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35.リディアの戦闘訓練

「アクアランス!」

水の槍がゴブリンを貫く。


「うーん。まだ水魔法に慣れないな」

リディアはゴブリンの死体から魔石を剥ぎ取りながら首を傾げていた。


今日はリディアの希望通り、モンスターを倒しにダムザムから離れた森にやってきた。

元々は火魔法を使っていたらしく、水魔法がしっくりきていないみたいだ。


「タンク。魔法は数をこなさないとダメそう。群れがいたら戦いたいな」

「わかった。近くに群れがいたらポンプ達が教えてくれるはずだ」

リディアとビーとティーが主に戦い、俺らは補助役だ。


「タンク!マッドウルフの群れがいた!」

「わかった。リディア、行こう」

「うん」

ポンプに付いて行くと、マッドウルフが8匹いた。


グルルルル!


リディアはすぐに戦闘態勢になった。


「水魔法と相性が悪そうだが大丈夫か?」

「うん。やってみるよ」

リディアはそう言うと剣を取り出して構えた。


「アクアボール!」

水の球がマッドウルフに当たるが体に吸収されてしまった。

衝撃で少しは怯んでるようだが、ダメージを食らっている様子はなかった。


マッドウルフはリディアを囲む。


リディアは剣を構え1匹のマッドウルフに向かって行く。

剣を振り上げるとマッドウルフはリディアに向かって飛び掛かる。

リディアは冷静に剣でを振り、マッドウルフの体に剣を突き刺した。


「おー」

さすが元魔王。剣の腕はかなりのものらしい。


残りのマッドウルフがリディアを襲おうとするが、『威圧』によって躊躇している。


リディアは手を上にあげた。

「アクアドラゴン!」

空気中の水分がリディアの元に集まっていく。


集まった水分は徐々に形を成し、ドラゴンの姿になった。

リディアが手を降ろすと水のドラゴンがマッドウルフ達を飲み込んでいく。


さすがに水のドラゴンを吸収することはできずに、マッドウルフ達の体はボロボロと崩れだした。


「はー。何とかなったー」

リディアは安堵の表情をしていた。


「余裕だったな」

「そんなことないよ。僕の魔法が効かなそうだったから焦ったよ。アクアドラゴンが強力だったからよかったけど魔力の消費がすごいからあんまり使えないな」

元魔王は自分に厳しいようだ。


「この後も続けるか?」

「うん。スキルを試したい。補助だからみんなに戦ってもらわないとなんだけど」

「わかった。群れを見つけたら俺らが戦おう」

「ありがとう」

俺らは再びモンスターを探した。


▽ ▽ ▽


目の前にはリーフバットの群れがいた。


「リディアのスキルを確認するために戦うんだから、すぐに倒すなよ」

「「「「はーい」」」」

「リディア、いつでもいいぞ」

「みんなありがとう。幸せの鐘音!」


リディアが唱えると、身体からやる気が漲るのを感じた。


「ねーねー!走っていい?良いよね?」

やる気に満ち溢れたティーは走りたくてしょうがないようだ。


「モンスターを倒さないように頼むぞ」

「うん!」

ティーはリーフバットの真下を走り回っていた。


「力の分配!」

また身体に何かが漲る。


「これの効果は?」

「私の筋力の一部がみんなに分け与えられるよ」

「筋力か」


俺はリーフバットに近づいて拳を入れる。

するとリーフバットは吹き飛んだ。

「身体を破壊するほどではないが、だいぶ上がっているな」


そんなことを考えているとやる気と筋力が上がったティーが跳び跳ねてリーフバットを吹き飛ばしていく。


「リディア!このままだとすぐに倒してしまうぞ。まだ試したいものはあるか?」

「じゃあ1匹だけ殺さないで瀕死の状態にして!」

「わーわかった。やってみる」

敵がどうこうより、やる気に満ち溢れたティーをどう制御するかが問題だった。


「ティー!一旦止まれ!」

「えー」

ティーは止まるが文句を垂れていた。


「ポンプ、ビュラ、ビー。今のうちに1匹残して他は倒してくれ」

「「「わかったよー」」」

ポンプ達がリーフバットに向かって行く。

俺はティーを宥めに向かった。


▽ ▽ ▽


瀕死のリーフバットがふらふらと飛んでいた。

何とか飛べるだけの力はあるようだ。

ティー以外は強化された状態でもしっかり手加減ができるようで安心した。


「リディア。これでいいか?」

「うん。ありがとう。最後の救済!」


周辺の空気が一気に変わった。

リーフバットを中心に風が吹きあがる。

うっすら暗くなり、空から一筋の光が降ってリーフバットを照らす。


リーフバットの体の傷が無くなっていく。

ふらついて飛んでいたのが嘘のように活発に動き出す。


「これは回復か?」

「う、うん。死んでいなければ絶対に全快できるみたいだけど、スキルのレベルが低いから反動が凄いんだ」

リディアの顔は少し青ざめていた。


「リーフバットを頼む」

「「「「うん!」」」」

俺はポンプ達にリーフバットを頼み、リディアの元へ行って身体を支える。


「大丈夫か?」

「うん。平気平気。なんか僕の生命力を使うみたい」

「これはあんまり使わない方がいいかもしれないな」

「そうだね。でも使わなきゃいけない時に使えないのは嫌だからね。だから今後も付き合ってくれる?ルゼやハルキさんに心配はかけたくないんだ」

「わかった。だがあまり無理をするな。ハルキやルゼに悲しまれるのは俺らも望んでいない」

「うん」


リーフバットを無事倒し、ルゼをビーに乗せてダムザムに戻った。



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