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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第2章 いきなり強豪と練習試合

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天才から天才へ宣戦布告

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 OUT    IN

 鈴木   歳児(18)


 川田   神明寺(24)


 安藤   大門(22)




 立見は後半の頭から一気に1年の3人のメンバーチェンジし、一方の八重葉はメンバーの交代は無しで、照皇達3人の要も引き続き出場する。




「間宮先輩、ちょっとー」


「あ? 何だよ」



 先程掴みかかって来た事を忘れているかのように、弥一は間宮を呼ぶと小声で話し出す。




「……! お前、いくらなんでも無茶が過ぎるだろ!」


「大丈夫ですってー。少しは信用してくださいよー」



 間宮は信じられないといった様子で、弥一は変わらず明るい笑顔を見せると、川田が前半守っていたポジションにつく。




「DF? それもセンターだってぇ? 大城先輩みたいな大きくてガタイ良いのがやるもんだってのに」


「あいつの方へ高いボールぽんぽんと上げちまえば簡単に勝てるだろ。3点で立見は勝負捨てたんじゃねえの?」



 八重葉の一部の2軍達は弥一がDFの位置についたのが見えると、馬鹿にするように笑っていた。



 あんなチビがCDFなんか出来る訳が無い、高さの無いDFなんか怖くもなんともないと。



「(ま、思わせて油断させとこうかー)」



 自分を見下す者達の心は弥一から丸見えで、相手が油断してると把握する。



 後半の笛が主審によって吹かれ、後半戦が八重葉ボールから始まった。



 ピィーーー




 八重葉がボールを持つと、照皇は早くも前線へ上がって走る。これを見た弥一は照皇のマークにつく。




「(驚いたな、マジでフィールドに立ってきたし……って、おいおい!?)」



 帽子の男子は弥一を見て、思わず飲んでいたペットボトルのお茶を置くと、前半よりも食い入るようにフィールドを見る。



 照皇へのマークは弥一だけで他は誰も行っておらず、危険なエースを完全無視しているかのようだ。



「(マコをマンツーマンで止めるってのはおチビちゃん。そいつはあまりに無謀過ぎんだろ)」





「(此処は細かくはいらないよな。照皇の力ならあんなチビDF躱したり吹っ飛ばしたり簡単に出来る!)」



 ボールを持った中盤の田中は照皇にパスを送る。マークにつく弥一が抜かれれば、代わった大型キーパーと一対一で、4点目を狙える大きなチャンスになると狙ってのプレーだ。



「……?」



 照皇がパスを受けた時、ある違和感を感じていた。何時もは此処でボールを受ければ、当たり前のように感じてた物が無い。



「(後ろからのプレッシャーが……無い?)」



 厄介なストライカーとしてマークされる事は当たり前で、常にDFのプレッシャーを受けて密着マークをされたりと、常に照皇は相手の圧を受けながら戦ってきた。



 しかし、今回はフリーのような感覚。何か罠でもあるのかと、違和感を感じながらも前を向く。



 弥一が距離を開けていて、相手と向き合った瞬間に詰め寄る姿は、わざと照皇に前を向かせようと誘導しているようだ。



「(あ、あのチビ! よりによって照皇と真っ向から睨み合いって何考えてやがる! 守備の基本も知らねぇのか!?)」



 DFはFWに前を向かせない守備をする。それが守備の原則の一つだ。



 その原則を無視して弥一は相手に前を向かせている。それも一番危険な天才ストライカーを相手に、間宮は心底弥一に対して「何やってんだ!?」と思った。




 正面から照皇と弥一は向かい合っての一対一。ボールを持った照皇が右へ動けば弥一も移動すると、その瞬間に照皇は左に鋭く切り返しての方向転換。



 これで弥一は右に釣られたまま置き去りかと思えば、切り返しに騙されずに同じ方向へ動き、相手の前に立ち塞がる。



「……!」


「(どうした天才ストライカー? こんなフェイントじゃ僕は抜けないよ)」



 また睨み合う形に戻る両者。照皇はシュートに行こうと右足を振り上げる動作を見せた。


 距離は少しあるが狙えない距離ではないと、弥一はシュートに対して身構える。



 だが、そう照皇は思わせて右足で小さくボールを蹴り、転がる球と共に左へ移動。



 キックフェイントに振られてしまい、今度こそ弥一は動けず抜かれる。




 かと思われたが、弥一は行動に出ていた。




「(此処!)」


「!?」



 弥一は照皇がボールを蹴り出し、自ら追いつくまでの一瞬。ボールと相手が離れた短い隙を突き、滑り込んで足を伸ばす。



 その結果、弥一がスライディングでボールを蹴り出していた。



「っと……!」



 影山が弾かれたボールを拾い、照皇からのボール奪取に成功。




「(マジか!? あんなちっこいのが、正面向いたマコからボールを取っただってぇ!?)」



 帽子の男子は驚愕の光景を目にしてしまった。



 あの八重葉の高校No.1ストライカー、照皇のドリブルを代わって入った小さなDFが止める。そんな信じられない光景を。




「左ガラ空きだよー!」


「!(よし!)」



 弥一の声に影山は気付き、相手は田村が前半で良いクロスを上げていた影響か、立見の右からの攻めを警戒していた。



 逆サイドに対する警戒心は薄い。


 また簡単に止まると思われてるだろうが、今回は前半と違う。



 スピードに絶対の自信を持つ1年が後半に入ったのだから。



 影山は優也の走り込むであろう位置へ左足でパス。



 これを見た八重葉のDFは無理に追わない。前半で見た鈴木のスピード程度ならタッチラインを割ると、無駄なスタミナを消耗しない選択を取る。




 そんな予測を彼のスピードが覆す。



「(な!?)」



 八重葉のDF、右を守る川木は驚愕していた。



 影山のパスは届かずに八重葉のスローイン。追いつける訳が無いと思い込んでいたが、その考えを否定するかのように優也は快足を飛ばし、ボールとの距離を一気に詰めて足元に収めた。



 照皇からボールを奪った直後、カウンターとなるチャンスだ。



「油断するな川木!」



 豪山をマークする大城は、甘く見ていた川木へ注意。



「くっ!」



 川木はボールを持つ優也へ詰め寄る。自分の失態でピンチを招きかけているので、自ら止めて帳消しにしようとしていた。



 トンッ



 優也は相手が近づいて来ると前へ軽く蹴り出すと、川木の横をすり抜けるが味方の選手が近くにいない上、スピードが出ずに前を転がるのみ。



「(俺のプレッシャーに負けてミスキックか!)」



 力なく転がっていくボールをミスだと判断して、川木は反転して追いかける。



 その川木の横を通り抜け、優也は猛然とダッシュで向かっていた。



「な!?」



 あまりの速さに川木が驚いている間、距離は開いていく。



 ボールの転がっている場所はDFやキーパーの間で、そこに優也は走り込む。




「(これで1点!)」



 優也が追いつくとエリア内の左から、あまり角度の無い場所で右足を振り抜く。



 ガッ



 そこに豪山のマークについていたはずの大城が、大きな体でシュートブロック。優也の狙いをDF陣の中で唯一見抜き、シュートコースに入っていた。




 ボールは高く上がり、豪山が頭で競り合うも高さで大城に勝てず、ヘディングで右のタッチラインに逃れる。






「(あーあ、今ので1点取り返せると思ったら。身体デカいから一歩も大きくて戻り速いんだよなぁ~。反応も良いし、流石王者の守りの要は伊達じゃないって訳か)」



 上手く守られて1点が取れず、弥一は相手の守備で大城の存在が厄介に思えた。


 彼が居るおかげで守備力だけではなく、セットプレーでの決定力もあって、八重葉の攻守を支えている。




 右からのスローインから再開され、成海がボールを持つと田村へ投げ渡す。そこから影山へ折り返し、前を向けば豪山を狙って右足のロングパスを送った。



 高さで圧倒的な強さを持つ大城がいるせいか、パスは地を這うように進む。



 豪山は自らボールへ近づいていき、走り込んでいる成海が見えたので、彼へ右足のダイレクトパスで届ける。



 来た球に成海は利き足の左をそのまま振り抜き、ボールを八重葉ゴールへ飛ばす。



 大城が再び体を張ったシュートブロックで防ぎ、190cmの体が成海のシュートを阻む。零れたボールを優也が拾いに行くも、その前に八重葉のDF皆本が大きくボールを蹴り出してクリア。




 空中で互いの選手が競り合い、ボールは村山が取ってキープ。この時、一瞬だけ味方の前線の方を見る。



「(照皇一人だけ? いや、後ろにあの小さいDF居るはず。照皇をブラインドにして姿を隠したつもりか!)」



 他の立見DFは上がっていて照皇が彼らより前に居る為、これではオフサイドにこれではなってしまうが、村山は罠だと思っていた。



 照皇との一対一で弥一は相当なDFと理解。自らの小柄な身体を使って照皇の陰に隠れ、オフサイドになると思わせてパスを躊躇させる気なのだと。



 そんな子供だましには引っかからない。そう言わんばかりに村山は照皇へ右足のスルーパスを送る。




 ピィーーーー



「!?」



 その瞬間、線審の旗が上がるとオフサイドの笛が鳴り響く。



 照皇の体に弥一が隠れているのかと思えば、本当にいない。村山のパスは文句なしのオフサイドとなった。



「(ふ~、何時もながら相手をオフサイドにはめるのはスリルあるなぁ。取れなくても追いついてたけど~)」



 弥一は何時の間にか照皇から離れ、村山の死角となる場所へ走って姿を隠していた。これがオフサイドになっていなかったら完全に八重葉のチャンスで、大門頼りになってしまう。



 攻撃的な守備で上手く行けば接触無しでボールを奪えるが、外せば絶体絶命。村山がパスを出すと前持って分かっていたので、弥一のサイキッカー能力ならではのプレーだ。




「そこの10番背負った天才ストライカーさん」


「……?」



 オフサイドでマイボールとなった球を持つ弥一は、位置へ戻ろうとする照皇を呼び止めた。


 足を止めた照皇は弥一に振り返る。




「悪いけど、あんたのハットトリックはこの試合無いよ。後半はこのまま0で終わるから」



 そう宣言する弥一の顔は不敵に笑っていた。



 年下であろう子供のような相手に挑発をされて、照皇の方は頭に来る事なく、冷静さを保っている。



「……挑発で揺さぶる気か? やめておいた方が良いぞ。八重葉にそんな手は効かない」



 弥一は自分を挑発して心を乱すつもりだろうと読み、照皇の心が乱れる様子は無い。




「挑発? ううん、ただの揺るぎない事実だよ。この試合0で行く。得点だけじゃなくて、あんたのシュートも0本でね」


「……!」



 ゴールだけではなく、シュートも0で抑える。



 弥一の大胆な宣言に対して、ストライカーとしての本能が黙っていられなかったのか、照皇の中で静かに着火が始まりつつあった。




 常に冷静なプレーであまり感情を表に出さない天才。それがもう一人の天才によって刺激され、闘志が表に出始める……。

宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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