き、面白そうと感じた。



 やはり男子はこういった機械に対して、心躍る物があるのかもしれない。




「皆さん、取り扱いはくれぐれも慎重に丁寧に!」



 そこに幸は念を押して部員達へ、サッカーマシンの取り扱いを丁寧にと何度も口酸っぱく注意。50万という高価な機械を扱うのだから、大事にするのは当然だ。




 立見サッカー部で初のマシン導入による練習が始まると、摩央がマシンを設定してボールをセット。ゴールで構える大門目掛けて発射される。



 ノーモーションで急に放たれる130キロの弾丸シュート。



 それも右下の隅とキーパーの取りづらいコースへ飛んでいき、大門は反応して横っ飛びで左手を伸ばすも、間に合わなくてゴールネットが揺れる。



「こんな速いのか!」



「高校生でこんなの撃てるのは流石にいないだろ……」



 止められなかった大門も、セットした摩央も機械の放つシュートスピードに驚かされて、大門は今まで体感した数々のミドルやロングよりも速いと感じた。



 プロで100キロが平均なのだから高校生では130キロは勿論、100キロのシュートスピードを出せるプロレベルのプレーヤーも、そう滅多にいないだろう。



 多彩なコントロールシュートを撃てるという点では弥一も負けてはいないが、彼ではそこまでのシュートスピードは出せない。弥一にも豪山にも撃てない新たなシュートを機械が可能なのは、相手のシュート対策が幅広く行えそうだ。






「いきまーす」



 摩央が合図を出すと、ゴール前で構えるDF陣や攻撃陣が頷く。摩央の前には例のサッカーマシンが置かれている。



 ボールをセットするとマシンはボールを発射。高く速いクロスがゴール前へ上がった。



「うお!?」



「わっ!?」



 マシンの放つクロスボールは速く、間宮と川田は目測を誤り、ボールを頭でクリアしようとするも届かず。




「っ!」



 シュート並のクロスに成海はなんとか合わせ、頭で狙いに行く。ボールはゴール右へ飛んで、スピードある球に合わせてのヘディングに安藤は反応出来ていない。



 だが、成海のヘディングはゴールマウスから右に逸れていき、攻撃する方も合わせるのは困難だ。




「おいおい、こんなクロスあるのか? 早すぎて敵どころか味方も合わせられないぞ」



「けど、海外のリーグだとパススピードはシュート級の威力だって聞くからねー。やっぱ合わせられる人は合わせられるんじゃない?」



 誰も合わせられないパスだろうと、一同が唖然としながらも弥一は横でマイペースに機械を眺めており、合わせる事は不可能じゃないと語る。



「それに、これ高かったり低かったりの速いクロス対策にもなるかもよー? 何しろノーモーションだし。その対策も出来ちゃったりするから、思ったよりも万能マシンになってるよねー」



「とりあえず設定少し変えるか。スピードをまずは落としてから徐々に上げて慣れる方が効率良さそうかな?」



 各自で話し合い、サッカーマシンの活用について実際試しつつ、練習をこの日もこなして行く。






 支部予選が終わり1次トーナメントが開始される試合の2日前。何時ものように午後の練習終わりにスタメン発表がされる。



「GK 大門」



「DF 間宮、神明寺、田村、後藤」



「MF 成海、鈴木、岡本、影山、川田」



「FW 豪山」




 最近はこの先発メンバーが続き、武蔵や優也はやはり後半からの出場となる。






◇  ◇  ◇


 試合当日、両選手がフィールドへと立つ。



 立見の相手は支部予選を勝ち上がった壁代高校。堅守速攻のカウンターサッカーを得意としていて、前の試合では壮絶なPK戦を行い、勝利を勝ち取っている。




 1次トーナメントの戦いは午前10時にキックオフを迎えた。




 ピィーーー





 立見ボールからのキックオフで試合は開始され、中盤で何時も通り成海を中心にボールを回していく。



 壁代の方はゴール前に早くも人数を多く固めていた。前線には二人程残しており、カウンターに備えている。




 守備に人数をかけて守り、攻撃で少ないチャンスから点を取って後は守りきる。それが壁代のサッカーだ。




「(意地でも守りきってやるって感じだなぁ。PKも勝ってるから、そこまで行っても勝つ自信あると。前川みたいなタイプだね)」



 心で弥一は彼らが絶対守りきるというのが伝わって来た。それは支部予選の時の前川戦でも感じ、1点はやらないという強い気持ちが堅守に繋がり、相手の攻撃を跳ね返す力となる。




 豪山が相手DFと頭で競り合い、ボールが零れた所に成海が詰めるも、その前に相手のDMFが蹴り出してクリア。



 やはり壁代の守りは相当堅い。




 クリアされたボールは前線の壁代選手が向かい、カウンターを狙ってくる。




「(守りきってやるっていうのはこっちも同じだけど!)」



 壁代以上に弥一は意地でも無失点で終わらせようと企む。このカウンターを許すさず、ロングボールをいち早く読んで先にボールを取る。



 堅守に関してなら、立見も3試合連続無失点なので、守備は決して負けてはいない。





 両者に決定的なシュートチャンスが生まれないまま、前半の時間はあっという間に過ぎ去って行く。




 此処でボールは右サイドの田村に渡り、空いている右を自慢の足の速さで駆け上がる。



 壁代は相変わらずゴール前を固めて、しっかり豪山にもマークを付けていた。



 シュートコースも塞ぐと、DFが田村へ迫る。



「(こんの!)」



 田村はエリア内に思いきり右足でボールを蹴る。それはパスというより、シュートを思わせるスピードで飛んでいく。



 急な速いクロスにDFは必死のブロック。これによりボールはエリア内へ流れ、このセカンドを拾えばチャンス。壁代はピンチだ。



 混戦となったゴール前、豪山も成海もボールを追いかけて、壁代DF陣もクリアで危険地帯から脱出させようとしている。






 その時、ボールがシュートによって飛ばされると、キーパーの足元を抜けてゴールネットを揺らした。




 豪山でも成海でもない。




 混戦でどさくさに紛れ上がっていた影山が、誰にも気づかれないままシュートを撃って、それが見事入ったのだ。




 ここぞという時に仕事をしたシャドウボランチの元へ、立見の数人が集まると影山を囲んで手荒い祝福が始まる。



「やったやったー! 流石影山先輩、良い存在感の薄さだったよー!」



「(褒めてんのそれ!?)」



 影山本人としては微妙な気持ちだが、弥一は褒めているつもりだった。どちらにしろ、堅守の相手に対して大きな先制点。これで前半は終了し、1-0でハーフタイムを迎える。





 後半に入って壁代は攻勢に出るが、間宮と田村を中心としたDF陣が攻撃を止めれば、更に弥一も先を読んで声を出してコーチング。



「8番、長いパス来るよー!」



「7番、ミドル撃つよー!」



 それが次々と的中すれば、攻め込まれる前に相手の攻めを跳ね返し続ける。



 思うように攻撃が決まらず、壁代は焦りが生じてくるとミスも目立ってきて、攻撃に精彩を欠いていく。





 後半30分になると武蔵、優也を鈴木と岡本に変えて同時に投入。



 すると2分後。




「!?(はや!)」



 壁代DFがボールを持つと素早く優也が詰めて来て、思ったよりも速いプレスにキープ出来なくて弾かれる。すかさず優也は拾ってボールを大きく蹴り出し、それに追いつこうと俊足で迫る。



 壁代ゴール前にはキーパーのみで、前に飛び出して追加点の阻止に向かう。





 その動きを優也は冷静に見ていた。飛び出してきた所にボールの下側につま先を潜り込ませ、足の甲でボールを蹴る。浮かせたチップキックはキーパーの頭上を超えていくと、そのままコロコロと無人のゴールマウスに入った。




 2-0。優也がDFから前線でボールを奪い、キーパーとの一対一を落ち着いて決めれば、貴重な追加点が終盤で生まれる。立見の数人は優也の元へ集まり、ダメ押しのゴールを喜んだ。



 当の本人は大きな喜びは特に無く、薄いリアクションで女子から見ればクールな格好良さが感じられる。




「行くよー! 此処で失点は駄目よー!」



 追加点の後も弥一は積極的に声をかけていき、立見の守備陣も集中して守れば、この後の反撃を通さず試合終了の笛が鳴り響く。



 1次トーナメントに入って初戦を勝ち抜き、立見は調子を上げていった。





 立見2-0壁代



 影山1


 歳児1

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