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34.ドライブデート

俺はルゼに連れられ、ルゼ宅の車庫に来ていた。


「うわ。ルゼのおじいさんはなんなんだ?」

車庫には5台の車が置いてあった。


「えーと。ここら辺の土地を沢山所有していたみたいです。元々両親が地元で地主をしていたみたいで、それを受け継いだ際にすべて売って東京に来たって言ってました」

「はー。すごいわ……」

「今はお姉ちゃんがそれを引き継いでいます。おじい様は優しい方でしたので、家賃も安くしてあげたりもしていたので物凄く稼いでいたわけではないみたいです」

「なるほどね。拾ってくれたのがそのおじいさんでよかったね」

「はい。私とお姉ちゃんはおじい様のことが大好きでした」

ルゼは嬉しそうに話すが、少し悲しい表情をしていた。


「それで借りてもいい車は?」

「どれでも大丈夫ですよ。私とお姉ちゃんはこの車を使っています」

ルゼは水色のレトロな車に触れた。

軽自動車ほどではないが、小型の屋根が開閉できる車だった。


「ってことはリディア様も使う可能性があるから別の車にするか」


残りの4台は、黒の4人乗りのいかにも高級そうな車と灰色のクロスカントリーと赤のスポーツカーと白の4人乗りの普通車だ。


「この白い車が身の丈に合ってそうだな」

「じゃあそちらにしましょう!すぐに鍵を持ってきますね」

そう言うとルゼは家に戻っていった。


「こっちの車は男心をくすぐられるけどなー」

俺は灰色のクロスカントリーを見ながらつぶやいた。


▽ ▽ ▽


新入社員の時に社用車を運転して以来だったが、普通に運転出来て安心した。


「どうですか?」

「うん。問題なく運転できてよかった」

ルゼは助手席に座りながらきょろきょろして落ち着きがなかった。

運転中もきょろきょろするようなら、運転は任せちゃダメだな。


「とりあえずどこ行く?」

「倉庫型のスーパーに行きましょ!会員カードもあるので」

「あー。大量に買うならいいかもね。ちょっと遠いけど行ってみるか」


俺とルゼはリディア様に頼まれていた買い出しに向かうことにした。


▽ ▽ ▽


「初めて来たけどすごいな」

テレビや雑誌などで知っていたけど、実際に来てみると想像の倍は凄かった。


「あー!服もありますよ!鬼人族のみなさんにいいかもしれないです」

ルゼは来たことあるみたいだが俺よりはしゃいでいた。


「ハルキさんハルキさん!こっちにバスケのゴールもありますよ!」

「こんなのも売ってるのか」

「私、中学の時はバスケ部だったんですよ」

「なんかそれは意外だな」

「まあ補欠だったんですけどね」

ルゼは楽しそうに昔の話を俺にしてくれた。


記憶が戻る前は普通に学校に通っていたのか。

戸籍とかはどうしたのだろう。

細かいことだが少し気になった。


「ルゼ、戸籍とかってどうしたのか知ってる?」

「それは私達も気になってたんです。おじい様に聞ければよかったんですが、残念ながら疑問に思った時には……」

「そっか」

ルゼのおじいさんは相当な権力者なのか?

いや、権力者だからって戸籍を作ることなんてできないと思う。


ルゼ達についての疑問が生まれた。

しかしこの疑問は一生解決できないだろう。


「ハルキさん。食料品売り場に行きましょ!このフロアと同じくらい凄いですから」

俺はルゼに手を引かれ、食料品売り場に向かった。


食料品売り場には大量の寿司や鶏の丸焼きなどが売られていた。


「えー。こんなのパーティじゃん」

「ですよね!私達のお昼もここで買っちゃいましょ」

ルゼは楽しそうに商品を見ていた。


「昼食の前に頼まれたものを買っちゃおう」

「そ、そうでした!先にそっちを買いましょう」

肉コーナーに移動するとキロ単位で袋詰めされている肉が大量に置いてあった。


「どれくらい買う?」

「あっちに食べる物がないわけではないのですが、せっかくなので良い物をみんなに食べてもらいたいですね」

「虫人族も集まるって考えるとカートが足りないかも」

「取ってきます!」

ルゼはそう言うと追加のカートを取りに行った。


俺は手当たり次第、肉をカートに入れていく。

「マジックバッグが無かったら大変だったな」


ルゼがカートを持って戻ってきた。

「私はお肉以外の物を見繕ってきます!」

「わかった。こっちのカートは肉専用にするね」


俺はひたすら肉をカートに入れ続けた。


▽ ▽ ▽


レシートが驚くほど長かった。


「車に戻ってからマジックバッグにしまいましょう」

「そうだね」

俺達はカートを押して駐車場に向かう。

人生でこんなに重いカートを押したのは初めてだった。


カートを車の後ろに止め、一応トランクを開ける。


マジックバッグに買ったものをどんどん詰め込んでいく。

詰め込むというよりかは吸い込まれるが正解だ。

俺はマジックバッグを持ち上げた。


「あの量が全部入るとは。しかも重さも感じない」


そんなことを思っているとルゼが声をあげた。

「あっ!お昼!」

ルゼは昼食を買い忘れたことに気づいたようだ。


「あー。ホームセンター行く途中でコンビニでも寄る?」

「いえ、ここのホットドッグが美味しいので急いで買ってきますね」

そう言ってルゼは店内に戻っていった。


▽ ▽ ▽


俺とルゼは車内でホットドッグを食べた。

ルゼの言う通り、美味しいホットドッグだった。


車を運転し、次の目的地のホームセンターに到着した。

「ここでは種だっけ?」

「はい。あと使えるかわかりませんが肥料や農具なども買おうかと」

「了解。じゃあ俺が肥料と農具見ておくから、ルゼは種をお願い」

「わかりました!」


俺はルゼと別れ、農具コーナーに向かった。

見慣れない農具を物色するが、どれがいいのか全然わからん。

「鍬とスコップとかでいいのか?」

とりあえず使えそうなものをカートに入れた。


「あとは肥料か……」

肥料も全く詳しくない。

おすすめっぽいのをカートに積んでいく。


「こんなものかな?」

ルゼの元に向かうと、買うものを決め終わっているようだった。


「いいのあった?」

「はい。ニンジンとビーツと大根にしました」

「これでリディア様に頼まれてたものは全部買えたかな?」

「そうですね」

なぜかルゼはニコニコしていた。


「どうしたの?」

「ハルキさんとこうしてデートできるのが楽しいんです」

「デート。そうかデートだね」

「はい!」

「じゃあ帰りは少し遠回りして、ドライブしようか」

「はい!」


俺とルゼの手を握り、レジへ向かった。



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