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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第2章 いきなり強豪と練習試合

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守護神の過去を聞いて天才は宣言する

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 桜見運動公園の出口へ出て、弥一と優也は大門について歩く。



 同じ桜見に弥一と大門は住んでいるが、まだ互いの家に行った事はない。大門がどういう家に住んでいるのか、弥一の心は躍るばかりだ。



 歩いて数分、大門の足は大きな建物の前で止まった。



 立派な店構えをした中華料理店が彼の住む家で、昼時のせいか客の出入りが多い。



「中華店……お前此処に住んでるのか」


「良いなぁ~、美味しいチャーハンとか毎日食べられそうだし~」



 店を見上げる優也に、美味い食事を毎日食べる妄想に入って腹が鳴ってくる弥一と、リアクションはそれぞれ異なった。




「こっち、裏口から入るよ」



 裏口に案内される弥一と優也は店の正面から裏に回り、ドアを見つけると大門は鍵を使って開ける。



「ただいまー」



 何時も通り、裏口のドアを開けると挨拶。すぐに「おかえりー」という女性の声が奥から返ってきて、それが大門には母親の声だと分かった。今店を回している昼時なので迎えに行くのは難しいのだろう。



 忙しい時に自分達が訪れて本当に平気かと優也が思いながら大門、弥一に続いて裏口から中華店に入って行った。



「おお、帰ったか達郎! その子達がお前の友達か?」



 赤い厨房服と帽子の格好をした60歳ぐらいの年配の男性。この中華料理店の者だというのが格好を見て分かる。



「じいちゃん、そうだよ。同じサッカー部の二人」



 男性は大門の祖父のようで、孫と並んで見れば祖父は背が高い上に体格も良いのが分かる。



 この辺りは大門の血筋なのかもしれない。



「初めましてー、神明寺弥一です♪」


「お邪魔します……忙しい所をすみません、歳児優也です」



 弥一と優也はそれぞれ頭を下げて挨拶する。



「君達か! 孫から聞いているぞ。神明寺君はイタリア帰りの天才リベロで、歳児君は素晴らしい足の速さと持久力を持つFWだと自慢しとったからな。ワシは祖父の重三じゅうぞうだ」



 大門から既に二人の事は自慢するように聞かされたと語る祖父の重三。



「まあ、この子らが達郎の友達かい? 私は祖母の立江たつえです。達郎がお世話になってるそうでありがとうねぇ」



 重三と同じく赤い厨房服と帽子、年も重三に近い年配の女性。祖母の立江も来て互いに挨拶を交わす。



 この中華料理店は重三の店で長い歴史を持ち、それを立江や大門の両親二人と共に支えている。地元民から愛されている店で常連客が多く、この店で大門は生まれ育った。



「息子夫婦の方は今手が離せん状態なのでな、君達の飯はワシらに任せておけ」


「わざわざすみません、忙しい時に」


「何を言うか! 孫が世話になっている同じサッカー部の友人へ満足に飯がふるえなければ、代々続く我が飛翔龍の龍が泣くわ! なぁ、ばあさん!?」


「はいはい、行きますよ。ちょっと待っててね~」



 優也が申し訳なさそうに言うと重三は胸を張り、かなりの熱血漢を思わせる。その熱意を立江は受け流し、厨房へ先に向かう。



「あはは~、何か熱いおじいさんだねー♪」



 結構ユニークな祖父に見えて弥一は笑っていた。



「じいちゃんは若い頃にサッカーをやってたみたいでさ、俺がサッカー始めたのが相当嬉しくて色々力になってくれてるんだ。熱くなり過ぎないようにばあちゃんが上手くコントロールしてるって感じでね」



 祖父母について大門は語る。祖父の重三も元々はサッカーをやっていた経験を持ち、息子である大門の父親はやらなかったが、孫の方が始めた事が重三には嬉しく思い、それ以降は大門を色々とサポートしてくれている。




 案内された席で待つ3人に料理は運ばれてきた。チンジャオロース、餃子、チャーハン、ラーメンとそれぞれ量の多さが目立っていた。


 大門は何時もこれぐらいのを食べているようで、彼が大きくなってきた理由が優也はなんとなく分かった気がする。



「これぞ高校生向けの満足中華、遠慮なく食すといい!」


「わー♪いただきまーす♪」



 目当てのチャーハンもあって弥一はレンゲを右手で持ち、パラパラの飯をひとすくいして口にほうばる。



「うっま~♡最高~♡」



 流石中華料理店の本格チャーハンと言うべきか、スーパーで食べていたレンジで温めて食べる方とは全く違う。絶品のチャーハンに魅了された弥一の食が止まらない。ガツガツと食べ進めていく。



「ほおー、小さいながら孫と良い勝負ぐらいの食べっぷりだな」


「だって本当美味しいですもんー! 豚肉が最高で相性バッチリで味引き出してくれますし♪」


「分かっているではないか少年! この豚肉が特に欠かせんのだ。養豚場をやっとる知り合いに頼んで取り寄せていてな、他の店では決して真似出来ん飛翔龍で最も自慢の一品よ!」



 チャーハンの美味さを理解する弥一。更に食べっぷりの良さに、重三は気に入ったらしい。店で最も自信持って出しているのがチャーハンで看板商品だ。



「重三さーん、この前はラーメンが一番自慢だとか言ってなかったかーい?」


「やかましいわ! 全部自慢の一品だ!」



 近くの席で飯を楽しみつつ酒を飲む常連客の年配達から突っ込まれ、重三がムキになって言い返す辺り、気心知れた仲のようだ。



「ごめんねぇ、騒がしいじいさんで」


「あ、いえ……」



 苦笑する立江に優也は気にしてないと言いつつ餃子を食べている。こちらもかなり美味しく、肉汁溢れジューシーで皮もパリっとして、優也の箸も進んでいた。



 その一方で大門は既に多くの料理を平らげ、ラーメンはスープまで飲みきって完食している。


 相変わらず良い食べっぷりを発揮すれば、一足先に昼食を終わらせていた。




「兄ちゃんー、ちょっと勉強教えてー」



 奥から顔を出してきた黒髪の男の子はFC桜見の子供達と同年代ぐらいで、小学生高学年ほどの年齢。大門に対して勉強を見てほしいと呼びかけている。



龍二りゅうじ今はちょっと……あ、彼は弟だよ」


「初めまして龍二君ー♪」


「あ、こんにちは……」



 大門が二人に弟を紹介すると、弥一は笑顔で龍二へ挨拶して弟の方は緊張気味に応える。


 勉強を見てほしいと言われたが、二人が遊びに来ている今は勉強を見るのが厳しく、断ろうとしていた。



「達郎、お友達はこっちに任せて行って来い。兄貴なら弟の力になってやれ」


「う、うん。分かった。なるべくすぐ戻るからごめん!」



 弟の所へ行けと重三が孫の背中を押せば、大門は龍二の元へ勉強を見に行く。




「中学の時はどうなるかと思ったが、ちゃんとやれてるようで良かったな」


「中学って彼、何かあったんですか?」


「おい神明寺……」



 重三は孫の姿に何処か安心しているように見える。弥一が中学というキーワードに引っかかって訪ねるのに対して、優也は勝手に踏み込まない方が良いと彼を止めようとした。



「……君達のようなサッカー仲間が出来た。達郎も遅かれ早かれ、いずれは乗り越えなければならん壁だ。話すとするか」



 重三が席に座ると深刻な表情を浮かべ、隣に立江も座ると腕を組んだ状態から二人へ口を開く。



「あいつは小学生の頃から身体がデカくてな、そこはワシや父親に似ている。そして小学生から達郎はサッカーを始めたんだ」



 大門の体格は小学生の頃から既に恵まれていた。その頃からボールを蹴り始め、重三は当時の姿を思い出しているのか懐かしそうに語っていて、弥一と優也も耳を傾ける。



「あの時はDF、MF、FWと経験を重ねて自然と上手くなった達郎はキーパーを選んだ。一番過酷で厳しい道だと言ったんだがな。「点を取られなければ絶対負ける事は無いから」と言っておった」



 当時の大門は中々強気のようで、何処か無失点優勝を宣言した弥一に似ているかもしれない。普段の彼からは想像出来ない姿を見てみたいと思いながら、二人は話を聞き続けた。



「体が大きくなると共に技術も上達し、期待されて中学へと進むと1年の時は基礎練習の日々。試合に出る機会に恵まれないまま、その年を過ごしていたな」



 出られなかった話は弥一も優也も大門本人から聞いている。大門だけでなく優也も中1では試合に出られず、基礎練の日々で出場のチャンスは無かったと。



「2年になると試合に出られるようにはなったが、孫の勝つ姿を見る事は一度も無かった」


「!?」



 大門の腕を思えば身長や技術を兼ね備え、守護神として頼れるはずだが2年の時は一度も勝てていない。それを聞いた二人は衝撃を受ける。



「3年になってもそうだったね。あの子……辛そうだったよ。仲の良い友達とか特にいなかったのか、家に連れて来るような事は小学校にはあったんだけど中学は……」



 立江が静かに語ると3年でも勝てない状況は変わらず、大門は祖父母から見て辛そうな姿をしていた。



 中学では今の弥一達みたいに誰かを家に連れて来るような事はも無かったようで、弥一は大門と初めて会った時を思い出す。



 中学時代の事については何処か暗い影があった事を。



 一度も勝てなくて表舞台に出られなかった過去が影響していたのだろう。。




「試合に出れない日々、勝てない日々。ただ……それでもあいつは練習を続けていた。辛いながらも一生懸命に歯をくいしばりながら必死に。勝てないのは自分のせいだと思っていただろうな……GKというのもあるだろうが、達郎は責任感の強い奴だ……」


「……」



 一度も勝てなかった中学生活を聞いて、優也は何も言えなかった。



 そんな日々が続いてしまうと自分ならどうなっていたのか、大門みたいに努力を続けられたのか、それとも腐って辞めていくのか。



 どちらにしろ、想像を絶する辛さがあったのは間違い無い。



「ただ今日、君達のような友達を連れて来て笑っていた。その姿が……ワシは嬉しかった。あんな姿は小学生以来だ」


「ええ、本当に達郎……良かった」



 今日の大門は当時と違い友人を連れて来ており笑っている。重三や立江にとって、その姿がとても嬉しく思う事だった。



「君たちには感謝しとる。これからもどうか、達郎の事をよろしく頼む」



 重三が二人へ向かって頭を下げる姿は、孫を想う祖父の気持ちが伝わって来る。



 その気持ちが偽りではないと、彼の心を読んだ弥一には分かっていた。





 昼食をご馳走になり、弥一と優也は重三と立江に礼を言うと外へ出て来る。



 先程の話のせいか二人の間で沈黙が支配していて、大門の過去が想像以上に辛いもので何も言えなかった。



「二人とも、もう行くのか?」



 そこに店から出て来た大門が駆けつけて来る。



「ああ、此処から走って帰らなきゃならないんでな」


「僕も家に帰らなきゃいけなくなっちゃったから、またグルチャでね。って歳児まだ入ってないよね?」


「……後で入っとく」



 聞いていた過去については出さず、弥一も優也も何も触れず帰ろうとしている。






 その時、帰ろうとしていた弥一は振り向いて大門の顔を見た。



「ねえ大門」


「ん?」




 そして弥一は大門を右手の人差し指で指差す。




「僕がお前を高校最強GK、そう呼ばれるようにしてみせるよ」



「え…?」



「(こいつ、また言うな……)」



 弥一にいきなり自分を高校で一番のGKにする。そう言われた大門はぽかんとなり、優也は軽くため息をついた。



 まだ公式戦どころか練習試合も迎えていなくて、そうなる保証など何も無い。


 この事を分かった上で弥一は言っているのかと。



 それだけ言うと弥一はその場から駆け出して行った。



「じゃ、部活かグルチャでな」


「あ、ああ」



 優也も弥一の後に走り、風のように去って行く。





「(高校……最強のGK……)」



 弥一にそう言われた言葉がずっと心に残る大門。今までそんな事言われた経験など無い。まだ彼も自分も高校の公式戦に出ていない状況で、夢物語みたいな事が実現するのかと思ったが。




 その言葉はずっと残って、大門の頭から離れなかった。

宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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