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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第3章 全ての始まりとなった者

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彼へ天才は祈りを捧げる

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「何だよ今日のサッカーは!」



 公式戦、1回戦で強豪と当たり、試合は大方の予想通り強豪校にリードを許す展開。



 失点を次々と許せば前半だけで4-0とされて、皆が下を向くとチーム内には負ける雰囲気が漂う。



 そこへチームのキャプテンが立ち上がって声を張り上げる。



「何時もの動きが全然出来てないじゃないか! そんなガチガチの保守的サッカー、強豪どころか格下にだって負けるだろうが!」



 大量リードを許し、何も出来てないチームに喝を入れるかの如く、彼は自分のチームに怒った。



「今日のお前らは最低の弱さだ! こんなんで全国行けると思ったのか!? このまま負けて悔しくないのかよ! 悔しいなら……!」






「本気でサッカーやれよ!!」





 その言葉を受け、キャプテンを中心としたチームは奮起。



 後半に決死の猛攻を仕掛けて2点を返す事に成功するが、終盤に1点取られて5-2。



 2点差まで追い上げて来た時は周囲は逆転劇を過ぎったが、最後は力尽きてしまった。



 これが彼らの最初の1年で歴史の始まりとなる。




◇  ◇  ◇


 4月16日  日曜日



 王者八重葉学園との練習試合が終わり、明日の部活に備えて試合に疲れた者はひたすら休めば元気な者は遊ぶ。


 激闘を戦った立見サッカー部のメンバーは、日曜日にそれぞれオフを過ごしている事だろう。



 八重葉との試合で一人、色々な意味で目立った選手。電車に揺られてスマホゲーをしている小学生のような人物が、練習試合で活躍した弥一だと周囲の者は誰も分からない。



 何時もの私服を纏い、向かう先は何時も通っている場所から一つ先の駅。


 


 立見駅から先に降りた事の無い弥一にとっては見慣れない場所で、駅の改札口に向かっている時。



「弥一君」



 改札口の外から声をかけて来る者が見えた。



 短髪黒髪で身長は170cm程。黒いジャージを着た20代後半ぐらいの男が立っていて、彼が軽く手を振ると弥一は男へ駆け寄っていく。



太一たいちさん、お久しぶりですー♪」



 太一という男に弥一は頭を下げて挨拶。二人は互いを知っていて付き合いがあった。



「イタリアから戻ったならすぐ声かけてくれよ」


「あー、ちょっと入学手続きとかで色々バタバタしちゃって遅くなっちゃいました。それに太一さん、立場的に気軽に声かけられないし」


「何言ってんだ。気にするなそんな事」



 弥一と太一は話しながらも駅から出て、停めてある車へと乗り込む。



 太一の所有する車で国産の赤い高級車で、慣れた様子で運転席に座るとシートベルトをして、弥一も助手席で同じように着用。



その後に車はゆっくりと発進する。



「君の活躍は聞いてるよ。イタリアで大活躍だったそうじゃないか」


「日本じゃ取り上げられる事があんま無い、ジョヴァニッシミ(イタリアの下部組織で13~15歳の選手が所属)の事なのによく知ってますねー」



 弥一は小学校を卒業するとイタリアに留学していた。場所はミラノで地元クラブのジョヴァニッシミに所属。日々イタリアのカルチョと触れ合い、DFとしての技術を高める。



 日本とはまるで違う環境と地元のサッカー熱。それを肌で感じ、世界を知っていった。本場のプロによる高レベルのサッカーが繰り広げられる、プロリーグもその目で見てきた。



 朝練を当たり前のようにしてきて練習もほぼ毎日だった弥一は最初、その違いに驚かされる。朝練無しで日本より少ない練習量、海外サッカーでは量より質を徹底するのが当たり前だと学んで適応していく。



「SNSの力はそれだけ凄いって事さ。てっきりあのまま残ってプリマヴェーラ(イタリアの下部組織で主に17~18歳の選手が所属)へ上がってゆくゆくはプロ、と思ったら日本に帰って来て……」



 信号が赤になって止まると話していた太一は、それまで笑っていた笑みが消える。




勝也かつやの事があったから……か?」


「……」



 勝也、その名前を聞いてから太一と同じく弥一も笑みは無くなる。




 それは太一にとって、そして弥一にとっても深く関わりのある人物。彼らはその関係で目的地へ向かっていた。





 車を走らせ、住宅街にまで来ると駐車場で車を停めて、二人は目的地まで歩いて行く。


 古い一軒家の前で二人の足は止まる。



 表札には神山かみやまと書いてあった。



「ま、遠慮せず上がってくれ」



 太一は慣れた様子で鍵を取り出してドアの鍵穴に差し込み、ドアを開ける。




「ただいまー」



「ああ太一、お帰りなさい」



 二人を出迎える50代後半ぐらいの女性が太一の母。



 この神山家は太一の家。住み慣れた家の鍵を持っているのは当然だった。




「その子が……勝也と遊んでた子かい?」


「ああ、神明寺弥一君だ。こう見えて彼は抜群にサッカーが上手いんだぜ」



「初めましてー」



 太一は母へつれて来た人物を紹介し、弥一は頭を下げて挨拶をする。



 神山家へ通された弥一は太一とその母の案内で、奥の部屋へ向かう。





 神山勝也かみやま かつや



 太一とは兄弟であり太一は兄、勝也は弟。



 弥一にとっては兄のような存在で、弥一にサッカーを教えてくれた師でもある。





 弥一が通された部屋は勝也の部屋で、そこには仏壇と彼の遺影が見えた。



 その前に歩いて近づくと、その前に立った弥一は手を合わせて目を閉じる。



 「来るのが遅れてゴメン……勝兄貴……」



 弥一にとって勝也はサッカーを教えてくれた師であり、兄でもある。



 彼はもう、この世にいなかった……。

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