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オシブカノジョウシテンノウ  作者: 甘海老男


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40/41

40.魔人領の現状

俺はシャーメインに身体中を触られながら、リディア様の話を聞いた。


「ということ!」

「なるほど。じゃあこの人は味方ってことでいいんですね」

「うん。めんどくさいし、捕まると地獄だけど悪い奴じゃないよ」

そう言いながらもリディア様とルゼは俺とシャーメインから距離を置いていた。


「ルゼ、リディア様。そろそろどうにかしてほしいんだけど。装備しているみんなも限界みたいで」

「そうだね。シャーメイン!」

「はい!なんですか!!今忙しいのですが!」

シャーメインは俺を撫で回しながら声を荒げる。


「ルゼ達にも魔人領の現状を伝えたい。研究はあとで好きなだけさせてあげるから、今は解放してあげてほしい」

「はぁー。わかりました。では皆様、研究室にご案内します」

シャーメインは落ち込みながらも俺を解放してくれた。


▽ ▽ ▽


研究室は想像通りの場所だった。

見たことのない物ばかりで、勝手に触れたら危険そうだ。


「装備解除しなくていいの?」

俺は『異世界装備』をしたままだった。


「ああ。あいつは危険だからこのままでいよう。俺達がハルキを守る」

タンク達はだいぶ警戒しているようだ。


席に着くと、シャーメインがポケットから何かを取り出した。

「リディア様。昨夜作っておきましたよ」

「え?さすが!仕事が早いね」

「はい。これくらいならすぐにでも作れますよ」

リディア様は輪っかのようなものを2つ受け取った。


「ハルキさん。これあげるよ。タンクの要望でシャーメインに作ってもらった」

「え?」

俺は何が何だかわからないが受け取った。


「タンクが要望したの?」

「ああ。ビーとティーをこの世界に置いて行くのは可哀想だったから、体を小さくできるマジックアイテムを作れないか相談した」

「えー!僕達のために?」

「タンクありがとー!」

ビーとティーも知らなかったみたいだ。

本当にタンクの気遣いには感謝しかなかった。


「ありがとタンク。話を聞き終わったら2人につけよう」

「ああ」

タンクは感謝を受けて、少し照れているように感じた。


俺達の様子を見ていたルゼが口を開く。

「お姉ちゃんはシャーメインから話を聞いたの?」

「うん。でも僕からルゼ達に話すより、直接聞いた方がいいと思って」

「わかった。シャーメイン、話してくれる?」

「わかりました」


シャーメインは話を始めた。


▽ ▽ ▽


「ダッズラとイフミィですか……」

ルゼは頭を抱えていた。


「その2人は同級生なんでしょ?」

「はい…。能力は高いんですが、いろいろと問題がある者で……」

「あーマズドールもそんな感じだったもんね」

「はい。かなりめんどくさい相手です」

ルゼは再び頭を抱えた。

顔は引きつっていた。


ルゼは再び質問をする。

「イフミィは何をしてるの?」

「参の島で魔獣人族を捕えています。魔獣人族に関しては完全に人質ですね」

「人質?」

「はい。憤怒の島では魔獣人族を戦わせて賭け事をしています。魔獣人族の戦士が反乱を起こさないようにするための人質です」

「なるほど。魔獣人族を助けるためには、参の島は必ず制圧しないとダメですね」

「そうだね」

リディア様は頷いた。


「あと気になるのは、今の大罪の悪魔スキルの所持者ですね」

「それについては私も不確定な情報しかありません」

「そうなんですか?」

シャーメインは申し訳なさそうにしている。


「現在の魔王は謀反を起こした嫉妬のヴィアルドです。傲慢のシルファーナは参謀長という役職で現魔王の補佐をしています」

シャーメインの話を聞いているルゼの表情が歪む。


「『色欲の悪魔』はアデス様を一方的に恨んでいたパピアという淫魔族の血筋の者が与えられました。色欲の島で奴隷や反逆者を娼婦や男娼にしているようです」

「色欲の島にも助けに行かないとダメですね」

「そうだな」

ルゼもリディア様も少し怒っているようだった。


「『憤怒の悪魔』はヴィアルドの息子のヴィクターに与えられました。ヴィアルドの家系はサイルバルタン様やゴフェル様と因縁があるみたいで、魔獣人族はひどい扱いを受けています」

「ゴフェルとサイルバルタンが殺した元嫉妬の悪魔の件でしょう」

「でもあれはあちらから攻められたはずですが」

「逆恨みだろう」

俺は話が全く理解できていない。


「『暴食の悪魔』はルゼ様が管理していた島をそのまま引き継いでいます。ほとんど島から出ないようで情報はあまりありません」

「あの島に暮らしている民が心配です。それに少数ですが虫人族が暮らしていたので、彼らの安否も気になります」

「最後に『強欲の悪魔』を与えられた者はヴィアルドが元々管理していた島を担当しているみたいですが、こちらもほとんど情報がありません」

「わかりました。ありがとうございます」


ルゼはリディア様を見た。

「それでこれからどうするの?」

「まずは陸の島を押さえる。偵察に行ったファジャが心配だ」

「そうですね。あの脳筋ダッズラに見つかって戦闘になったらめんどくさいですし」

「僕も少しは戦えるようになったからね」

そう言うとリディア様は剣を取り出した。


「え!?魔剣イグニクス!?」

「シャーメインが持っていたんだよ」

「シャーメイン、私の武器は持っていませんか?」

「すみません…」

シャーメインは頭を下げた。


「研究用と言って回収できたのはリディア様の武器だけです。ルゼ様、アデス様、サイルバルタン様の武器の行方はわかりません。噂では他国に売ったなどの話も聞きますが詳細は不明です」

「そうですか……」

ルゼは少し落ち込んでいるようだ。


ルゼ達の会話は半分以上理解できなかったが、俺達の次の目的地が決まったみたいだ。

理解ができなかった内容は後でルゼに聞くことにしよう。




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