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32.引っ越し

本当にマジックバッグは便利だ。

自分でやると数日かかる段ボール詰めもしなくていい。

最高だ。


俺がやらないといけないことは必要なものと不要なものを分けることだが、ルゼ様の部下をやっていたおかげでほとんど無駄な物がない。


「グッズを持って行く許可はもらったし。ここら辺は全部持って行くか」

俺はルゼ様のグッズをまとめた。


新しい家が広いおかげで、荷物を全部運んでも問題ない。


2階建ての4LDK。

1部屋をルゼ様の配信部屋にするのは確定事項だ。


俺とルゼの寝室は当然別だよね?

どうだろう。

付き合ってるから同じ寝室でいいのか?

これはルゼの反応を見てから決めるべきだろう。


それにタンク達の部屋は必要だな。

ビーとティーはさすがにこっちに連れて来れない。

あのサイズはさすがに無理だ。

いくら庭が広いとしても、あのサイズのバッタが庭にいたら問題になる。

タンク達のように身体を小さくできればいいんだけど。


俺は部屋割りを考えながら荷物をまとめた。


▽ ▽ ▽


なんだかんだ昼過ぎになった。

家に着くとルゼがいた。


「ハルキさん!簡単にですが、掃除をしておきました」

「ありがとう。すぐ荷物を出しちゃうから、その後にでもルゼの荷物も持ってきちゃおうよ」

「はい。でもあと2時間くらいここにいなくちゃいけないんです」

「どういうこと?」


ピンポーン!

俺が首を傾げていると家のインターフォンが鳴った。


「え?誰だろ」

俺が出ようとすると、ルゼが口を開いた。

「あっ!私の荷物です!思ったより早かったみたいです」

ルゼはそう言うと玄関に向かった。


「ん?荷物ってなんだ?」

俺の疑問は増した。


1分程経つと、ルゼがリビングに戻ってきた。

「ハルキさん。少し手伝ってもらえますか?」

「う、うん」


ルゼに連れられ玄関に行くと、大きな段ボールが数個。


「これは?」

「家具や家電です!午前中に購入して届けてもらいました」

「え!?買ったの?」

「はい。ソファやテーブル、テレビや冷蔵庫を買いました。それに2人で寝れる大きなベッドも!」

「あっ」

ルゼの発言で寝室問題は解決した。


「一旦マジックバッグに入れて家に入れてほしいです。ドアを壊さないで運べる自身が無くて」

「了解」

俺は段ボールをマジックバッグに入れた。


「ルゼの方で部屋割りとかって考えてる?」

「あー部屋割りですか?うーん。配信用に1部屋を使わせていただきたいですね。あと寝室はベッドが大きいので2階がいいです」

「じゃあ。配信部屋と寝室を2階。タンク達の部屋を1階。残り1部屋は今後考えることにしよ」

「はい!」

ルゼは笑顔で頷いた。


▽ ▽ ▽


荷物はほとんど運び終わった。

ルゼ様のグッズは配信部屋に置くことになった。


今はルゼが私物や配信機材を取りに行っている。

実家が近いので最低限の荷物だけ運んでくるみたいだ。

なのでほとんどが配信関係の荷物。


俺はソファに座って、一息ついていた。

「あー。ここで暮らすなら車は必要だよなー」


都内といってもかなり田舎だ。

駅が近いからコンビニはあるが、スーパーや日用品を買うとなると遠出をする必要があった。


だけどルゼ様の部下を長年やっていた俺には貯金がない。

そこそこの役職だから割と良い給料をもらってるので、数か月我慢すれば買えなくもない。


「車庫もあるから、車を買うのを目標にするかー」

「車ですか?」

「え?」

いつの間にかルゼが帰ってきていた。


「ここで暮らすには車はいるなーって考えてたんだ」

「それならお姉ちゃんにもらいます?」

「は?」

ルゼはまた意味の分からないことを言い出した。


「おじい様が10台以上所有してたんです。外車は色々お金がかかるので売ってしまったんですが、使いやすそうな車を数台残しているんです。その中から選んでもらえればお姉ちゃんがくれると思います」

「え?いいのかな?」

「はい。保険とか諸々はお姉ちゃんにやってもらいましょう」

「じゃあ。お願いしようかな。てかルゼは運転できるの?」

「は、はい。と、当然です」

運転は苦手みたいだ。


「配信部屋を作ってくれば?俺はコンビニで夕飯でも買ってくるよ」

「お願いしてもいいですか?」

「うん。夜配信するんでしょ?」

「はい」

「じゃあ配信部屋作りは最優先事項で」

「わかりました。ありがとうございます」

そう言うとルゼは2階へ上がっていった。


▽ ▽ ▽


俺はリビングにノートPCを運んで、ルゼ様の配信を見ている。

久々の配信だからか視聴者数がいつもより多い。


画面に映るVtuberのルゼ様と俺が同棲しているなんて信じられない。

最近一緒に居すぎたせいで忘れていたが、なかなか凄い事だった。


「なんか恥ずかしくてコメントしにくいな」

俺は[ルゼ様かわいい!]とだけ打って、配信を見ることに集中した。



数時間後、配信終わりのルゼがリビングにやってきた。


「お疲れ」

「ちょっと疲れましたー。新しい環境での久々の配信だったので少し緊張しました」

「そう?感じなかったなー」

俺がそう言うとルゼは隣に座った。


「誰かがルゼ様かわいい!ってコメントしてくれたんで、少し緊張がほぐれました」

「あっ。ああ」

急に恥ずかしくなった。


「そろそろ寝ます?」

「あ。そ、そうだね」

俺は最悪のメンタルで寝室に向かうことになった。


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