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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第4章 夏を目指して予選を戦う

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ゴールを守る曲者

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「立見GO!」



「「イエー!!」」



 弥一は初の円陣を組んで、皆との掛け声を揃えた。



 立見の儀式を終えて、各自ポジションへと散る。





 ダークブルーのユニフォームを着た立見、GKは紫。



 黄色のユニフォームを着た前川、GKは白。



 それぞれがフィールドへ立ち、挨拶を交わして両キャプテンがコイントスを行う。




 立見高等学校  フォーメーション 4-5-1



          豪山

          9


          成海

 鈴木       10       岡本

  8                7


      影山    川田

      14     16


 後藤   神明寺   間宮   田村

 15     24     3    2


         大門 

          22




 前川高等学校  フォーメーション 3-5-2



     奥田    島田

      11     10


 巻谷     細野    今野

 8       7     9


    山田    加藤

     6     17


   山口  河野  谷川

    3   5    4


        岡田

         1




「あのチビ、スタメンだったのか。しかもDFだって?」



 河野は弥一の位置を見て驚く。試合前に弥一の事をたいした事の無い控え選手だと思っていたが、スタメンで今回出て来たのは予想外だ。



 前川戦に備えて、1回戦の遊歩戦はあえて温存していたのか。それともコンディションが間に合っていなかったのか。憶測の域を超えないが、どちらにしても弥一がどういうプレーをしてくるのか分からない。



「チャンスチャンス。あんなの高いボールが弱点ですって言ってるようなもんだろ。ちょろいカモが出てきやがった」


「身長の無ぇセンターバックなんざ怖かねぇよなぁ」



 前川の数人にスタメン達は弥一が穴だと思っており笑っていた。



 あんなチビにDFなんか務まるはずが無い。河野みたいな力強く、高さあるプレーヤーがセンターバックをやるのが普通で、身長が無い選手ではDFに穴を開けるだけだと。





 その声は弥一の耳に届いていた。




 声だけでなく心の方も、むしろそっちの声の方がよく聞こえてきている。



 何時もの事だ。



 小柄な自分がDFというのに対して、体格に勝る相手は大抵が見下す。




「勝つと同時にあいつら黙らせないと気が済まないかなぁー……」



「え?どうしたんだ神明寺君」


「あー、なんでもないよ。勝ってやろうって思っただけ」



 大門は弥一が何か言ったかと思い訪ねたが、弥一は笑って誤魔化した。



 別に教える必要は無い。




 勝って余計な雑音を発して来る愚か者を黙らせてやろうという企みは。







 コイントスの結果、この試合は立見からのボールで試合を迎える。



 センターサークルにボールを置いて、共に立つ成海と豪山。攻撃の要である二人が、この試合で前川の守りを突破出来るか重要だ。





 ピィーーーーー




 立見VS前川、支部予選の注目の一つの試合が今キックオフ。




 豪山が軽く蹴り出して成海が後ろへパス。そのボールを川田が受け取る。




 すると前川が早々にそれぞれ動き出し、成海と豪山。二人にそれぞれマークを付けた。



 向こうも二人が立見の攻撃の要で、得点源となっている事は調べてある。そのエースを注意して、マークするのは守備として当然の判断だ。




 警戒されているのなら、それ以外で攻めに行く。川田から影山にボールを繋いで、左サイドを走る鈴木へパスを出す。



 成海、豪山へのマークはきついが、向こうへ行っているという事は他がフリーとなる可能性はある。鈴木がサイドを走って中を見れば、前川のエリア内は守備の人数が多く、ゴール前の豪山には前川のDFリーダー河野を含め、二人がついていた。



 中に切れ込もうかとも考えたが、スペースはほぼ無い。これではドリブルを止められる確率は高く、向こうにボールをあげてしまうも同然だろう。



 迷っている間に前川の選手が鈴木へ追いついて迫る。



「(ああもう、豪山に送るしかないか!)」



 此処は豪山の頭に託すと、鈴木は判断してクロスを上げた。高いボールが上がるも精度を欠いてしまい、キーパーに近い方へ流れた。これは前川のGK岡田がジャンプして難なくキャッチすれば、立見の攻撃を終わらせる。




「(今だ!)」



 すると岡田は直後に右手でボールを投げる。その先には細野が居て、キーパーからのボールを綺麗にトラップ。伊達にテクニシャンとは呼ばれていなかった。



「右上がれ右!」



 後ろから河野がコーチングし、それと共に右SHサイドハーフの今野が上がって行く。




 影山が細野を止めようと迫っていくが、細野はトラップと同時に右足で大きくパスを出していた。右サイドには今野が走ってるのが見えて、これが通れば右からのカウンターが炸裂となる。




 立見の弱点は右サイドからの攻め。



 此処が立見の穴だと見て、前川は弱点をついて行った。





「ナイスパース♪」



「!?」



 だが、そこに待っていたのは味方の今野ではなく、相手チームである弥一だ。



 最初から細野が右サイドを突いてくる事が分かっていたかのようなポジショニング。急いで走ってもおらず、余裕を持ったインターセプトで相手の攻撃を断ち切る。




「(ち……読みは自信あるか)」



 今のパスが通らなかった事に、河野は弥一が少しは出来るDFと認識を改めてから、再び豪山のマークに集中した。



 前川のカウンターは弥一のインターセプトにより、失敗に終わる。




 そこに前川のキャプテン島田が弥一からボールを奪おうと、右からダッシュで迫っていた。



「(悪く思うなよ1年!)」



 小柄な弥一相手には、パワーで対抗するのが最も有効。一部の前川の選手と違って、島田は弥一を全く侮ってはいない。彼に対して、より効果的で確実な方法でボールを奪おうとしている。



 177cmの島田と149cmの弥一では体格差があり、パワーの差は明らかだ。誰が見ても島田が弥一を吹き飛ばすだろうと思われた。





 ヒュッ




「(え?)」



 肩からぶつかりに行くが、島田には何も感触が感じられない。




 弥一は島田の仕掛けてくる動きを最初から気付いていた。




 右から猛然と迫って来た島田に、弥一は前進から素早くバックステップで後退し、相手の突進を躱す。ショルダーチャージを躱された島田の方はバランスを崩してしまい、倒れそうになるが踏み留まる。




 その島田が体制を立て直す前に、弥一は右サイドへ左足で大きく蹴り出せば、その先には田村の姿があった。




「(うぉっと! すげぇ正確!)」



 走り込む田村に弥一から正確に送られ、パスを胸でトラップして右サイドを走る。このサイドチェンジに前川の方は詰め切れておらず、田村は快足を飛ばして右サイドを独走。




「行け行け! カウンター返しだー!」



 パスを送った弥一は後ろから声を出すと、攻撃を盛り上げていた。




「マーク離すな! 絶対見失うなよ!」



 河野は豪山につきながら周囲へ指示。前川は徹底して成海と豪山を封じ込めようとしている。





 田村はゴール前、右足で低く早いクロスを蹴る。高さのある豪山に対し、あえて低く行って前川DFの意表を突く作戦だ。



 それでもエリアを固める前川DF陣が、必死のブロックでボールを弾く。弾かれた球に成海が相手の加藤と頭で競り合えば、ボールは中央の外へと出される。



「(シュート、行ける!)



 そこに影山が密かに忍び寄っていた。



 右足を振り抜き、エリア外からのミドルシュート。これに河野反応すれば、身体を張ったシュートブロックで影山のミドルを防ぐ。



 再び大きく上がったボールが前川ゴールの方に流れ、再び岡田の手の中に収まった。




「(よし)」



 キャッチした岡田が味方の位置を素早く把握すれば、ニヤリと笑みを見せる。



 そして先程と同じように、息つく暇無くスローイング。ボールは立見の攻撃の間、フリーになっていた細野に再び向かう。





「(そんな何度も通さないよーっと!)」



「!」



 岡田から大きく投げられたボールは弥一が飛び込み、大きくボールを蹴り出していた。これが相手ゴールの頭上を超えていき、前川ボールのゴールキックにした。



 通れば再びカウンターに繋がるチャンスだったが、ようやく両者の序盤から激しく動いていた流れが弥一によって断ち切られ、ゲームを一旦落ち着かせる。




 弥一は細野に来ると読んでいた。サイドチェンジから密かに、本人や岡田に気づかれないよう近づいていた。





「ナイス、神明寺。よく見てたな」



 川田が近づいて来て、カウンターを防いだ弥一のプレーを褒める。



「あのキーパー結構曲者だね」


「え?」


「さっきから2度、隙あれば蹴らずに投げてカウンター狙ってきてる。あまりキャッチされたくないタイプのGKだ」



 弥一は川田に前川のGKが曲者で、厄介だと告げてからポジションへ戻る。川田も思考を巡らせて振り返れば、あのキーパーからカウンターに持ってかれ続けていた事に気付く。



 キャッチされたら再びカウンターを狙うかもしれない。守備の要である河野に目が行っていたが、その後ろの存在も無視出来ない。





「島田、細野、河野が前川の要なのは間違い無いけどGKの岡田。彼も厄介な存在」


「え? 岡田……岡田……」



 ベンチでは京子が試合を見ていて、前川の要の3人以外にもう一人注意するべき存在が居る。何時ものように冷静に言うと、それを聞いた摩央は慌ててスマホで岡田について調べる。




 前の試合で大差で勝った前川だが、その時に岡田が目立つ活躍をしていなかったせいか見落としていた。



「あ、あった。岡田雅治おかだ まさはる、2年生。身長179cm。中学時代にスタメンではなかったけど彼の所属する中学、石立いしだて中学が全国優勝……!」



 短髪黒髪でGKとしては大柄ではない。彼は控えではあったが、全国を知って優勝も味わっている。


 スローイングの技術が高く、正確に細野の元へと送られるのも頷けた。








「おいハル。向こうお前のパス読んで来たぞ、あまり狙い過ぎない方が良い」


「みたいっスね、抜け目ねぇチビのせいで」



 ゴールキックの準備をする合間に前川の方では岡田、河野の方で会話が交わされていた。




「成海と豪山さえ封じ込めれば、後の連中のシュートが飛んで来ようと俺が全部叩き落としますよ。あ、その二人のシュート来たら止められないっていうのじゃないっスから。そこ勘違いしないでくださいよ?」


「わーったわーった。ゴール前に鍵かけておけよ」



 河野は岡田の肩を軽く叩いてからポジションへ戻っていき、岡田はボールを受け取ってからゴールキックで試合を再開させる。








 立ち上がりからカウンター合戦となり、両者共にそれを決めさせない。


 要の3人だけでなく曲者キーパー岡田の存在によって、前川から勝利を奪うのは益々容易ではなくなってくる。

宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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