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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第3章 全ての始まりとなった者

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天才の出会いと始まり

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 物心ついた時から彼は超能力に目覚め、人の心を読めるようになった。



 相手が何を考えているのか。



 何を望んでいるのか。



 どんなに感情を表に出さない者でも、心で考えている事は隠せない。




 数多くのスポーツがある中で、弥一が惹かれたのはサッカーだった。



 ボールを使った華麗な技術、思い切りボールを蹴ってゴールへ叩き込む。それが出来ると人々は驚いたり賞賛を送る。




 テレビで見ていた、プロリーグで活躍する選手達によるサッカー。あんな事をやってみたい。



 幼い頃の弥一にとってはプロサッカー選手がヒーローだ。




 弥一 小学校1年生



 小学校の校庭。広いグラウンドで思いっきり野球をする同級生の姿が目立ち、その中に弥一の姿は無い。



 彼は一人でリフティングをしていた。




 別に一人だけ仲間外れにされたとかではなく、野球をする気にはなれなかったから断っただけだ。



 サッカーの方をやりたいが、周りの同級生は野球を選ぶ。



 日本では野球人気が元々高い。世界で活躍する日本人が伝説級の活躍をしたり、国際大会で世界一の栄冠に輝いたりと更に人気へ火がついて、彼らみたいに野球へ憧れるのも珍しくはない。



 よくある光景だ。




 気づけば学校でサッカーをする者がいない。



 隅の方へ行って一人だけのリフティングをするのも慣れたもので、回数の記録更新を目指すのが日課となっている。



 その時、校庭の外から声がした。



「お前、上手いなー」


「? あ……!」



 突然声をかけられた弥一はボールを見失ってコントロール出来ず、地面に落としてしまった。今日は調子が良かったから、自分のリフティング記録を超えられそうという所まで行っていたが、これで水の泡だ。



 弥一はボールを拾うと声のかけられた方へ振り向く。



 学校の外にある大通りの歩道。そこから声をかけて来たのは短髪より長めの銀髪、小学校1年生の弥一より身体は大きく、学年が上に見える。


 青いサッカーのユニフォームを着ていて背番号は6だ。



 この小学校で見かけた覚えの無い顔だった。



「あんな長くリフティングするの、お前ぐらいの奴で見た事無いよ。これがダイヤの原石ってやつ?」


「……サッカー、知ってるの?」


「知ってるも何も俺だってやってるし、クラブにだって通ってるからなー」


「クラブ?」



 話を聞くと銀髪の少年はサッカークラブの一員。此処は通っている道らしく、今日も通っている所にリフティングをする弥一の姿を見つけ、長く続けていたので気になって声をかけたという訳だ。



「一人でやってるみたいだけど、一緒にやる奴いないのか?」


「皆あっちだから……」



 弥一が見た視線の先を銀髪の少年も向けると、野球をしている弥一と同い年ぐらいの小学生達が見えて、その姿に彼は納得する。



「そっか。そんなら俺とサッカーやってみる?」


「え?」


「一人より皆でやった方がいい。そういうもんだぜサッカーって」



 銀髪の少年は明るく笑って弥一へ手を差し伸べ、その手を弥一が取れば、とても暖かく感じた。



 ずっと日に当たらず一人で影となって、リフティングする弥一を明るく照らす眩い光。



 弥一は太陽のような彼に誘われ、一緒に公園へ向かう。



「あ、俺は神山勝也っていうんだ。お前は?」



「神明寺弥一」



「何か長いなー。弥一の方が短くて言いやすいから、そっちで呼ぶな」




 サッカーをするのに問題ない、広大な公園に到着すると二人は軽くパスを出し合い、ボールを互いの方へ蹴る。



 弥一にとってパスを出す相手は、たまに遊んでくれる父親と母親ぐらいで同じぐらいの子供にはパスを出した事などない。



 だから自分が上手いかどうかは分からなかった。



「よーし、次は走りながらパスだ」


「え?」


「実際のサッカーじゃ相手は常に止まってはくれないだろ? それにパスをカットする相手だっているんだ。試合じゃこんな感じでパスを出し合うとかは無い。ウォーミングアップ、ってお前ぐらいじゃまだ分かんないかな? あー、準備運動だ。準備運動は伝わるか?」


「ウォーミングアップは分かんない。準備運動なら……うん」



 弥一ぐらいの大きさではウォーミングアップはまだ伝わらないかと思い、勝也は言葉選びに若干苦戦しながらも伝え、弥一はそれを理解した。



 彼らは走りながらパスを回し、時には公園の遊具をDFと想定し、その間でパス交換が行われる。



「う~……」



 弥一は目の前の砂場でボールをキープしていた。



「弥一、此処はボールを浮かせて来いよー。いいか? ボールを浮かせるには地面とボールの間に足を入れて上に振り上げるイメージで蹴るんだ。下から上にすくうように」



 砂場の先で待つ勝也は弥一に砂場を超えるアドバイスを送ると、これを聞いた弥一は実行する。



「(ボール、地面とボールの間……下から上にすくうように……上に、振り上げる!)」



 頭の中でイメージしながら、弥一は言われた通りボールと地面の間に足を入れ、すくうように振り上げる感じで蹴った。



 ボールはふわりと浮かび、勝也から左へずれた方向に飛んでいけば、勝也は追いかけて弥一の蹴った球を胸で受ける。



「っと、良いね。綺麗なループだ! いきなりこんなの蹴れるのはお前珍しいと思うぞ」


「そうなの?」


「俺の時は滅茶苦茶だったからなー。弥一より全然外れた方にボール飛んでったし」



 二人は談笑しながらボールを蹴り合う。



 誰かとサッカーをする。それは一人でリフティングするよりも弥一にとって凄く楽しかった。



「俺何時もお前の学校通ってるから、また会おうな!」



「うん、また……勝兄貴!」



 別れ際に弥一はそう言って走り去って行った。



 勝也が苗字より名前の方が呼びやすいとなったように、弥一もこの方が呼びやすいだけでなく勝也を兄みたいだと感じて、自然と口が呼ぶようになる。




◇  ◇  ◇


 それからの弥一は一人でリフティングから楽しみが一つ出来た。



 彼が来るまでの待ち時間、弥一は時間潰しの為にリフティングをしている。何時もより長く出来ていて上達しているのが自分でも感じられた。


 勝也からサッカーを教わり始めたのが大きく、影響しているのは間違い無い。



「弥一!」



「あ、来た……! 勝兄貴!」



 聞き覚えのある声に、弥一は分かり易いぐらいに表情を明るくさせた。勝也と合流した後に公園へ向かって一緒にサッカーをする。



 これが新たな弥一の日課となった。




「今日はそうだな、1対1とかやってみるか。俺がボールを持ってドリブルするから奪いに来いよ」


「分かった」



 何時もの公園で弥一はボールを持った勝也と向き合う。パス交換をしたりしてきたが、今日は初めて間近で勝也と対決。ドリブルしてくる相手からボールを奪う事など、一人でリフティングをするのみだった弥一は経験していない。



「(とりあえず、左へ軽く行くか)」


 勝也はドリブルで弥一へ向かい、ボールを持って左に移動。



 これを見た弥一は左へ動く。



「(と、思わせて右っと!)」



 勝也は右足で軽くボールを右に転がして、自身も右に動くフェイントを見せる。




 ちょっとやり過ぎかと思いながらも、これで抜いたと勝也は思った。




「!?」



 だが、弥一は最初から見抜いていたのか右へ動いた先に居た。



 今ので抜いたかと思ったのに、弥一がその先に居るとは思わず勝也は目を見開く。



「(く……! 上!)」




「(え? 上?)」



 勝也がどう来るか、弥一は心の声を聞いていた。それで進行先が分かってフェイントについて行けたが、上というのを聞いて戸惑う。



 トンッ



「わっ……!?」



 勝也は両足を使ってボールを挟み、持ち上げると右の踵でボールを蹴り上げた。弥一の頭上をループでふわりと浮かせれば、自分も弥一の右を通って通過。



 小学生にして華麗なヒールリフトを勝也は鮮やかにやってみせた。



 あまりの事に弥一は分かっていても、身体が反応が出来なくて尻餅をついてしまう。



「ふ~……」



 正直、弥一が此処までついて来たのは勝也にとっては想定外で、本当はヒールリフトまで使うつもりなど最初は無かった。


 ただ、あのまま行ったら止められていたかもしれない。



 それでつい本気になってしまったのだ。



「弥一!」


「え?」



 勝也は弥一へと近づき、立ち上がらせると彼の両肩に力強く両手を置いた。



「お前、クラブに入る気は無いか?」



 弥一が見た勝也の目は今までの中で一番真剣な目をしている。



 この時に勝也はもう気付いたのかもしれない。




 弥一の才能を。





 神山勝也に導かれ、神明寺弥一のサッカーは始まった。

宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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